御器谷法律事務所

扶養料の不払いへの対応

1. 扶養料の決定と不払い
 扶養義務者や扶養権利者との間で親の引き取りや扶養料の支払、金額等について、家庭裁判所の調停において合意して調停調書という公文書を作成したり、又、家事審判手続において審判が確定したときは、扶養義務者は、その内容に従った履行(りこう)をなすべき法的義務があります。
 しかし、その扶養義務者が、何等かの理由によりその実行をしないことも、世の中では間々ありうることです。
 このような引き取り義務の違反や扶養料の不払いに対して、扶養権利者においては、どのような対応、対抗措置がとりうるかが問題となってきます。
 以下においては、この対応、対抗措置の概要について、順次説明していきます。

2. 履行勧告―家事審判法第15条の5
 「家庭裁判所は、権利者の申出があるときは、審判(や調停)で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対して、その義務の履行を勧告することができる。」と家事審判法は規定しており、通常これを「履行勧告」(りこうかんこく)と呼んでいます。
 この「履行勧告」は、家事事件では最初から強制執行の申立をしても費用もかかり、いわば角が立つので、とりあえず家庭裁判所に申立てて(費用がかかりません)、相手方の自発的な義務の履行を促そうとするものです。
 なお、「履行勧告」は、実務上は家庭裁判所調査官によって行われることが多く、又、強制執行のような直接的な法的拘束力はないとされています。

3. 履行命令―家事審判法第15条の6
 「家庭裁判所は、審判(調停)で定められた金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠った者がある場合において、相当と認めるときは、権利者の申立により、義務者に対し、相当の期限を定めてその義務の履行をなすべきことを命ずることができる。」と家事審判法は規定しており、通常これを「履行命令」(りこうめいれい)と呼んでいます。
 この履行命令に正当な事由なく従わないときは、家庭裁判所は、10万円以下の過料に処することができるものとされています(法第28条)。
 但し、この履行命令においても、強制執行のような支払いを直接的に強制する(差押等)法的な執行力はない、とされています。

4. 寄託(きたく)―家事審判法第15条の7
 「家庭裁判所は、審判(や調停)で定められた金銭の支払を目的とする義務の履行について、義務者の申出があるときは、最高裁判所の定めるところにより、権利者のために金銭の寄託を受けることができる。」と家庭審判法は規定しており、通常これを「寄託(きたく)」と呼んでいます。
 この「寄託」をするには、双方当事者の同意が必要とされ、利用は限定的なものとなることも予想されます。

5. 強制執行の申立て
 扶養料支払について、調停調書や確定した審判があるときは、その強制執行の中立をして義務者の給料債権や不動産等を直接に差押えをすることもできます。
 そして、この強制執行については、次のとおり、直接強制と間接強制があります。
(1) 直接強制の申立て、
 義務者の債権や不動産を直接差し押さえるものであり、申立書には、調停調書、審判書、送達証明書、審判の確定証明書等の添付が必要であり、又、場合によっては住民票、勤務先の商業登記簿謄本、さらに相手方の不動産登記簿謄本等が必要となることもあり、申立手数料や予納郵券等も必要となってきます。
 また、扶養料や養育費等については、相手方の未払分のみならず、将来分の給料等も2分の1程度まで差し押えることも可能とされています。なお、通常給料差押は、4分の1までの差し押えを原則としています。
(2) 間接強制の申立て、
 間接強制の申立ては、直接強制の申立てと異なり、最初から直接差押等をするものではなく、一定の期間以内の義務の履行を義務者に命じ、これが実行できないときは間接強制金を支払う旨明命じる決定をして、債務者に心理的、経済的な圧力を課し、義務の自発的な実行を促そうとするものです。
  一般的には、金銭債権はこの間接強制の対象となりませんが、扶養料や養育費や婚姻費用の分担では、この間接強制の申立てが可能とされています。選択肢の一つとも言えるでしょう。
 但し、間接強制の場合においては、相手方がどうしても扶養料等を支払わないときは、直接強制の申立てにより差押等をしなければならなくなりますので、ご注意下さい。

 この扶養の料の不払いへの対応につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい
      

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