御器谷法律事務所

循環取引の法的責任

1. 循環取引とは、
 一般的には、複数の企業間において、合意ないし通謀のうえ、帳簿上で商品の売買やサービス等の業務委託や請負等をくり返し、実体のともなわない架空の売り上げを計上する取引のことを言います。
 帳簿上の伝票の操作だけで売上げを増加するものであり、売上げの実体をともなわないため不正の温床となるとの指摘があります。
 このような循環取引は、エンロン事件やIXIの経営破綻、加ト吉グループ等においてかつて問題化したことがありました。

2. 循環取引のねらい
 循環取引は、実体のともなわない売上の増加により、それを行う企業の業績を良く見せかけ、成長性を誇示しようとしたり、増資や融資に利用し、さらには上場に利用し、又、株価のつり上げ等のために悪用する事例も指摘されています。
 また、循環取引を利用して、企業の損失を覆い隠そうとする例も指摘されています。
 さらに、企業の決算対策や不良在庫の隠ぺい等のため、期末に在庫商品を通謀している企業に売買したこととし、期中に架空の売上を計上し、その後決算後に商品を買い戻し辻つまを合わせようとのやり方も、この循環取引の一種としてとらえることもあります。

3. 循環取引の法的責任
 循環取引に関しては、その具体的態様、お金の流れ、意図、結果等により次のような様々な法的責任が問題となってきます。
(1) 刑事責任
 循環取引によって売上高を水増ししている上場企業は、有価証券届出書に虚偽の記載をしていることとなりますので、証券取引法ないし金融商品取引法違反の刑事責任が問題となることがあります。
 企業内で循環取引を行った担当者においては、その具体的態様やお金の流れ、その意図と結果によっては、詐欺罪や業務上横領、背任ないし特別背任、私文書偽造・同行使の罪等が問題となる余地があります。
(2) 民事責任
 企業において循環取引を行った担当者に対しては、その企業からの損害賠償請求や取締役に対する株主代表訴訟等の民事責任が問題となります。
 そして、循環取引に関与した取引先企業も、連帯して損害賠償責任を負う場合も考えられるでしょう。
 また、株式を公開している企業が循環取引を行ったときは、株主からの金融商品取引法に基づく有価証券報告書虚偽記載者への損害賠償請求等もあり得るところです。
 さらに、企業倒産をめぐって、管財人から循環取引を行った元社長に対する損害賠償請求も報道されていたところであります。
(3) 行政処分等
 株式の公開企業等において循環取引による粉飾決算により売上げを水増ししていたときは、有価証券報告書の虚偽記載として、金融商品取引法違反に該当し、証券取引等監視委員会(SEC)の勧告により、金融庁より課徴金が科されることがあります。
 また、有価証券報告書の虚偽記載が重大であり、上場廃止基準に抵触するときは、上場廃止が東京証券取引所より命じられた例があります。

 この循環取引の法的責任につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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