御器谷法律事務所

扶養義務者

1. 扶養とは、
(1)扶養とは、
 幼い者、老いたる者、病気にある者、失業した者等、自活能力がないか乏しい場合、これらの者を引取り、又は生活費を与え、さらには生活品を渡す等して援助することを一般的には言っています。 
(2)私的扶養優先の原則
 扶養には、親族間の私的扶養と政府の行う生活保護等の公的扶養がある、とされています。そして、日本においては、親族間の私的扶養が何らかの具体的事情で困難な場合においてのみ、生活保護等の公的扶養が開始されるものとされています。
 これを、「私的扶養優先の原則」と言ったり、「親族扶養優先の原則」と言ったりすることがあります。

2. 扶養義務者は誰?
(1)民法は、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」(第877条1項)、「家庭裁判所は、特別の事情があるときは、・・・三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。」(同条2項)、と規定しています。
(2)また、民法は、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」(第752条)と規定しています。さらに、民法は、「親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。」(第820条)と規定しています。

3. 扶養義務の種類
 扶養義務しついては、一般的に次の2種類がある、とされています。
(1)生活保持義務
 これは、夫婦間の協力・扶助義務(民法第752条)や、未成熟子を親が監護・教育(同第820条)するときの扶養義務であり、夫婦や親子に必要不可欠な扶養であり、自己と同等の生活を保障するものです。
 いわゆる「一椀の飯も分け合う」程度の強い扶養の形態と考えられています。
(2)生活扶助義務
 これは、前述の夫婦間や未成熟子と親との扶養と異なり、一般の親族間の扶養、具体的には、老いた親の扶養や兄弟姉妹間の扶養の問題であり、自活能力がない親族を自分の生計を維持する限りで援助しようとするものです。

4. 扶養請求権の法的性質
 扶養請求権は、自活能力のない人の一身専属権であり、これを処分することはできず(民法第881条)、つまり、その債権譲渡や担保、質入、放棄等はできず、差し押さえも禁止されています。

5. 過去の扶養料請求の可否
 自分が病気等により自活能力を喪失したときの扶養料を、後日扶養義務者に請求できるか、という問題があります。
 この問題につき、判例は、一般的には、扶養料の性質から過去分は請求できないとしつつ、具体的に請求をした履行遅滞後の分に限って請求できる場合のあることを指摘しています。例えば、かなり古い判例ですが、大審院明治34年10月3日判決は、次のように判示しています。
 「扶養ナルモノ、本來ノ性質ハ自活スル能ハサル場合ニ於テ之ヲ引取養フカ亦ハ之ヲ引取ラスシテ生活ノ資料ヲ給付スヘキモノナルカ故ニ假令過去ニ於テ自活スル能ハサリシコトアリシニモセヨ之カ扶養ヲ請求スルコトナク事實上既ニ業ニ生活シ了リタル既往ノコトニ關シ再ヒ之ヲ養フト云ヘルカ如キ事實ノ發生シ來ル可キモノニアラサルヲ以テ扶養ハ過去の爲メニ請求スルヲ得ストハ其本來ノ性質ヨリ來レル當然の斷定ニシテ法理ニ適セルモノト爲サゝルヘカラス」
 「本件ハ上告人カ生活ノ爲メ既ニ消費シタリト云フ金額ノ支拂ヲ求ムル場合ニシテ上告人ハ出訴前被上告人ニ對シ扶養ヲ受クル必要ノ境遇ニ在ルコトヲ知ラシメテ其請求ヲ爲シタルコト無ク突然本訴ヲ提起シタルモノ」 
 「過去ニ於ケル養料ハ絶對ニ請求シ得ヘキモノニアラスト謂フニ非ラスシテ養料權利者カ養料ヲ受クル場合ナルコトヲ明カニシ養料義務者ニ對シ義務ノ履行ヲ求メタルモ其遅滞ニ因リ辨済ナキ養料ノ請求ノ如キハ之ヲ妨ケサルコトハ前掲判文中「其他ノコトニ因リ支拂フヘク確定セル養料ニシテ延滞セルモノヲ請求スルニアラス・・・」」

 この扶養義務者につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい
      

執務の方針| 弁護士のプロフィール| 取扱事件 | ご案内 顧問契約 |

弁護士費用 | 事務所案内図 | リンク| トップ