御器谷法律事務所

更新料を有効とした判例


第一 事実の概要
(1) XはYとの間で共同住宅の一室につき、平成15年4月1日、期間を同日から平成16年3月31日までとして、賃料を月学3万8000円、更新料を賃料の2ヶ月分として賃貸借規約を締結し、引渡しを受けました。
 Zは、同日、上記賃貸借契約に係るXの債務を連帯保証する旨の契約を締結しました。
(2) XはYとの間で、平成16年から平成18年までの毎年2月ころ、3回にわたり本件賃貸借契約をそれぞれ1年間更新する旨の合意をし、その都度、Yに対し更新料7万6000円を支払いました。
(3) Xが平成19年4月1日意向も本件建物の使用を継続したことから、本件賃貸借契約は更新されたものとみなされたが、その際XはYに対して更新料の支払いをしませんでした。
(4) Xは更新料条項は消費者契約法10条又は借地借家法30条により無効であると主張して、支払い済みの更新料の返還を求めて不当利得返還請求訴訟を提起しました。また、それに対しYは未払更新料の支払い請求の反訴を提起しました。
(5) 原審、原々審はいずれも更新料条項は消費者契約法10条に違反し無効であると判示しました。

第二 判決要旨
(1) 更新料がいかなる性質を有するかは、賃貸借契約成立前後の当事者双方の事情、更新料条項が成立するにいたった経緯その他諸般の事情を総合考量し、具体的事実関係に即して判断されるべきであるが、更新料は、賃料とともに賃貸人の事業の収益の一部を構成するのが通常であり、その支払により賃借人は円満に物件の使用を継続することが出来ることからすると、更新料は、一般に、賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと解すべき。
(2) 消費者契約法10条は、ア.民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であること、イ.民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害すること、を無効原因と定めている。
ア.賃貸借契約は、賃貸人が物件を賃借人に使用させることを約し、賃借人がこれに対して賃料を支払う事を約することによって効力を生ずるのであるから、更新料条項は、賃貸借契約の要素外の債務を特約により賃借人に負わせるという意味において民法の規定の適用による場合に比し消費者の義務を加重する条項と言える。
イ.当該条項が民法第1条第2項の規定、つまり信義則に違反するか否かは、消費者契約法の趣旨、目的に照らし、当該条項の性質、契約が成立するに至った経緯、消費者と事業者との間に存する情報の質及び量並びに交渉力の格差その他諸般の事情を総合考量して判断されるべき。
 1)更新料の上記性質に照らせば、更新料の支払いにはおよそ経済的合理性が無いという事は出来ない、2)一定の地域において、期間満了の際、賃借人が賃貸人に対し更新料の支払いをする例が少なからず存することは公知である、3)更新料条項は公序良俗に反するなどとして、無効とする扱いがなされたことはこれまでにない、4)更新料条項が契約書に一義的かつ具体的に記載され、賃借人と賃貸人との間に更新料の支払にかんする明確な合意が成立している場合に、賃借人と賃貸人との間に、情報の質及び量並びに交渉力について、看過し得ないほどの格差が存すると見ることはできない。
 以上から、契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情が無い限り、消費者契約法10条の適用はない。

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