御器谷法律事務所

企業と法律 「コンプライアンス」

1.
コンプライアンス体制構築の必要性
 会社が社会的責任を負う社会の一員である以上、その役員や従業員が法令を遵守すべきは当然のことです。
 しかし、現実には法令に違反した企業の不祥事は後をたちません。
会社が法令に違反した不祥事をおこすと、民事上及び刑事上の責任のみならず、場合によっては行政上ないし指名停止等の処分を受けます。さらにマスコミに報道されると、社会の批判にさらされ、消費者や取引先からの信用も一気に失うことがあり、会社の存続自体が脅かされることすらあります。
 従って、会社の信用を維持し社会的存在の継続を図る限り、法令を遵守すべき体制=コンプライアンス体制の構築は必要不可欠なものであります。
 ただ、このコンプライアンス体制の具体的内容については、大企業と中小企業とでは自ずからその内容、組織、人材等に大きな差異が存しますが、各企業において可能な限りでの取り組みが必要と考えられます。

2.具体的なコンプライアンス体制
(1) 社長ないし企業のトップによるコンプライアンス体制の意思表明
 法令の遵守が企業の存続にとって必要不可欠なものであることを、会社の経営方針として意思表明し、全役員及び従業員がこれを遵守することの必要性を明確にします。
(2) 法令遵守のための具体的行動基準(マニュアル)
 役員や社員が法令に違反しないためには、どのような行動をしてはならないか、又は、どのような行動をすべきか、を具体的な行動基準として記載するものであり、一読して分かりやすい「マニュアル」として作成される部分です。
 この行動基準については、一般的な法令遵守のためのいわば総論的なコンプライアンス・プログラムの作成が先ず考えられます。
 そして、企業の置かれている業界や各担当部署の実情に応じて、いわば各論的コンプライアンス・プログラムとして次のようなプログラムの作成が考えられます。例えば、
 1) 独占禁止法コンプライアンス・プログラム
 2) 営業マンのべからず集
 3) 下請担当者の行動指針
 4) 建設業における公共入札コンプライアンス・プログラム
 5) 小売業における公正取引コンプライアンス・プログラム
 6) インサイダー取引禁止プログラム
 7) 内部通報プログラム
 8) コンプライアンス研修プログラム
 9) 贈答品・接待等倫理基準
(3) 担当部署の決定
 会社として法令遵守を実行するにはコンプライアンス体制を会社組織として構築する必要があります。このコンプライアンス体制は会社の規模によっても異なってきますが、担当部署を総務部や法務部とし、あるいはコンプライアンス部を設け、さらにはコンプライアンス・オフィサーやコンプライアンス委員会を設け、一般社員からの相談にも機動的に応ずるシステムが構築されることもあります。

3.具体的実行手続
(1) コンプライアンス・プログラムを作成したときは、これを広く社内に周知徹底させる必要があります。社員向けハンドブックを作成しこれを全社員に配布し、社内において研修会を開催し、さらに各部署毎でミーティングを開催する等の工夫が有益です。
 また、企業としてこのコンプライアンス体制を広く社会に周知せしめるにはホーム・ページに記載することも一方法でしょう。
(2) コンプライアンス・プログラムを作成しこれを会社の方針として実行するには、一般社員からの相談体制を確立する必要があります。この点会社として担当役員や担当部署を決め一般社員から直接メール等で相談できるシステムの設置も一方法でしょう。
 また、全役員、社員から毎年一回コンプライアンスの誓約書を採っている企業もあり、全社員がコンプライアンス・セルフチェック・カードを常に携帯すべきことを要請している企業もあります。
(3) コンプライアンス・プログラムは、毎年定期的に改訂を行い、定期的研修等によりその実効性を確保すべき努力が求められます。

<追加記載−補充>
1. コンプライアンスとは

2. コンプライアンスの根拠
(1)
取締役
善管注意義務(会社法§330、民法§644)
忠実義務(会社法§355)
「取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。」
大会社である取締役会設置会社の取締役会に、内部統制システムの構築、決定の義務(会社法§362(4)6号、(5))
(2)
従業員 就業規則、服務規律、雇用契約書
入社時の誓約書
コンプライアンス誓約書
(3) 判例
大和銀行株主代表訴訟(大阪地裁平成12年9月20日判決)
 健全な会社経営を行うためには、目的とする事業の種類、性質等に応じて生じる各種のリスク、例えば、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、事務リスク、システムリスク等の状況を正確に把握し、適切に制御すること、すなわちリスク管理が欠かせず、会社が営む事業の規模、特性等に応じたリスク管理体制(いわゆる内部統制システム)を整備することを要する。そして、重要な業務執行については、取締役会が決定することを要するから(商法260条2項)、会社経営の根幹に係わるリスク管理体制の大綱については、取締役会で決定することを要し、業務執行を担当する代表取締役及び業務担当取締役は、大綱を踏まえ、担当する部門におけるリスク管理体制を具体的に決定するべき職務を負う。この意味において、取締役は、取締役会の構成員として、また、代表取締役又は業務担当取締役として、リスク管理体制を構築すべき義務を負い、さらに、代表取締役及び業務担当取締役がリスク管理体制を構築すべき義務を履行しているか否かを監視する義務を負うのであり、これもまた、取締役としての善管注意義務及び忠実義務の内容をなすものと言うべきである。

3. 内部告発とコンプライアンス

 (1) 公益通報者保護法の成立
 (2) 内部通報規程等の制定

4. 中小企業におけるコンプライアンス
 (1) 中小企業においてコンプライアンス体制の構築を妨げる要因
 (2) 中小企業においてコンプライアンスを助長する要因
 (3) 中小企業へのコンプライアンス徹底の具体的方策

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