御器谷法律事務所

同族会社の経営権の争いとその解決方法

1. 同族会社とは、

 一般的には、創業者であるオーナー経営者とその親族及びその承継者によって会社の主要な経営が行われている会社のことをいう場合が多いでしょう。
 従って、この同族会社は、会社法上の概念ではありません。強いて会社法上これに近いものとしては、譲渡制限株式による会社を非公開会社ということがありますが(会社法第2条5号は「公開会社」を規定)、厳密にいうと同族会社はこの非公開会社とも異なる社会・経済上の概念とも言えます。
 また、法人税法においては、同族会社とは、「会社の株主等(その会社が自己の株式又は出資を有する場合のその会社を除く。)の三人以下並びにこれらと政令で定める特殊の関係のある個人及び法人がその会社の発行済株式又は出資(その会社が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の五十を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合その他政令で定める場合におけるその会社をいう。」(法人税法第2条10号)と規定されていますが、社会・経済上の同族会社とは必ずしも一致しないことも多いでしょう。

2. 同族会社のメリットとデメリット
(1)同族会社のメリット
 ・親族間の固い結束により経営が安定する
 ・長期的視野に立った経営が可能となる
 ・いわゆる老舗企業の承継ができる
(2)同族会社のデメリット
 ・第三者のチェックが入りにくく企業の私物化が懸念
 ・同族の争いが起こると収拾が困難
 ・事業承継が人的、税務的、法的に難しいことがある

3. 同族会社の経営権の争いとその解決方法
(1) 創業者であるオーナー経営者が亡くなった後、相続人である子の間で遺産分割争いの中で会社の株式の帰属をめぐって争いとなることがある。
 この場合には、遺産分割調停において株式の分割=経営権の帰属が長く争われることがあります。
 その間、株主総会のたびに議決権が問題となり、取締役の選任や解任、退職慰労金等で紛争化することがあります。
 訴訟の形態としては、遺言書がなければ遺産分割調停や審判があり、遺言書があってもその内容如何により遺留分減殺請求訴訟の提起がある場合があります。さらに株主総会の不存在や無効、取消も訴訟で争われることもあり、又、代表取締役職務執行停止の仮処分の申立や新株発行差止の仮処分等も申し立てられることがあります。
 このような同族会社の争いにおいては、株式の帰属が決しない限り最終的決着に至らないことが多く、一定の解決金や譲渡代金等の金銭を支払うことにより株式の帰属を決することになることも多いでしょう。
(2) オーナー経営者の高齢化にともなって後継者争いが顕在化することがあります。例えば、創業者の長男と娘婿が取締役となって次期社長をいずれにするか微妙な情勢となることがあります。
 そのような場合、オーナー経営者の高齢化が経営の判断の迅速化を害することがあり、又、取締役内部において経営方針の不一致が顕在化することがあります。そして、取締役の解任や退職慰労金、会計書類や経理帳簿の閲覧謄写の請求、さらに株主代表訴訟等が提起されることもあります。
 このような場合においては、オーナー経営者がいずれの立場に立つのかが大きな問題となり、又、オーナー経営者がその意見を表明できないときはその紛争がさらに拡大し成年後見の申立等に及ぶこともあります。
(3) オーナー経営者としては、後日の経営権の争いを防ぎ、円滑な株式の承継を図るために遺言書を作成しておくこともあります。
 しかし、その遺言書の内容が事業の承継者である長男に株式の全部を相続させ、その評価が巨額な場合には、他の相続人の遺留分を侵害することとなり、この相続人から遺留分減殺請求権が行使されることがあります。
 紛争を予防するために作った遺言書がかえって紛争のもとになってしまうとの皮肉な結果となることもあります。
 そして、この遺留分減殺請求訴訟においては、被告は価額弁償の抗弁を提出することも多く、その場合には株価の評価が大きな問題となるでしょう。
(4) 同族会社の後継者が違法行為を行い取締役を辞任ないし解任されることがあります。
 そのような場合には、次期後継者の選任がさし迫った緊急課題となり、また、従前の経営者に対する会社からの損害賠償請求、退職慰労金支払の可否、所有株式の買い受け等が大きな問題となってきます。
(5) 同族会社の経営権の争いは、多種多様なものがありますが、それらに共通する特徴として、株主権の帰属を中心として極めて感情的なやりとりが続き、他の親族や社員をも巻き込んで、紛争が泥沼化して長期化することが多くあります。
 そして、その解決の糸口としては、会社法等の法令の客観的な解釈のみならず、相手の立場にも配慮したいわゆる“収めどころ”をいつ、どこに置くかという実務の感覚を研ぎ澄ますことしかないのではないか、と考えます。

この同族会社の経営権の争いにつきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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