御器谷法律事務所

美容整形における説明義務

1.美容整形における説明義務とは
 美容整形においては、本人が問題視している状況が当人の生命を維持したり、健康を維持したりすることとは直接関係がありません。すなわち、美容整形手術を受けるかどうかは本人の判断によることになります。
 医師は、本人がこの判断をする材料を提供する必要があります。
 すなわち、診療契約の受任者として、医師は委任者である本人に対する受任者である医師の善管注意義務の一環として、治療を受けるべきか否かを判断するために十分な材料を与える必要があるのです。
 
2. 美容整形における説明義務の程度
 美容整形においては、説明義務が厳格化ないし高度化するといわれております。美容整形は病気の治療等を目的とはしていないので、緊急性、必要性に乏しいですし、自由診療であることや宣伝等がなされていることから消費者取引の面もあること等がその理由であるといわれています。
 それでは、以下、美容整形において説明義務違反が認められた具体的な裁判例をあげて裁判所が具体的事案においてどのような判断を下したのかをご紹介いたします。

3. 横浜地裁平成15年9月19日判決要旨
(肝斑(かんぱん)というシミにレーザー治療を受けた場合の医師の説明義務違反についての裁判例)

(1) 医師の注意義務について
 原告のシミに対する治療は、主として審美的な観点から行われたものと認められるから、いわゆる美容医療の範囲に入るものということができる。美容医療の場合には、緊急性と必要性が他の医療行為に比べて少なく、また患者は結果の実現を強く希望しているものであるから、医師は、当該治療行為の効果についての見通しはもとより、その治療行為によって生ずる危険性や副作用についても十分説明し、もって患者においてこれらの判断材料を前提に納得のいく決断ができるよう措置すべき注意義務を負っているというべきである。
(2) 具体的なあてはめ
 本件においては、原告のシミは肝斑(かんぱん)であって、肝斑に対しては一般にレーザー治療は増悪の危険性があって無効あるいは禁忌とされているものであったから、仮に原告が当該治療を希望した場合であっても、甲医師はこれらの点を十分に説明し、原告自らが納得のいく決断をすることができるよう措置すべき注意義務を負っていたというべきである。
 しかるに、甲医師は、原告に対し、原告のシミはレーザー治療一回できれいになり、副作用などの危険性もほとんどないなどと説明して、レーザー治療を勧め、肝斑に対するレーザー治療の危険性については全くといってよいほど説明をしなかったというべきである。その結果、原告は甲医師の説明及び勧誘に従って代金80万円でレーザー治療を受ける決断をしたものであるから、甲医師には上記の説明義務違反があったというべきである。
 したがって、本件のレーザー治療によって原告に損害が発生した場合には、被告は民法44条の規定に基づきその損害を賠償すべき義務を負うことになる。
 
 以上のように美容医療における医師の説明義務は通常の医療よりも重要性が増し、内容も高度化するといわれています。

 この美容整形の説明義務違反につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい


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