御器谷法律事務所

ゴルフ会員権


1. ゴルフ会員権とは、
 ゴルフ会員権とは、ゴルフ場の施設利用権、預託金があればその預託金返還請求権、所定の会費などの支払義務等々の権利義務を内容とする会員契約上の地位のことを指します。
 会員は、会則等に従うことに合意して会員契約を締結していますので、ゴルフ会員権の内容をなす、個々の具体的な権利義務関係は、会員の会則等によって定められているということになります。

2. 預託金の返還 
 預託金とは、退会時に返還することを約束して、入会時に預けた金銭のことをいいます。無利息で一定期間の据え置き期間があるのが通常です。この預託金の法的な性格は、民法666条の消費寄託契約ということになり、その具体的な意味は、預託を受けた側は、その金銭を自由に使えるということです。
 会則によっては預託金のことを、会員資格金、入会保証金、入会預かり金といった名称にしていますが、法的な性格は変わりません。もっとも、返還を予定していない文字どおり入会金として支払うものもあり、その場合は預託金ではないことになります。
 預託金の返還を請求する場合は、通常、契約主体がゴルフ場を運営している会社になりますから、その会社に対して行うことになります。
 
3. 判例
(1) 会員権証書の有価証券性を否定(最高裁昭和57年6月24日判決) 
 ゴルフ会員には、会員権証が発行されることが多いです。会員権証の名称は預託証書、入会証書、会員証書、と様々です。この会員権証が法的に有価証券(権利が証券に表章され、権利の発生や移転、行使が証券をもってなされるものをいいます)として認められるかどうかが争われます。
 有価証券性が認められれば、善意取得(無権利者から譲り受けた場合でも、一定の場合は権利者となれることが認められます)や公示催告・除権判決(有価証券を喪失した場合の手続きです)の対象となります。
 最高裁は、「原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、所論のゴルフクラブ入会金預り証は商法519条所定の有価証券に当たらないとした判断は正当として是認することができる」と判断し、有価証券性を否定しています。なお原審の大阪高裁は「ゴルフ会員権‥‥その譲渡のためには、‥‥理事会の承認を要するものとされ、‥‥指図文句(特定の者又はその指図人を権利者とする旨の文言)の記載もないこと等からすれば、‥‥‥有価証券であると解することは困難というほかなく」と述べています。

(2) 会員権の相続(最高裁平成9年3月25日判決)
 会則によって、会員権の相続が認められていない場合は、会員の死亡を契約終了事由としていると解されます。この場合、会員が死亡したときは、預託金返還請求権といった財産的権利のみが相続されることになります。
 他方、会員権の相続が認められていても、通常、会員権の譲渡の場合と同じように、ゴルフクラブの理事会等の承認手続きが必要となります。
 それでは、会員が死亡した場合についての定めはないものの、会員権の譲渡には承認手続きを要するとした会則がある場合に、会員権の相続性は認められるでしょうか。最高裁は、「本件ゴルフクラブにおいては会員としての地位の譲渡が認められていて、会員の固定性は既に放棄されているのであって、‥‥本件ゴルフクラブの親睦的団体としての性格の保持についても、正会員としての地位が譲渡された場合に準じ、会員の死亡によるその地位の承継について理事会の承認を要することで、その趣旨を実現することは可能であると考えられる」と判示し、会員権の相続性を肯定しました。

(3) 事業譲渡と預託金返還請求権(最高裁平成16年2月20日判決)
 ゴルフ場を経営している会社が、別会社にゴルフ場経営を譲渡した場合、譲渡された会社に対して、預託金の返還を請求することができるでしょうか。できるとすれば、資金回収の1つの手段となります。
 会員契約を結んだ相手は、譲渡した会社ですから、譲受会社が債務を引き受けたといった事情のない限り、本来は譲受会社に請求できません。しかし、会社法22条は「事業を譲り受けた会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も‥‥債務を弁済する責任を負う」と規定しています。そこで、ゴルフ場営業は譲渡されましたが、ゴルフクラブの名称自体は従前のままだった、という事例で、上記会社法22条の類推適用があるかどうかが争われました。
 最高裁は、「預託金会員制のゴルフクラブの名称がゴルフ場の営業主体を表示するものとして用いられている場合において、ゴルフ場の営業が譲渡され、譲渡人が用いていたゴルフクラブの名称を譲受人が継続して使用しているときには、譲受人が譲受後遅滞なく当該ゴルフクラブの会員によるゴルフ場施設の優先的利用を拒否したなどの特段の事情がない限り‥‥譲受人は‥‥商法26条1項(現会社法22条のことです)の類推適用により‥‥預託金の返還義務を負うもの」と判示し、このような場合には譲受会社に対する請求を認めました。
 
(4) 会員権証の発行請求(東京地裁平成2年7月25日判決)
 既に述べましたように、会員権証は有価証券ではありませんから、本来会員権証がなくても、ゴルフ会員権を譲渡したり、預託金の返還を請求できるはずです。
 しかし、実際は、会員権証がない場合の譲渡には手続きが困難であったり、譲受人から警戒されて売買価格が低下したり、預託金の返還を拒否されたり、といった不都合が生じます。
 会則に、会員権証の再発行手続きが定められていれば、それに従い再発行を行うことになります。しかし、再発行手続きが定められていない場合、紛失による再発行手続きを請求することはできるでしょうか。
 下級裁判所ではありますが認めた裁判例があります。東京地裁は、「除権判決、再発行も認められないとすると、会員は、その権利行使に事実上支障を来たすことは想像に難くない‥‥そうすると、事実上、会員の有する資本の円満な回収の道を閉ざすという結果になりかねない。‥‥これを再発行しない合理的理由に乏しく、‥‥本件入会預り証の再発行を請求できるものというべきである」と判断しました。この判決では、特に再発行の法的根拠を示しているわけではありませんが、再発行を認めた先例として注目されます。

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