御器谷法律事務所

MRSA

 MRSAとは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-Resistant Staphylococcus Aureus)の略称である。昭和16年に英国及び米国でペニシリンが実用化され、黄色ブドウ球菌に効果を示したが、昭和19年にはペニシリンに耐性化した黄色ブドウ球菌が出現した。昭和35年にペニシリン耐性黄色ブドウ球菌に対する抗菌薬としてメチシリンが開発されたが、昭和36年には英国でメチシリンに耐性を示す黄色ブドウ球菌が報告された。これがMRSAである。
 MRSAは、単にメチシリンだけでなく、広くβ−ラクタム剤と呼称される抗菌薬(ペニシリン系、セフェム系、モノバクタム系、カルバペネム系)にも耐性を示し、多剤耐性黄色ブドウ球菌とも呼ばれる。MRSAは、1970年代には欧州や米国で院内感染の原因菌として問題とされるようになり、我が国でも1980年代に入ってからMRSA感染症の臨床例が報告され、同年代半ばころから院内感染が多数報告されるようになり、社会問題となっていた。
 MRSAに対する抗菌薬としては、ホスホマイシンとセフェム系のクラフォランが有効であるとの報告もあるが、その効果は必ずしも明らかではなく、平成3年にバンコマイシンの使用が承認された後は、腎機能障害やアレルギー等の理由で使用ができない症例を除いて、これが第一選択薬として使用されるようになり、ペニシリン系やセフェム系の抗菌薬は、あまり使用されなくなった。特に、平成5年当時、小児について、用法・要領が確立しているMRSA抗菌薬は、バンコマイシンだけであった。
 黄色ブドウ球菌それ自体は、人の咽頭、副鼻腔、皮膚等で検出される常在菌である。人の体には細菌その他の病原微生物から自らを防御する様々な機構が備わっているため、MRSAの健常者に対する感染性は低い。しかし、MRSAは、これらの防御機構に何らかの破たんをきたした者に感染することが多く、このようなMRSAに感染しやすい患者(易感染性患者)として、手術後の患者(皮膚というバリアーが破られており、ドレーンやカテーテル等を留置していることがある。)免疫能の低下した患者(一般的には老人、新生児、抗癌剤の投与や放射線治療を受けた患者、多臓器不全のある患者)等が挙げられる。易感染性患者は、保菌しやすい患者であると同時に保菌者から感染しやすい患者でもあるので、患者管理には十分注意を払わなければならないとされている。
 MRSAは、濃厚な感染が起こり得る場合(気道感染のある患者の喀痰の飛沫を直接浴びた場合等)を除き、一般に空気感染はしないものと考えられている。したがって、医療施設内で患者から患者へMRSAがまん延していく主要な感染様式は、医療従事者の手指を介したものである。もっとも、MRSAは、皮膚表面には定着しにくいので、医療従事者がMRSAの保菌者となって感染を拡大するのではなく、患者に直接接触した後に、又は、MRSAに高度に汚染された物を扱った後に、医療従事者の手に一過性についたMRSAが次の感染者を引き起こすものと考えられている。そのため、基本的な手洗い、患者に直接接触した医療器具類のアルコール消毒等の励行がMRSAの飛散防止に極めて重要であり、かつ、効果的である。
(神戸地方裁判所平成19年6月1日判決より抜粋しました)

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