御器谷法律事務所

消費生活用製品安全法

−製品事故の報告、公表とリコール−

1. 意義
(1) 消費生活用製品安全法とは、消費生活用製品による一般消費者の生命又は身体に対する危害を防止するため、特定製品の製造及び販売を規制するとともに、製品事故に関する情報の収集及び提供等の措置を講じ、もって一般消費者の利益を保護することを目的とする法律です。
 ガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故の多発やシュレッダーによる幼児の指切断事故を受けて、平成18年11月29日に改正法が成立し、平成19年5月14日に施行されました。
 本法の対象となる「消費生活用製品」とは、主として一般消費者の生活の用に供される製品のことをいいます。例えば、スプレー缶の殺虫剤のような一般消費者が容易に購入可能で、一般家庭でも使用できるような製品です。ただし、本法以外の他の法令で個別に安全規制が図られている製品は、「別表に掲げるもの」として消費生活用製品から除外されています。例えば、道路運送車両法に規定される自動車などは除外されることになります。
(2) 従来は、製品事故情報の収集・公表については、事故情報収集制度というあくまで任意の制度として、独立行政法人製品評価技術基盤機構(nite)が行ってきました。消費生活用製品安全法は、この制度を一歩前進させ、消費生活用製品についての重大製品事故については、製造・輸入業者に消費者庁への報告義務を課し、同庁による公表やリコール等の命令を規定しているところに意義があります。

2. 規制の概要
 本法律では、消費生活用製品について様々な規制を施していますが、ここでは重大製品事故が発生した場合の規制について説明していきます。 
(1)重大製品事故とは
ア. 製品事故のうち危害が重大なものをいい、具体的には以下の事故が対象となります。
1) 一般消費者の生命又は身体に対する危害が発生した事故のうち、危害が重大であるもの(死亡事故、治療に要する期間が30日以上の重傷病事故又は後遺障害事故、一酸化中毒事故)。
2) 消費生活用製品が滅失し、又は毀損した事故であって、一般消費者の生命又は身体に対する重大な危害が生ずるおそれのあるもの(火災が発生した場合)。
イ. 上記に該当する場合であっても、消費生活用製品の欠陥によって生じたものでないことが明らかな事故は製品事故から除外されます。例えば、包丁を使って他人を切りつけて大けがを負わせてしまったとしても製品事故にはあたりません。
(2)規制の内容
ア. 製造・輸入事業者の事故報告
 消費生活用製品の製造・輸入業者は、その製造・輸入に係る消費生活用製品について重大製品事故が発生したことを知ったときには、発生の事実を知った日から起算して10日以内に、当該消費生活用製品の名称、型式、事故の内容、輸入・販売した数量などを消費者庁に報告しなければなりません。
イ. 主務大臣による公表
 消費者庁は、上記の報告を受けるなど重大製品事故が生じたことを知った場合において、重大な危害の発生及び拡大を防止するため必要があると認められるときは、製品の名称や型式、事故の内容等を記者発表したうえ、消費者庁のウェブサイトで公表します。
ウ. 主務大臣による命令
 消費者庁は、報告徴収や立ち入り検査を行ったうえ、危害の発生及び拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、製品回収(リコール)等の危害防止命令を発することが出来ます。また、上記報告義務を怠り、又は虚偽の報告をした場合に、当該消費生活用製品の安全性を確保するため必要があると認めるときは、その製品を製造・輸入する事業者に対し、重大製品事故に関する情報を収集し、かつ、これを適切に管理し、及び提供するために必要な社内体制の整備を命ずることが出来ます(体制整備命令)。
 これらの命令に違反した者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金が課されます。

3. 実務上の問題点等
(1) 上記のように、重大製品事故の要件に該当する場合でも、消費生活用製品の欠陥によって生じたものでないことが明らかな事故は除外されること等、重大製品事故にあたるか否かがあいまいであることから、企業としては、事故が発生した場合、それが重大製品事故に該当し、10日以内に消費者庁に報告する義務があるかどうかという判断が難しい点が実務上の問題点です。
 この点について消費者庁は、製品事故から除外される事故事例については、消費者庁のウェブサイト上で順次公開し、事例の蓄積を図りながら、安定的な制度運用に努めていくとしています。
(2) 以上のように、製造業者・輸入業者に報告義務が課され、消費者庁による公表やリコール等の命令が下されるのは、消費生活用製品の重大製品事故に限られています。しかし、重大製品事故を未然に防止するためには、重大製品事故に至る前に発生している軽微な製品事故についても情報を得てそれらを分析する必要があります。
 そこで、消費者庁では、従来から製品事故情報の収集・分析を行ってきた独立行政法人製品評価技術基盤機構(nite)と協力して、同法に基づく事故報告・公表制度を補完する制度として、同法の制度の対象とならない事故事例については、niteの事故情報収集制度の中で情報収集することを全国の事業者団体や地方公共団体等に通達を発しています。

 この消費生活用製品安全法につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい


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