御器谷法律事務所

原子力損害賠償支援機構法

 原子力損害賠償支援機構法は、平成23年8月3日に成立し、平成23年8月10日に公布、施行されました。
 同法の正式名称は、「原子力損害賠償支援機構法」そのままであり、主務官庁は内閣府となります。

第1 原子力損害賠償支援機構法の目的
 原子力損害賠償支援機構法 (以下「支援法」といいます。) が制定された目的は、原子力損害の賠償に関する法律 (以下「賠償法」といいます。) が定めている賠償措置額を上回る賠償額を要する原子力損害が発生した場合に、賠償の責めに任ずる原子力事業者が損害を賠償するために必要な資金の交付その他の事業を行う、原子力損害賠償支援機構 (以下「機構」といいます。) を設立するためです。機構が原子力事業者に対し資金の交付等を行うのは、原子力損害の迅速かつ適切な賠償及び電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保を図り、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資するということを究極の目的としています。
 賠償措置額については賠償法7条1項が原則として1200億円と定めています。東京電力が現在までに支払った賠償額は約690億円ほどであると言われていますが、被害の規模から、賠償額が1200億円を上回り、機構の援助を受けるのは確実と言えるでしょう。

第2 機構の業務内容
 機構の行う業務は、1.負担金の収納、2.資金援助その他の規定による業務、3.相談その他の規定による業務、4.1~3の業務に付帯する業務となっています。
1. 負担金の収納
機構は、原子力事業者から、事業年度ごとに負担金を収納します (支援法37条1項) 。納付する負担金の額は一律ではなく、原子力事業者ごとに異なる額となっています。
2. 資金援助その他の規定による業務
原子力事業者が機構から資金援助を受けるためには、資金援助の申し込みをする必要があります (支援法40条1項) 。申込める内容は資金の援助のみならず、発行株式の引受依頼や、資金貸付、借入れに係る債務の保証等も含まれます。
3. 相談その他の規定による業務
機構は、資金援助を行った場合には、当該原子力事業者に係る原子力損害を受けた者からの相談に応じて必要な情報の提供及び助言を行います (支援法51条) 。
 
第3 支援法は国が原子力事業者を助ける法律なのか
 賠償法によって一義的に損害賠償責任を負うとされているのは原子力事業者であり、今回成立した支援法も、その財源を基本的には原子力事業者からの負担金としている点で、賠償措置額を超えた原子力事業者を援助するのは、まず原子力事業者という仕組みになっています。
 国による資金援助は、「著しく大規模な原子力損害の発生その他の事情に照らし、機構の業務を適正かつ確実に実施するために十分なものとなるように負担金の額を定めるとしたならば、電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営に支障を来し、又は当該事業の利用者に著しい負担を及ぼす過大な額の負担金を定めることとなり、国民生活及び国民経済に重大な支障を生ずる恐れがあると認められる場合に限り、予算で定める額の範囲内において」という限定されています (支援法65条)。65条の適用がある場面という観点からも、上限が予算の範囲内という点においても国の責任は非常に限定的にとらえられていると思います。
 もっとも、賠償法16条は「政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業者(外国原子力船に係る原子力事業者を除く。)が第三条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なう」と定めているため、国の賠償責任は、本条や、より直接的に国家賠償という手段で追及されていくものと思われます。

 この原子力損害賠償支援機構法につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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