御器谷法律事務所

ADRの意義、種類

1.ADRとは、
 ADRとは、Alternative Dispute Resolutionの略で、裁判外紛争解決手続と訳されます。
  つまり、法的トラブル等の紛争を、裁判所における裁判手続によらずに解決する手続をいいます。
 (なお、裁判所が行う調停等は、解釈によっては「裁判」外紛争解決手続とはいえないとの疑問も生じるところですが、ここでいう「裁判」は民事訴訟に限るものと考えて、民事訴訟以外の紛争解決手続をすべてADRと考えることとします。)

2. ADRにはどんな種類があるのか
 一言でADRといっても、それには以下に挙げるとおりさまざまな種類があります(民事訴訟は比較のために表の最初に入れています)。
手続の種類 開 始 終了の形式 特 徴
民事訴訟 一方当事者の
申立て
裁判所の
判決
確定判決により強制的に紛争の終局的解決を図ることができる
仲裁 両当事者の
合意
仲裁人の
仲裁判断
両当事者の合意がなければ仲裁手続が開始されない
調停 一方当事者の
申立て
両当事者の
和解の合意
両当事者の和解の合意がなければ紛争の解決が図れない
あっせん
その他
制度による 制度による 制度による

(1) 仲裁(仲裁法)
 紛争の両当事者が、紛争の解決を第三者である仲裁人に依頼して、その仲裁人の判断に服することを合意して(仲裁合意)行うのが、仲裁手続です(仲裁法2条1項)。
 仲裁人の解決(仲裁判断)には確定判決と同一の効力が与えられ(仲裁法45条1項)、仲裁合意のあった事件については原則として裁判所に民事訴訟による解決を求めることができません(仲裁法14条)。

(2) 調停(民事調停法、家事審判法その他)
 紛争の一方当事者の申立てにより始まり、裁判官や調停委員等の第三者が間に入ることにより、両当事者間の和解の合意の成立による紛争解決を促すのが、調停手続です。
 民事調停や家事調停では、当事者の和解の合意には確定判決と同一の効力が与えられるのが一般です(例えば、民事調停法16条、家事審判法21条1項など)。

(3) あっせんその他
 その他にも、行政機関、専門家団体、業界団体などで、紛争解決のあっせん等をしていることがあります。その手続としては、一般には上記(2)の調停に近いものが多いと考えられますが、詳しくは各種あっせん制度等の内容を参照していただきたいと思います。

3. ADRのメリット・デメリット
 では、裁判手続によらずに、ADRを利用して紛争解決をする場合のメリット・デメリットとはどのようなものが考えられるのでしょうか。
 まず、裁判手続と比べた場合のADRのメリットとしては、
 (1) 必ずしも法律の規定によらずに、紛争の実情に即した柔軟な解決が可能である
 (2) 特殊な紛争においては、専門知識のない裁判官による裁判手続よりも、専門家や業界関係者による紛争解決手続の方が当事者のニーズにあった紛争解決が可能になる
 (3) 当事者の自主的判断に委ねられる部分が多く、円満な紛争解決を図ることができ、その後当事者同士の生活関係等が継続する場合等に適している
 (4) 非公開で行われるため、裁判手続にように広く一般に公開されることはなく、両当事者以外にその内容を知られることがない
 (5) 一般に、裁判手続よりも迅速に紛争を解決できる場合が多い
 (6) 一般に、裁判手続よりも紛争解決にかかる費用が安く済む場合が多い
 などが挙げられます。
 他方、裁判手続と比べた場合のADRのデメリットとしては、
 (1) 相手方が紛争解決手続に参加しようとしない場合や、紛争解決のための和解案の作成に消極的な場合に、強制的に紛争を解決する仕組みがない
 (2) 裁判官でない者が仲裁や調停にあたることから、手続の中立・公正を図るため、仲裁人・調停手続主宰者に誰を選ぶかという問題が生じる可能性がある
 などが挙げられます。

4. ADR法と各種専門家・業界団体等の紛争解決手続
 これまで見てきたとおり、ADRにはデメリットもありますが、メリットもまた大きいものがあります。
 法的トラブルに遭ってその円満な解決を図りたい人にとっては、できる限り紛争の実態に合った適切な紛争解決手続を選択する必要があり、そのためには、裁判手続以外にもいくつかの適切な紛争解決手続が整備されている必要があります。
 これまでにも、行政機関や、日本弁護士連合会等の専門家団体等により、いくつかの紛争解決手続が提供されてきたところです。
 さらに、このような要請を受けて、平成16年に成立したのがADR法、正式名称「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」です。
 この法律は、専門家団体・業界団体・事業者等が、法務大臣の認証を得て、紛争解決手続を提供するという仕組みを整えるものです。この法務大臣の認証を受けた紛争解決事業者としては、平成20年11月12日現在で、以下のとおり21あります(下表は法務省HPより一部抜粋)。

認証番号

認証紛争解決事業者名

取扱う紛争の範囲

連絡先電話番号

0001

日本スポーツ仲裁機構

スポーツに関する紛争

(03)5465-1415

0002

大阪弁護士会

民事に関する紛争(全般)

(06)6364-1802

0003

財団法人 家電製品協会

製造物責任等に関する紛争

(03)3433-8081

0004

財団法人 自動車製造物責任相談センター

製造物責任等に関する紛争

0120-028-222

0005

京都弁護士会

民事に関する紛争(全般)

(075)231-2383

0006

大阪土地家屋調査士会

土地の境界に関する紛争

(06)6942-8750

0007

社団法人 日本商事仲裁協会

商事紛争

(03)3287-3061

0008

愛媛県土地家屋調査士会

土地の境界に関する紛争

0120-24-1103
(089)943-6785

0009

横浜弁護士会

民事に関する紛争(全般)

(045)211-7716

0010

社団法人 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会

特定商取引に関する紛争

(03)5729-3711

0011

財団法人 全国中小企業取引振興協会

下請取引等に関する紛争

(03)5541-6655

0012

愛知県弁護士会

民事に関する紛争(全般)

(052)203-1651

0013

京都府社会保険労務士会

労働関係紛争

(075)417-1881

0014

神奈川県司法書士会

民事に関する紛争(紛争の価額が140万円以下のものに限る。)

(045)641-1372

0015

日本証券業協会

金融商品の取引に関する紛争

(03)3667-8451

0016

財団法人 東京都中小企業振興公社

下請取引等に関する紛争

(03)3251-9390

0017

全国社会保険労務士会連合会

労働関係紛争

(03)6225-4887

0018

財団法人 ソフトウェア情報センター

ソフトウェアに関する紛争

(03)3437-3071

0019

社団法人 日本産業カウンセラー協会

労働関係紛争 
夫婦関係等に関する紛争

(03)3438-4568

0020

兵庫県弁護士会

民事に関する紛争(全般)

(078)341-7061

0021

事業再生実務家協会

事業再生に関する紛争

(03)5363-6110

なお、認証番号11番の財団法人全国中小企業取引振興協会は、このホームページの別の項で紹介している「下請かけこみ寺」のことです。
 
5. 適切な紛争解決を目指して〜情報提供の重要性
 先ほども書きましたとおり、法的トラブルに遭ってその円満な解決を図りたい人にとっては、できる限り紛争の実態に合った適切な紛争解決手続を選択する必要があります。そのためには、トラブルで困っている人たちが、利用したいと思ったときに、どのような紛争解決手続があるのかを知っていなければ、そこにアクセスできません。
 ADR法の成立などによって、さまざまな紛争解決手続が利用できるようになってきています。しかし、それを利用する側の人たちは、それをよく知らないために、なかなか利用することができないのが現状であるように思われます。
 このような問題を解決するためにも、弁護士に相談して適切な手続を紹介してもらうことをお勧めします。

 このADRにつきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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