御器谷法律事務所

病院のM&A

1.病院のM&Aの概要
(1) 医療法人の特徴
 医療法人は、医療法の規定に基づいて設立されます(医療法39条1項)。医療法は、医療法人の非営利性・公益性を重視し、剰余金の配当を禁止し(法54条)、事業報告書等の届出義務を設定し(法52条1項)、解散時の残余財産について国・地方公共団体・医療法人のみに帰属を限定する(法56条1項、44条5項、2項9号)など、医療法人について一般の営利法人とは異なる取り扱いをしています。
(2) 医療法人と株式会社等
 医療法人が非営利の性質を持つことから、営利法人である株式会社等が医療法人の社員となることはできないこととなっています(平成3年1月17日指第1号東京弁護士会会長宛厚生労働省指導課長回答)。
 他方、株式会社が出資又は寄附により医療法人に財産を提供する行為自体は可能とされていますが(前出厚生労働省指導課長回答)、医療法人は配当をできず、また、解散時の残余財産は株式会社に帰属させることができませんので、株式会社は出資に見合ったリターンを回収することが困難であるという問題点があります。
(3) 医療法人のM&Aのパターン
 このような背景の中で、医療法人にM&Aが起こるパターンを考えると、医療法人が他の医療法人を買収し規模を拡大する場合、医療法人に所属する社員でない医師が医療法人を買い取り事業の継続を図っていく場合などが想定されます。

2. 医療法人の買収・合併の際の手続
(1) 医療法人の買収

 医療法人の買収とは、医療法人に対する出資持分を持分権者から買い取り、購入者が医療法人に対する新たな持分権者となることにより、医療法人に対する支配を移転するものです。
 買収対象となる医療法人が決定し、買収者と従前の持分権者が合意をすれば、持分の譲渡に関して覚書を締結するのが一般的です。その後、買収先の詳細な財務調査等を行い、買収価格、支払方法などを決定した後に、両者間で出資持分の譲渡契約を締結することになります。
 このように、持分を移転し、社団医療法人を買収する場合には、医療法人の管理運営をする組織について人員の入れ替えを行う必要があります。
 まず、医療法人の業務を決定する社員総会の構成員たる社員について、従前の社員の退社と新社員の入社の手続を行う必要があります。社員の入退社は定款の規定(法44条2項7号)により行い、社員名簿にその変更を記載します(法48条の3第1項)。
 次に、医療法人の役員たる理事、監事の選任を行う必要があります。この手続も定款の規定に従って行うこととなります。役員の変更は都道府県知事へ届出する必要があります(医療法施行令5条の12)。
 そして、新たな理事の中から医師又は歯科医師である者1名を理事長に選任するのを原則とします(法46条の3第1項)。理事長は登記事項ですので、この変更については登記が必要です。
 以上のような手続を経て、医療法人の持分権者や役員を変更して、医療法人に対する支配・管理体制を変更していきます。
(2) 医療法人の合併
 合併は、社団医療法人の場合には、総社員の同意がある場合に、他の社団医療法人と行うことができます(法57条1項)。財団医療法人の場合には、寄附行為に合併をすることができる旨の定めがあり、原則として理事の3分の2以上の同意がある場合に、他の財団医療法人と合併できます(法57条2項、3項)。    
 また、合併の手続では、債権者に対して2ヶ月以上の期間を定めて、合併に対する異議を述べるべき旨を公告し、判明している債権者に対しては、各々に対して異議を催告する必要があります(59条1項)。
 そして、Hospital_M&A合併は都道府県知事の認可を得なければ効力を生じません(法57条4項)。また、合併存続する医療法人又は合併によって設立した医療法人が、登記をすることにより、効力を生じます(法62条)。
 合併にあたっても、基本的な合意についてまず覚書を締結するのが一般的です。その後、詳細が決定すれば合併契約書を作成します。
 以上のような手続を経て、医療法人の合併を行うことができ、経営が難しくなってきた医療法人の救済や、医療法人の規模の拡大を行うことができます。

 この病院のM&Aにつきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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