御器谷法律事務所

扶養の順位

1. 扶養の順位
 民法第878条は、扶養の順位について、「扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序については、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。」と規定しています。
 つまり、第一義的には、扶養義務者間で協議してこれを決すべきである。
 そして、それがまとまらないときは、家庭裁判所がこれを決すべきことになります。

2. 当事者間の協議
(1)扶養義務の順序については、一般論としては、直系血族の方が兄弟姉妹より優先されるとされています。
 また、直系血族の間においては、親等の近い義務者が優先されるとされるでしょう。
(2)兄弟姉妹の間においては、一般的には、父母を同じくする者が優先されるでしょう。
(3)養親子関係においては、一般的には、養親が実親に優先すると考えられるでしょう(参考として仙台高等裁判所昭和37年6月15日決定)。
(4)いずれの場合の協議においても、扶養権利者の資産状況や扶養への具体的意向、そして、扶養義務者の被扶養者との関係や資産状況、社会的地位、家族状況、扶養への具体的意向等が協議の際の大きなウエイトを占めることになるでしょう。

3. 家庭裁判所の調停と審判
(1)当事者間で協議(話し合い)がまとまらない場合には、一般的には、家庭裁判所に対して扶養請求の家事調停を申立てます。
 申立人は、扶養権利者でも扶養義務者の1人でも可能です。
 申立人、相手方、扶養権利者の戸籍謄本や住民票等を添付して申立てます。
家事調停の場においては、調停委員から各当事者の経済状況や生活状況、扶養 への具体的な意向等も聴取され、調停の成立を促されます。
 但し、家事調停は、あくまでも当事者の合意がなければ成立しません。
(2)家事調停が成立に至らなかった場合においては、家事審判官としての裁判官が、審判手続を開始することになります。
 家事審判においては、家事審判官としての裁判官が、証拠調べ、事情聴取、必要書類等の提出を得たうえで、一切の事情を勘案、評価して、審判を出すこととなります。

4. 判例の紹介
 扶養の順序等に関する裁判例として、少々古い判決ですが、大事なものとして最高裁判所昭和26年2月13日判決がありますので、これを以下に紹介いたします。
 「扶養権利者が扶養義務者中の一人と同居することを好まず他の一人と同居して居るというには何かそれ相当の理由があるかも知れない例えば前者は扶養をすることはするが権利者に相当の扶養をしないとか或は更に進んで虐待の為め権利者は同居に堪えないとかいう場合がないではないかかる場合に後者が見兼ねて引取つて世話をしたとしたらどうであろうか。こういう場合にもなお前者は全面的に義務を免れ費用を出す義務もなく後者のみ全費用を負担しなければならないとするのは不当であろう若しそういうことになると冷淡な者は常に義務を免れ情の深い者が常に損をすることになる虞がある。それ故原審が認定判示した事実だけでは直ちに被上告人に費用の負担の義務なしとすることは出来ない。そういう結論に到達する為めにはなお進んで被上告人もキクに対し相当の扶養を為したであろうのに何等相当の理由もなく上告人が無理にキクを連れ去つたとか、或は上告人が自己のみで費用を負担することを約束したとか何等かそういつた様な被上告人をして全面的に義務を免れしむる相当の理由がなければならない。こういう点に付き原審が十分の判断を示すことなく単に上告人が被上告人の意思に反してキクを連れ去つたという事実だけで被上告人に費用負担の義務なしとしたのは審理不尽に非れば理由不備若しくは扶養義務に関する法律の解釈を誤つた違法あるものというの外ない。」   

 この扶養の順位につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい
      

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