御器谷法律事務所

生協法

1. 生協とは、
 生協とは、消費生活協同組合の略称で、消費生活協同組合法(生協法)に基づいてつくられる組織です。平成17年度末現在、組合数は1,116、組合員数は延べ5,915万人を数え、購買事業、共済事業、医療サービスなど、様々な分野で事業活動を行っています。
 生協法は、「国民生活の安定と生活文化の向上を期する」ことを目的として作られており、生協法によって作られた組織である生協は、通常の会社組織と異なり、組合員に対する最大の奉仕を目的とし(生協法9条)、営利を直接の目的とせず、生活文化の向上などを主な目的としています。
 このような背景の中、物資の不足していた時代には、生協は、食糧などを安定的に供給する役割を担っていましたが、現在では、環境問題や食の安全問題などにも積極的に取り組んできています。

2.生協法の概要

 生協法は、まず、第1章「総則」において、生協を設立するための基準や、生協がその組織名に「消費生活協同組合」などの名称を用いるべきこと、反対に、基準を満たさない組織が、「消費生活協同組合」などの名称を用いてはならないことなどを定めます。
 次に、生協法は、第2章「事業」において、組合の事業が、組合員及び会員に最大の奉仕をすることを目的とし、営利を目的として事業を行わないことを定めます。
 また、生協法は、組合員になるための資格や組合への加入方法(第3章「組合員」)、組合の管理の方法(第4章「管理」)や設立・解散の方法(第5章「設立」、第6章「解散及び清算」)、登記の方法(第7章「登記」)などを定め、さらに、行政庁がどのような方法で生協を監督するかについても定めています(第8章「監督」)。
 このように、生協法は、生協について、満たすべき一定の基準を定め、適切な管理・運営方法を定めることにより、国民生活の安定と生活文化の向上を図ることを目的とした法律といえます。

3.改正法
 生協法は、昭和23年の制定以来改正を繰り返してきましたが、平成19年5月16日に抜本的な改正のための法律が公布され、一部を除き平成20年4月1日から施行されました。
 この改正は、国民の生活環境の変化、共済事業など生協の事業の多様化、組織管理体制の厳格化など、社会環境の変化に対応したもので、その主な内容は、以下のようなものです。
(1) 購買事業における県域規制の緩和(第5条第2項)
 これまで生協は、県境を越えて設立することはできませんでした。この規制により、県境付近に住んでいる方は、近くに生協ができても隣の県だという理由で最寄りの生協の組合員になれない、というケースが出てきていました。
 そこで、「購買事業のため必要な場合」には、本部のある県の隣の県まで生協の活動区域を広げることができるようになりました。このことにより、県境を越えて隣の県の組合員がお店を利用することができるようになりました。
(2) 員外利用規制の緩和(第12条第3項ただし書、第4項)
 生協の組合員以外の人が生協の活動を利用することを、員外利用といいます。
 生協は、組合員に対して奉仕することが目的とされた組織なので、原則として、組合員以外の人が生協を利用する利益を受けることは想定されておらず、員外利用は禁止されています。
 しかし、員外利用を厳重に禁止した場合には、災害時の緊急物資の配布や、医療・福祉事業なども機動的に行うことができなくなります。また、必ずしも、員外利用を全面的に禁止しなければ、組合員に対する最大奉仕ができない、とは限りません。
 そこで、改正生協法は、員外利用は従前同様に原則禁止としつつも、行政庁の許可により員外利用を認めるもの(第12条第4項ただし書2号、3号)と、許可を必要としないで員外利用を認めるもの(同条第3項ただし書、第4項本文)を区別し、個別に規定しました。
 そして、一定の員外利用については、法令のうえで許可を不要としたうえで、組合員の利用分量の100分の20など、一定割合までの員外利用を認めることにして、組合員の利益との調整を図ることにしました。
(3) 共済事業の契約者保護
 共済事業は、現在、生命共済、火災共済など、様々な商品を取り扱っており、その規模も国内の保険会社に次ぐ大きさになってきています。
 しかし、生協の共済事業が当初小規模なものであったこともあり、生協の共済については、契約者保護のための規定がきちんと設けられていない状況でした。
 そこで、改正生協法は、共済事業について、重要事項説明やクーリング・オフなど共済に加入するときのルールを定めました(生協法第12条の2第3項、保険業法294条、309条、生協法第50条の6)。
 また、最低出資金、準備金などの基準(第54条の2、第50条の7〜9)、共済事業の他の事業との兼業規制(第10条第3項)や健全性基準(第50条の5)を導入するとともに、経営情報の開示を義務付け(第53条の2)、事業の健全性を維持するための取り決めが定められました。
 さらに、万が一共済が破綻したときには、契約者を保護することができるように、契約の包括移転に関する規定が整備されました(第50条の2)。
(4) 組織管理体制の強化・明確化
 従前の生協法では、理事会に関する規定がないなど、組織管理の観点から、十分でない点もありました。
 そこで、組合機関の権限を明確化(第30条の4、第30条の3、第30条の9等)し、組合内部の管理体制を強化するとともに、員外理事枠の拡大(第28条第3項)、員外監事の設置義務付け(第28条第4項)などの規定を設けることにより、生協外部からの監視機能についても強化されました。
 また、役員の責任についても明確化されました。
 第31条の3第1項は、「役員は、その任務を怠ったときは、組合に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」として、役員の生協に対する責任を規定しました。また、「任務を怠った」行為が、理事会の決議に基づいて行われた時には、その決議に賛成した理事は、「任務を怠った」行為をしたものとみなされます。
 そして、このような役員の生協に対する責任を追及するための制度が設けられました(第31条の6)。この制度により、6か月間以上継続して加入している組合員が、生協に対して役員への損害賠償を請求する訴えを提起するよう請求することができ、さらに、生協が役員に対して60日間訴えを起こさなかった場合には、組合員が代表として役員の責任を追及する訴えを提起する、いわゆる「組合員代表訴訟」を提起することができるようになったのです。
 他方で、第31条の4は、「役員がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。」として、役員の第三者に対する責任を規定しています。
 さらに、総会や理事会の議事録(第45条、第30条の7)、決算関係書類(第31条の7)、組合員名簿(第25条の2)などの生協の管理・運営に関する書類について、組合員などが生協に対して開示するよう求める際の基準や方法などが明確化されました。
(5) 医療・福祉事業
 今までは、医療・福祉事業は、独立の事業形態として法律上規定されず、組合員が生協を利用する事業の一つという位置づけでした。そこで、医療・福祉事業を法律上独立させました(第10条第1項第6号、第7号)。
 また、医療・福祉事業による剰余金の割戻しを禁止し(第50条の3第3項、第51条の2)、その使途について、組合員が行う福祉活動に対する助成を追加しました(第51条の4第5項)。

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