御器谷法律事務所

企業結合と独禁法


1. 企業結合とは、
 独占禁止法第4章は、第9条から第18条として、株式の保有、役員の兼任、合併、会社分割、株式移転、事業の譲受けを企業結合として独禁法上の規制を行っています。
 この企業結合は、不当な取引制限(カルテル)が「ゆるい結合」といわれるのに対して、企業組織にかかわる組織的な結合をめざすものとして「固い結合」といわれています。
 企業結合は、生産性の向上や販売の効率化を図り会社組織上の継続的結合をめざすものであり、企業にとっては大きなメリットがあります。しかし、企業結合によって市場における競争が減殺されるおそれも大きく、又、一旦企業結合が行われるとこれを元に戻すことは極めて困難なものがあります。
 従って、独禁法は、企業結合に対しては競争の実質を確保する見地から事前の審査を中心に規制を行っています。

2. 企業結合への規制の特徴
 独占禁止法における規制の3本柱として、私的独占の禁止、不当な取引制限の禁止、不公正な取引方法の禁止が挙げられることがあります。そして、企業結合は、独禁法の規制の第4の柱といわれることもあります。
 しかし、この企業結合は、特に私的独占との関係では、私的独占による市場支配力の維持や形成に対する一種の予防的ないしは補完的な機能を有する規制を内包するとの指摘があります。
 また、私的独占が市場支配力の形成や維持を意味する「支配」や「排除」という行為を規制の対象とするものであることに対して、企業結合は合併や会社分割、株式保有等による市場自体の構造の変化を規制上問題とするものであります。そして、その意味から私的独占は「行為規制」と言われ、企業結合は「構造規制」とも言われています。

3. 企業結合−規制の類型
 企業結合への規制としては、独禁法はその第4章において、一般集中規制と市場集中規制との類型に分けることができます。
(1) 一般集中規制
 これは、市場における個々の競争制限を問題とするのではなく、「事業支配力の過度の集中」つまり国民経済全般に対する支配力を問題とするものであり、次の規定がこれに該当するとされています。
1) 第 9条 他の会社の株式等を所有することにより事業支配力の過度に集中することとなる会社の設立はしてはならない。
2) 第11条 銀行業又は保険業を営む会社は、原則として、他の会社の議決権の5%(保険業にあっては10%)を超えて株式を取得、保有してはならない。

(2) 市場集中規制
 これは、個々の市場における競争の実質的制限を問題として企業結合への規制を考慮するものであり、次の規定がこれに該当するものとされています。
 1) 第10条−会社の株式保有の制限
 2) 第13条−役員等の兼任の制限
 3) 第14条−会社以外の者の株式の保有の制限
 4) 第15条−会社の合併の制限
 5) 第15条の2−会社分割の制限
 6) 第15条の3−共同株式移転の制限
 7) 第16条−事業の譲受け等の制限

4. 平成21年独禁法改正
 平成21年の独禁法改正においては、経済活動のグローバル化、企業の組織再編の多様化といった経済事情の変動を背景に、諸外国の制度との調和、企業等関係者の負担軽減、企業結合審査の効率化等を志向して、企業結合規制の見直しがされました。
 具体的には、株式取得についての事前届出制の導入、株式取得に関する届出基準の見直し、合併・会社分割・事業等の譲受けに関する届出基準の変更、共同株式移転に関する規定の新設等がされました。

5. 企業結合−実務における処理の特徴
(1) ガイド・ライン
 一般集中規制に対しては、公取委平成14年「事業支配力が過度に集中することとなる会社の考え方」、同年「独占禁止法第11条の規定による銀行又は保険会社の議決権の保有等の認可についての考え方」があります。
 市場集中規制に対しては、公取委平成16年「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」、平成14年「企業結合計画に関する事前相談に対する対応方針」があります。
(2) 事前相談の実施
 企業結合に関する規制については、その計画を有する企業が事前に公正取引委員会にその是非を「事前相談」という形で打診し、その事前の審査においていわゆる「問題解消措置」等が示されることがあります。
 そして、この企業結合の事前相談の内容は、近時は公取委のホーム・ページ等において公表されているものがあります。

 この企業結合と独禁法につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい
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