御器谷法律事務所

動産強制執行申立


1. 意義
 動産強制執行とは、判決などで確定した金銭債権を債権者が回収できない場合に、債務者等が占有する動産を換価し、債権の回収を図る方法です(民事執行法第122〜142条)。
 しかし、動産は価値の低下が激しく、また、買受希望者も極めて少数であることから、換価が困難であり、債権回収の手段としては不十分です。ところが、このような動産も、債務者にとっては生活上・業務上等で必要なものであるため、動産が差し押さえられると、売却を回避するために弁済を行う等の行為にでることが予想されます。よって、動産強制執行は、直接的な債権回収手段となることは難しくとも、弁済促進機能ないし間接強制機能を持つものと考えられています。

2. 具体的な申立方法
 動産の所在地を管轄する地方裁判所に申立をします。
 申立には、通常次のような書類が必要となります。
  • 申立書
  • 執行力のある債務名義正本(執行文付判決正本、執行受諾文言付公正証書、調停調書等)
  • 送達証明書
  • 当事者に法人が含まれる場合は、商業登記事項証明書
  • 債務者に関する調査表(在宅状況等を記したもの)
  • 所在場所の案内図
  • 計算目録・当事者目録
  • その他
     (必要書類・部数については裁判所により異なります)

3. 予納金の目安
 2007年9月現在、東京地方裁判所での運用は次のとおりです。
請求債権額 予納金の額
1000万円以下 35,000円
1000万円超 45,000円

4. 差押禁止動産
 債務者の所有物であっても、下記のような生活に最低限必要な生活必需品等については、差押えが禁止されています(民事執行法131条)。
債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
債務者等の一月間の生活に必要な食料及び燃料
標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭
(2007年現在66万円)
主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物
主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物
技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く)
実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物
債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類
債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物
十一 債務者等の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具
十二 発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの
十三 債務者等に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物
十四 建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品

5. 執行段階における注意点
(1) 全戸不在への対処
 全戸不在の場合、執行は中止され、その旨の調書が裁判所より申立人に送付されます。また、裁判所にて次回執行の準備(解錠による執行が必要と判断される場合には鍵屋、立会人の手配等)がなされます。
(2) 解錠執行と執行立会
 解錠執行が必要と判断された場合には、裁判所で手配された立会人の立会のもと、業者により解錠がなされ、執行が行われます。
(3) 住所の直前の調査、確認
 執行申立直前に、債務者の住所を調査、確認するとよいでしょう。
(4) 執行不能への対処
  居住地を再調査し、居住地が判明すれば再度動産執行の申立を行います。

6. 動産執行と時効の中断−判例の紹介
(1) 差押の着手はあったが、差し押さえるべき動産がなかった場合は、差押が時効中断事由とされます。
大判大正15年3月25日
「執達吏カ債権者ノ委任ヲ受ケ債務者ノ住所ニ臨ミ差押ニ着手シタルモ差押フヘキ物ナカリシタメ執行不能ニ終リタルトキハ現ニ差押手続ハ之ヲ実施シタルモノナレハ之カ為ニ強制執行ノ目的ヲ達スルコト能ハサリシトスルモ之ニ依リ時効中段ノ効力ヲ生スル

(2) 債務者が住所不明で執行ができなかったときは、執行に着手していないため、時効中段の効力は認められないとされています。
大判明治42年4月30日
債務者の「住所不明ナリシ為メ執行ヲ為スコト能ハサリシ」ときには「全然差押手続ニ着手セサリシコト明確ナリ」として、時効中断の効力は認められないものとしました。

(3) 動産への強制執行についてその時効の中断の効力は申立時に生ずるのか、差押の着手時に生ずるかにつき、執行の申立時に時効は中断するとするとした判例があります。
最判昭和59年4月24日
民事執行法122条にいう動産執行による金銭債権についての消滅時効の中断の効力は、債権者が執行官に対し当該金銭債権について動産執行の申立てをした時に生ずるものと解するのが相当である。けだし、民法147条1号、2号が請求、差押え等を時効中断の事由として定めているのは、いずれもそれにより権利者が権利の行使をしたといえることにあり、したがって、時効中断の効力が生ずる時期は、権利者が法定の手続に基づく権利の行使にあたる行為に出たと認められる時期、すなわち、裁判上の請求については権利者が裁判所に対し訴状を提出した時、支払命令を申し立てた時等であると解すべきであり、差押えについては債権者が執行機関である裁判所又は執行官に対し金銭債権について執行の申立てをした時であると解すべきであるからである。」

 この動産強制執行申立につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい


執務の方針| 弁護士のプロフィール| 取扱事件 | ご案内 顧問契約 |

弁護士費用 | 事務所案内図 | リンク| トップ