御器谷法律事務所

偽装請負、偽装委託

1. 偽装請負、偽装委託とは、
 企業が人材会社から労働者を受けいれる際、契約上の形式としては業務の請負契約や業務委託契約という外形をとっていても、実質的な労働形態としては受け入れた企業が労働者を指揮命令しており、その労働の実態が労働者派遣であるものを意味します。
 偽装請負や偽装委託は、労働者を受け入れる企業者としては、構内請負等と称して低賃金での労働者を確保できることや、労働者派遣法上の義務や事務負担を軽減できること等から製造業と中心として広く行われていたとの指摘があります。

2. 偽装請負の問題点
 一般に請負は、請負人が仕事の完成を約束し、注文者がこれに対して報酬を支払うことを約束する契約です(民法632条)。そして、請負契約においては、注文者と請負人の労働者との間には何等の指揮命令関係が成立せず、又、注文者が請負人の労働者に対して監督義務を負うことは通常ありえないとされています。このことは建築請負においては明白なところです。
 しかし、偽装請負においては、受け入れ企業側は、労働者を直接指揮命令するにもかかわらずその監督責任が曖昧になっています。
 そのため偽装請負にあっては、賃金が低く、労働災害の際にも受け入れ企業側の責任が曖昧となり、しかも企業側は簡単に実質上の解雇手続等をとることができ、労働者保護の要請に欠ける等の様々な問題が生じています。
 さらに、この偽装請負は、その労働の実態が労働者派遣そのものに該当する場合、労働者派遣法上の重大な問題が発生します。つまり、人材会社にあっては、労働者派遣事業についての許可ないし届出をしていなければその点だけでも重大な法令違反となります。また、派遣事業の許可ないし届出をしている場合でも、労働者派遣法に規定する「派遣元事業主の講ずべき措置等」を講じていなければやはり労働者派遣法に違反することとなります。そして、偽装請負において労働者を受け入れた企業側についても、派遣事業主以外の労働者派遣事業者から役務の提供を受けていれば労働者派遣法24条の2に違反する場合があり、又、「派遣先の講ずべき措置等」を行っていないものとしてやはり労働者派遣法に違反することになります。
 また、偽装請負にあっては、労働者派遣法違反のみならず場合によっては職業安定法に違反するとの指摘もあります。

3. 労働者派遣事業と請負との区分
 この点については、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年4月17日労働省告示第37号)によって、請負となる基準として概ね次の諸点を挙げています。
(1) 自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用すること。
イ) 業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行うこと。
ロ) 労働時間等に関する指示その他の管理を自ら行うこと。
ハ) 企業における秩序の維持、確保等のための指示その他の管理を自ら行うこと。
(2) 請負い業務を自己の業務として相手方から独立して処理すること。
イ) 業務処理に要する資金を、すべて自らの責任で調達し支弁する。
ロ) 業務処理につき、法律に規定された事業主としての責任をすべて負う。
ハ) 自己が調達する機械、設備、器材、材料、資材を利用し、又は、自らの企画や自らの専門的技術や経験に基づいて業務を処理する。

4. 偽装請負の実体
 平成18年10月、大阪労働局は、クリスタル・グループのコラボレートに対して偽装請負を問題として労働者派遣法に基づき事業停止命令を出しました。クリスタル・グループの当時の年間売上は5,000億円を越えていたとも言われ、大きな反響をよびました。
 なお、偽装請負は、日本を代表するメーカーにおいても行われており、これらに対して全国の労働局が立ち入り調査を実施し、監督を強化しているとの報道がありました。

 この偽装請負、偽装委託につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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