御器谷法律事務所

マンションと法律

1. マンションとは
  マンションとは、大型の集合住宅をいい、賃貸マンションと分譲ンマンションに分類されます。賃貸マンションとは、共用部分であるか専有部分であるかを問わず、一棟の建物全体を単独のオーナーが所有する形態のマンションです。これに対して、分譲マンションとは、専有部分ごとに所有者(一般に「区分所有者」といいます)が存在し、共用部分については区分所有者全員が共同使用権を持っているという形態のマンションです。後者の分譲マンションについては、一棟の建物に複数の所有者がいることから、必然的に人的結合関係が生じることになりますので、その調整のため、建物の区分所有等に関する法律やマンションの管理の適正化の推進に関する法律、マンション管理の適正化に関する指針、マンション建替え円滑化法といった、マンション関係の特別法が制定されています。以下では、分譲マンションについての法規制について紹介させていただきます。

2. 建物の区分所有等に関する法律とは
(1)  建物の区分所有等に関する法律は、一般的に「区分所有法」と略されています。この法律は、マンションのような、一棟の建物について、その一部(一室)を独立した所有権の対象とすることができるよう規定しており、その場合についての区分所有者間相互の利害関係を調整し、円滑な共同生活の場の確保を目的とした法律です。
 区分所有法によって、区分所有者全員を構成員とする管理組合が当然に成立するとされ(同法3条)、マンションの区分所有者や賃借人などは、管理組合における規約および集会の決議に法律上拘束されることとされています(同法46条2項)。具体的事例として、規約に反して、ペットを飼育した者に対し、差止請求を認めた裁判例があります。また、区分所有法は、区分所有者の共同の利益に反する行為をなす者に対して、差止請求をなしうることを規定しており、例えば、マンション専有部分の規約に反し、住居以外に使用している者に対する差止請求を認めた裁判例があります。
(2) 裁判例
管理規約に基づきペットの飼育の差し止めを認めた事例(東京地裁所平成8年7月5日判決)
「公共の交通機関や施設、他人の店舗等に持ち込む場合において顕著であるが、多数の人々が一棟の建物を区分所有している場合にも、各人の生活の場に不可避的に接点が生ずることとなるから同様の問題がある。
 すなわち、このような建物においては、様々な価値観を有する人々が互いに節度を守ることによって一定の水準の住環境を維持し、共存していかなければならないのであるが、ペットを自ら飼育したいと考え、又は他人がペットを飼育することに理解を示す人々があり得る反面、動物の鳴き声、臭気、体毛等を生理的に嫌悪し、あるいはそれに悩まされる人々もあり得る。
 また、飼主が十分注意するにしても、動物による病気の伝染の危険等、衛生面の問題を完全に払拭することはできない。
 したがって、共用部分については、ペットの飼育がその用法に含まれる場合は別として、ペットの飼育のために利用することができないことはいうまでもないが、飼主の専有部分のみにおいてペットを飼育するにしても、一棟の建物の構造上他人の専有部分の利用に影響せざるを得ない場合があるから、ペットの飼育について区分所有法の規定に従い規約でその調整を図ることは当然許容されるものというべきである。」として、規約違反に基づき、ペットの飼育の差止を認めました。
区分所有法57条1項に基づき、託児所経営の差止を認めた事例(東京地裁平成18年3月30日判決)
「本来住居目的とされている502号室において本件託児所を営業することは、他の区分所有者に対して一方的に深刻な騒音等の被害を及ぼしながら、被告らは原告からの働きかけに対して真摯に具体的な改善策を提示することもせず、あまつさえサミット乱入事件をはじめ警察官の臨場を招くような事態を引き起こして居住者の不安を招き、近時にはある程度の改善はみられるものの、いまだ十分とはいえないものであり、何よりも被告らの利益のために本件マンションの居住者が一方的な犠牲を強いられて居住用マンションとしての居住環境を損なわれることは相当でないことは明らかであり、さらに、火災等の災害時には生命身体への危険も考えられなくもないのであって、こうした状態をもたらした本件託児所の経営は、区分所有法6条1項に規定する『区分所有者の共同の利益に反する行為』であるというべきである。」として、区分所有法57条1項に基づく差止請求を認めました。

3. マンションの管理の適正化の推進に関する法律とは
 マンションの管理の適正化の推進に関する法律は、一般的に「マンション適正化法」と略されます。この法律は、土地利用の高度化の進展その他国民の住生活を取り巻く環境の変化にともない、多数の区分所有者が居住するマンションの重要性が増大していることにかんがみ、マンション管理の適正化を推進するための仕組みについて規定したものです。具体的には、(1)マンション管理士制度の創設し、管理主体たる管理組合の相談に応じて助言や指導のできる専門家として関わる仕組み、(2)マンション管理業務主任者制度の創設し、受託者である管理業者が、管理組合に対して適正な管理業務を行うように、管理業務の重要な事項に管理業務主任者が関わるよう義務づける仕組み、(3)悪質な管理業者を排斥するために、マンション管理業者に登録義務を課して監督・指導する仕組み、について規定しています。

4. マンション管理の適正化に関する指針とは
 マンション管理の適正化に関する指針は、一般的に「適正化指針」と略されています。この指針は、マンションが、各区分所有者等の共同生活に対する意識の相違、多様な価値観を持った区分所有者間の意思決定の難しさ、利用形態の混在による権利・利用関係の複雑さ、建物構造上の技術的判断の難しさなどの多くの問題について、適正化法によって管理組合によるマンションの管理の適正化を推進するために国土交通大臣が定めた指針です。
 具体的には、(1)マンションの管理の適正化の基本的方向、(2)マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項、(3)マンションの管理の適正化のためにマンションの区分所有者等が留意すべき基本的事項等、(4)マンションの管理の適正化の推進のための管理委託に関する基本的事項、(5)マンション管理士制度の普及と活用、(6)国、地方公共団体及びマンション管理適正化推進センターの支援についての指針が掲げられています。

5. マンションの建て替えの円滑化等に関する法律とは
 マンションの建て替えの円滑化等に関する法律は、一般的に「建替え円滑化法」と略されています。同法は、今後の老朽化マンションの急増に対応して、急増するマンション建替組合の設立、権利変換手続による関係権利の変換、危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの促進のための特別の措置等のマンションの建替えの円滑化等に関する措置を講ずることにより、マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とした法律です。
 具体的には、(1)建替えについての行政の責務、(2)合意された建替えを円滑に実施するための諸制度、(3)行政が積極的に建替えを推進するための諸制度等を規定しています。
 区分所有法が建替え決議までの手続や決議内容について規定しているのに対して、建替え円滑化法は区分所有法に基づいて成立した建替決議を事業として実施するための手続きやルールについて規定したものになっています。

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