御器谷法律事務所

食の偽装、不正事例


 食の安全を脅かした主な事例を取り上げ、それらがどのような社会的、経済的、そして法律上の問題を惹起したのかを検討してみました。

1. 1955年-森永ヒ素ミルク中毒事件
 森永ドライミルクの製造過程で溶解度を高める添加物にヒ素が混入し、乳児約1万3,000人がヒ素中毒となり、約130人の死亡者が出た。
 森永側は、当初より過失を否定したが、1960年代には森永製品の不買運動へと発展。
 工場の製造課長が禁固3年の実刑判決。

2. 1968年-カネミ油症事件

 カネミ倉庫(株)により製造された食用油に、熱媒体としてPCB(ポリ塩化ビフェニール)が混入し、これを摂取した約1万4,000人に色素沈着等の肌の異常、肝機能障害等が発生し、黒い赤ちゃんが生まれた。

3. 2000年-Y乳業、大阪工場-1万人余の大規模集団食中毒事件

 同社低脂肪乳等から黄色ブドウ球菌を検出。
 食品衛生法に基づき乳製品製造の営業禁止と回収命令。
 工場長に、業務上過失致傷罪で禁固2年、執行猶予3年の判決。

4. 2002年-Y食品偽装牛肉事件

 国のBSE(牛の海綿状脳症)対策事業に関し、輸入牛肉を国産牛肉と偽装し国の助成金2億円弱を騙し取った事件。
 取引先のN冷蔵の内部告発により発覚。
 関西ミートセンター長が詐欺罪で逮捕され、懲役2年、執行猶予3年の有罪判決。
 Y食品は解散し、清算。

5. 2007年1月-F社の洋生菓子の消費期限表示につき農水省が厳重注意。
 F社のプリン、シュークリームに社内基準を1~2日超える消費期限を表示。
 内部告発により発覚。
 JAS法に違反はしないが、自ら定めた基準を逸脱するものであり厳重注意。

6. 2007年8月-「白い恋人」(I製菓)の賞味期限改ざん事件
 内部告発により発覚。
 JAS法に違反して、一度表示した賞味期限を超過した日を新たな賞味期限と再表示して販売。
 営業停止数ヶ月、北海道からJAS法に基づく法令遵守の徹底、品質表示の点検体制の整備等の行政処分。

7. ミートホープ社長逮捕

 豚肉や鶏肉を混ぜた偽装牛ミンチを「牛100%」と表示して販売。社長は、不正競争防止法違反(虚偽表示)で逮捕。
 元幹部からの内部告発で発覚。
 会社は、業務停止後、自己破産。
 ミートホープ社長は、2008年4月、不正競争防止法(虚偽表示)と詐欺罪で懲役4年の実刑判決、確定。

8. 2007年10月-A社、消費期限切れを再使用

 農水省の食品110番への元社員からの内部告発で発覚。
 伊勢神宮参拝のお土産で創業300年の老舗。平成5年の伊勢神宮の式年遷宮で冷凍保存技術を導入。包装紙の「巻き返し」がJAS法違反(品質の問題ではなく、表示が問題)。材料は、JAS法は重い順で表示、小豆ではなく砂糖としたのもJAS法違反。
 返品分を「むきあん」や「むきもち」として再使用。
 三重県による無期限の営業禁止処分。その後解除。
 「3つ売るより、1つ残すな。」―A社の経営と法令遵守の関係を考えさせられる。販路を拡大し企業規模を拡大した前社長のワンマン体制の下では、JAS法への違反意識はなかったのか。

9. 2007年10月-船場K社、賞味期限切れ菓子のラベルを張り直し
 その後、但馬牛(九州産牛を使用)、地鶏(ブロイラーを使用)も表示を偽装し、JAS法に基づき改善処分。
 幹部主導が判明、不正競争防止法(虚偽表示)違反で捜査、08年7月社長と専務が牛肉産地偽装として略式起訴へ。
 2008年1月、民事再生法の適用申請。
 2008年5月、食べ残しの使い回しが発覚し、従業員を解雇し、破産申立へ。

10. 2008年1月-中国製冷凍ギョーザで中毒症状
 中国の天洋食品で製造された冷凍ギョーザを、JTフーズが輸入し、「CO.OP手作り餃子」等として販売し、商品の一部から殺虫剤成分メタミドホスが検出。

11 2008年6月-中国産ウナギ蒲焼きの産地偽装
 ウナギ輸入会社と大手水産物卸売会社が、中国産ウナギの蒲焼きを「三河一色産」と産地を偽装して大量に販売し、JAS法で改善指示(農水省)、不正競争防止法違反(虚偽表示)で捜査へ。詐欺罪も適用か。
 農水省と警察が、食品偽装問題で連携の強化を表明。

12. 2008年7月-飛騨牛偽装
 岐阜県の食肉卸販売のM社が、等級を偽装し「飛騨丸」として販売し、不正競争防止法違反(虚偽表示)で家宅捜査。

13. 2008年9月事故米を食用と偽って転売
 大阪の三笠フーズが工業用の事故米を食用と偽って転売し、利ざや稼ぎをし、メタミドホスやアフラトキシンB1が検出。食品衛生法(有害食品の販売)に基づき回収命令。
 食品衛生法違反(規格基準外食品の販売)と不正競争防止違反(虚偽表示)の容疑で、家宅捜査。詐欺容疑での立件へ。
 2008年11月、破産手続開始を申立。

14. 2008年9月-中国粉ミルク事件
 中国で製造されている粉ミルクから有害物質のメラミンが検出され、これを飲んだ乳幼児のうち5人が死亡し、5万人余が治療を受けたとされています。
 メラミンは、牛乳成分のたんぱく質含量をあげるために意図的に使われたとされています。

15. 2008年12月-比内地鶏偽装事件
 比内鶏(会社は破産)の元社長(77歳)に、詐欺罪と不正競争防止法違反(虚偽表示)の罪で、秋田地方裁判所は懲役4年の実刑判決

16. 2009年1月-中国でメラミン混入で死刑判決
 中国の中級人民法院は、メラミンを混入した酪農業者らに対し公共安全危険罪等で死刑判決。三鹿集団の前会長には、劣悪品生産販売罪で無期懲役。

17. 2009年4月-中国産ウナギかば焼き産地偽装事件で判決
 水産卸会社社長と大手水産食品子会社元担当課長らに、神戸地方裁判所が、不正競争防止法違反で、懲役2年6月、執行猶予4年、罰金400万円等の判決。

18. 2009年6月-中国産ウナギを鹿児島産と産地偽装
 銀座の食品会社の会長ら3名を、不正競争防止法違反(虚偽表示)で逮捕。ウナギのDNA型鑑定で中国産と判明。

19. 2009年6月-事故米の不正転用で逮捕
 接着剤製造販売会社A社が殺虫剤成分メタミドホスで汚染された事故米を不正に食用として転売した事件で、A社社長を食品衛生法違反(規格基準外の食品販売)で逮捕。

20. 2009年10月-Mフーズ元社長に実刑判決
 上記13の件につき、大阪地裁は三笠フーズ元社長に不正競争防止法違反(虚偽表示)で懲役2年、罰金400万円の実刑判決を言い渡しました。

21. 2010年3月-中国産タケノコを国産表示
 三越は、中国産のタケノコを国産と表示して、カタログやインターネットで約3,700万円相当を販売したと発表。取引先の食品加工業者が産地を偽装したことが原因。三越は、購入者約7,000人におわび状を送付し、国産タケノコを発送へ。

22. 2010年3月-中国製冷凍ギョーザ事件で、中国人容疑者を拘束
 同事件で、メーカーの天洋食品の元臨時工である呂月庭容疑者は、同社の賃金や待遇等に不満をもち、冷凍ギョーザに有機リン系殺虫剤メタミドホスを混入した疑いがもたれている。

23. 2010年6月-台湾産ウナギを国産(愛知県三河産)と偽装
 セイワフードが、台湾産ウナギの冷凍かば焼きを国産と偽装。消費者庁、農水省、東京都が、JAS法違反、景品表示法違反の容疑で立ち入り調査。
 その後、7月に不正競争防止法違反(虚偽表示)で家宅捜索。

24. 2010年7月‐事故米を食用米として不正転売
 カビのある事故米を食用米として不正に転売し、食品衛生法違反容疑で、石田物産、甘糟損害貨物等4社が家宅捜索。

25. 2010年8月-中国産ウナギの輸入業者の偽装
食品衛生法違反(表示の基準)の容疑で、イトーヨーカ堂の元社員らを逮捕し、同年9月に起訴。

26. 2011年1月-中国産ウナギ輸入業者の偽装
上記25の事件につき、横浜地方裁判所は、懲役1年、執行猶予3年の判決を言い渡しました。

27. 2011年1月-氷見の寒ブリで産地偽装
福井県産のブリをブランド魚「氷見の寒ブリ」と偽った氷見の仲買業者を不正競争防止法違反(誤認させる行為)の容疑で、富山県警が家宅捜索。

 この食の偽装、不正事例につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい


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