御器谷法律事務所

会社の破産申立

1.
会社の自己破産の申立とは、
 会社が債務超過に陥った場合や不渡手形等支払不能の状況に陥ったときに、その会社自身が自ら裁判所に対して破産の申立をし、会社の総財産を清算し、これをもって総債権者にその優先順位と債権額に応じて配当する法的手続きです。
 倒産の処理手続の中においても、法的処理手続であり、清算型手続の典型です。
 会社は、破産申立において、全従業員を解雇し、一切の営業活動を廃止し、総清算されるのが大原則です。

2. 社長が会社の破産申立を決断するとき、
 資本主義経済社会においては、各企業が独自の経営判断により売上げをあげ、経費を支払い、従業員がそのもとで働き、利益をあげようと日々創意工夫を繰り返しています。
 この経済の世界は、優勝劣敗、弱肉強食の世界であり、生きた市場を相手とする限りは常に勝ち組でいられることは稀な現象であると言っても過言ではないでしょう。
 経営が不振に陥ったとき、社長や従業員は様々な改善や工夫をしてその事態を避け、経営が上向くように最大限の努力をするでしょう。しかし、経営をとりまく周囲の環境が著しく変化したり、連鎖倒産や社員の裏切り、放慢経営等倒産が必至な状況に会社が追い込まれることがあります。そして、そのような事態は、経済をマクロとして据えたとき、それは資本主義経済社会においては殆ど不可避の事態とも言えるのです。
 様々な血のにじむような経営の改善努力にもかかわらず会社が倒産状態に陥ったときに、会社が採る最後の法的清算手続が、正に破産申立手続といえます。
 破産手続は、以前は経営破綻企業に対する決定的なマイナスのレッテルをはるものと理解されたこともあったとも言えますが、今は、会社経営者にとってゼロから人生をやり直すための法的清算手続とも考えられます。

3. 倒産処理手続の比較
 会社が経営上破綻状況に陥ったときの倒産処理手続は、概略次のような手続があります。
倒産の処理手続の種類
(1) 法的処理手続
1)再建型

・会社更生法 − 株式会社を対象とした再建型手続
・民事再生法 − 出席債権者の過半数、且つ、総債権額の過半数の同意が必要
2)清算型

・破産     − 一般的な法的清算手続
・特別清算  −
(会社法§510〜)
出席債権者の過半数、且つ、総債権額の2/3以上の同意が必要
(2) 私的処理=任意整理
少数の債権者で債権額も少額なとき、簡易迅速に処理する。
・メリット 債権者集会により簡易迅速低廉に清算or再建
・デメリット 債権者間に不公正・不公平の恐れ
債務者ないし代表者が法的に保護されない
(3) 何もしない

これらの手続の中で、破産手続は、法的清算手続の典型として位置づけられます。

4. 申立の準備
 会社の自己破産の申立の準備は、対債権者や対従業員の手前下記事項を秘密裡に行うことが原則となってきます。
(1) 必要書類の準備−破産申立時には会社関係の様々の書類を準備する必要があります。この点、弁護士と十分打ち合わせすることが必要です。
(2) 会社帳簿等の確保
(3) 取締役会−破産申立につき決議し、議事録を作成します。
(4) 在庫の確保−警備の要請等
(5) 従業員全員の解雇−最後の給料の支払、離職票、健康保険等の手続も事前確認へ
(6) その他−Xデー(申立日)の決定、債権者対策、従業員への説明等事前に弁護士と打ち合わせする必要があります。

5. 必要書類
 会社の破産申立には、次のような書類が必要となってきます。
□商業登記簿謄本、□定款、□取締役会議事録、
□債権者一覧表(一般債権、優先債権、別除権、財団債権)
□財産目録、□債務者一覧表
□貸借対照表・損益計算書(直近二期分)
□非常時貸借対照表(破産申立日現在)
□税金申告書控え(直近二期分、付属書類含む)
□代表者の陳述書(資産・負債の概要を説明)、□社歴書、□委任状
□預貯金通帳、□自動車登録証書、□在庫品一覧表、□会員権証書
□有価証券、□不動産登記簿謄本(3ヶ月以内のもの)
□賃貸借契約書(テナント、倉庫、駐車場等)、□株主名簿
□支店・営業所・工場等一覧表、□賃金台帳、□就業規則
□退職金支給規定、□登記用物件目録(法務局別)、□生命保険証書
□解約返戻金計算書、□訴訟関係書類

6. 申立の諸費用
(1)弁護士費用
 会社の破産申立の弁護士費用については、一定の定ったものはありませんが、例えば負債総額を基準として、当事務所では次のような費用を一つの目安としていますが、諸事情もあるでしょうから、詳しくは弁護士とよく相談して決めて下さい。
    
負債総額 法人 自然人
5000万未満 70万円 50万円
    5000万〜1億未満 100万円 80万円
   1億 〜   5億未満 200万円 150万円
   5億 〜  10億未満 300万円 250万円
   10億 〜  50億未満 400万円
   50億 〜 100億未満 500万円
  100億 〜 250億未満 700万円
  250億 〜 500億未満 800万円
  500億 〜1000億未満 1000万円
1000億以上 1000万円以上

(2)東京地方裁判所での少額破産管財事件であれば、裁判所への破産予納金は20万円。
(3)東京地方裁判所での一般破産管財事件
 債権者数が300名以上、又は、債権者からの申立があった場合には、少額破産管財事件ではなく、一般破産管財事件として取り扱われ、その場合の予納金は下記のとおりです。
 但し、関連事件や大型事件等の特別な事件の場合には予納金額が変更される場合があります。
    
負債総額 法人 自然人
5000万未満 70万円 50万円
    5000万〜1億未満 100万円 80万円
   1億  〜  5億未満 200万円 150万円
   5億  〜 10億未満 300万円 250万円
   10億 〜  50億未満 400万円
   50億 〜 100億未満 500万円
100億〜 700万円〜

(4)実費
 裁判所への印紙、予納郵券、及び、申立代理人の実費等として概算3万円位〜5万円位からが一般的な目安か。

7. 申立前後にやってはならないこと!
 会社が経営的に破綻状況に陥ったとき以降は、一部債権者への弁済、代表者への支払、財産の処分行為(預貯金の払戻、不動産や動産の売却、担保設定、財産の隠匿等)は禁止されていますので、絶対にしないで下さい。否認権の対象となり又刑事事件(横領、詐欺、特別背任、證券取引法違反、詐欺破産罪等)の対象となる恐れがあります。

8. 社長個人の破産申立
 中小企業の社長やその親族は、ほとんどが会社の債務について連帯保証をしていると考えられます。特に取引銀行や信用保証協会、大手の仕入先には連帯保証をしていることが多いと思われますので、会社の倒産時に社長やその親族が多額の連帯保証債務を負担することが多くあります。
 従って、会社の自己破産申立時に同時に社長や多額の連帯保証債務を負担する親族も自己破産の申立をすることがあります。
 社長等の自己破産の申立は、会社の破産申立と同時に行われても、別事件としての申立となり、必要書類・費用等が異なりますので、弁護士によく相談してみて下さい。
 なお、個人の自己破産においては、担保に入っている自宅等が競売ないし任意売却されるのが大原則となっています。

9. その他
 会社の自己破産の申立については、別稿として「破産手続きの概要」、「少額破産管財事件」等をありますので、ご参照下さい。

この会社の破産申立につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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