御器谷法律事務所

扶養の程度、方法

1. 扶養の程度と方法
 民法第879条は、「扶養の程度又は方法について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が、これを定める。」と規定しています。
 つまり、扶養の程度と方法は、第一義的には、当事者の協議(話し合い)によってこれを決すべきものとしています。
 そして、この協議がまとまらなかったときは、家庭裁判所がこれを決すべきものとしています。

2. 扶養の方法
 扶養の具体的方法には、取引扶養と給付扶養があり、この給付扶養にはさらに金銭給付と現物給付がある、とされています。
(1) 取引扶養
 この取引扶養は、例えば、老いた親を長男や長女が引き取り面倒を看るものです。
この取引扶養においては、生活水準を子と同程度にできる可能性はあるものの、子の家庭等から反対の意向が出ることもあり、他の子が生活費を補うかどうか等も問題となることがあります。
(2) 金銭給付による扶養
 この金銭給付は、通常生活費を子が老いた親に仕送りする方法や、子のうちの1人が老いた親を引き取り扶養しているときに、他の子が生活費の不足分を親を引き取った子に支払う場合等が考えられます。
 この場合、支払う具体的金額が問題となってきます。
(3) 現物給付による扶養
 これは、例えば、老いた親が一人で暮らしている場合において、その生活必需品等を子が現物として給付するものです。
 その給付の具体的な形や、他の子等との公平が問題となることがあります。

3. 扶養の程度
 家庭裁判所は、扶養の程度や方法について当事者の協議がまとまらない場合には、「扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、」これを決するものとしています。
 具体的には、家庭裁判所は、上記具体的な一切の事情を考慮して、誰が扶養権利者を引き取るか、誰が誰に対して扶養料をいくら支払うかを決定することとなりますが、その過程において家庭裁判所への調停申立と家庭裁判所の審判が問題となってきます。

4. 家庭裁判所の調停と審判
(1) 家庭裁判所への家事調停の申立―扶養請求の申立
 当事者間で協議(話し合い)がまとまらないときは、一般的には家庭裁判所に対して、扶養請求の家事調停の申立てをします。
  申立人は、扶養権利者や扶養義務者の一人でも可能です。
  申立書には、申立人や相手方の戸籍謄本や住民票を添付することがあります。
  家事調停の現場においては、扶養権利者の具体的生活状況、経済状況、扶養の具体的意向等が聴取され、又、扶養義務者の具体的な資力、家族状況、経済状況、扶養への具体的意向が聴取され、調停の成立に向けて話し合いが進められます。
  但し、家事調停は、あくまでも当事者の合意がなければ成立しません。
  なお、調停が成立すると、家庭裁判所は調停調書という公文書を作り、これは原則として確定判決と同様の強い効力を有します。
(2) 家庭裁判所の審判
  家事調停が成立に至らなかったときは、家事審判官という裁判官が、審判手続を開始することとなります。
  そして、家事審判においては、家事審判官としての裁判官、証拠調べ、事情聴取、必要書類等の提出等を求め、上記一切の事情を考慮して、一定の審判を出すこととなります。

5. 重要判決の紹介
 扶養の程度、方法に関する具体的裁判例としては、少々古い決定ですが判例が参考となると思われます。
 大阪高等裁判所昭和49年6月19日決定は、次のように判示しています。
 「事件本人は、扶養を要する状態にあるが、本件は子の老親に対する扶養であるから、相手方の事件本人に対する扶養義務が生活扶助の義務としての性質をもち、相手方らの社会的地位、収入等相応の生活をした上で余力を生じた限度で分担すれば足りるものであることを考慮し、事件本人の生活費としては、生活保護法による最低生活の生活保護基準額を参考にするのが相当であり、」

 この扶養の程度、方法につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい
      

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