御器谷法律事務所

オーバーステイ

1. オーバーステイとは、
 外国人の出入国や滞在に関するルールは、出入国管理及び難民認定法(入管法)に定められていますが、同法によれば、外国人が日本に滞在するには、一定の在留資格を得る必要があるとされています(同法2条の2)。外国人が、この在留資格の取消しを受け、あるいは、在留資格において定められた在留期間が経過している状態で日本に滞在することを、一般的にオーバーステイといいます。オーバーステーの事実は退去強制事由にあたり(法24条2の2号、2の3号)、原則として日本から出国しなければならなくなります。
 なお、オーバー・ステイのことを不法在留という呼ぶこともありますが、外国人が在留資格の取消しを受けた事情、在留期間を過ぎてしまった事情や、日本での生活の経緯は人それぞれであり、必ずしも違法性が高いとは言えない場合も少なくありませんので、不法在留という呼び方は余り適当ではないようにも思えます。
 いずれにしても、オーバー・ステーや不法在留という言葉は、法律上の言葉ではありません。
 オーバーステイになっている外国人は、原則として日本から出国しなければなりませんが、直ちに出国をしなければならない訳ではなく、出国命令の手続又は退去強制手続を経た上で出国又は退去の必要性が判断されます。
 この内、出国命令の手続は自主的に出頭して速やかに出国する意思を表明した者に対して、収容を行わずに出国のための手続を進めるという制度であり(法55条の2)、後述する退去強制手続と比べるとソフトな手続となっています。
 以下では、退去強制手続について具体的に説明します。

2. 退去強制手続について、
 退去強制手続では、まず、オーバーステイをしている疑いのある外国人に対して、入国警備官による違反調査が行われます(法27条)。そして、入国警備官がその外国人がオーバーステイしていると疑うに足りる相当の理由があると判断したときには、収容手続が行われます(法39条)。収容手続は、入国管理局の主任審査官の発布する収容令書に基づいて行うとされています。法律上は、オーバーステイの疑いが認められる外国人に対して必ず収容手続を行うという規定はありませんが、実務上は、そのような外国人に対して、例外なく収容手続が行われることになっています。そのため、仮放免(法54条)が認められない限りは、原則として、収容された状態で退去強制の手続が進められることになります。
 次に、収容された外国人に対して、退去強制令書を発布するか否かを判断する手続が進められますが、その手続は大きく分けて、入国審査官による違反審査特別審査官の口頭審理法務大臣の裁決という三段階で行われます。
 まず、収容された外国人に対しては、入国審査官による違反審査が行われます(法45条)。この手続は、収容された外国人に対しては必ず行われるものであり、容疑をかけられている外国人に本当にオーバーステイの事実が認められるかが最初に判断される手続です。
 違反審査の結果、入国審査官が、外国人にオーバーステイの事実が認められると認定した場合、その外国人が認定に服したときには、この時点で、退去強制事由を判断する手続は終わり、退去強制令書が発布されます(法47条5項)。しかし、認定に異議のある外国人は、口頭で、特別審理官に対して口頭審理を請求することができます(法48条)。この口頭審理が退去強制事由を判断する手続の二段階目であり、入国審査官の認定の当否が特別審査官によって判定されます。
 その結果、特別審理官が、一段階目の入国審査官の認定に誤りがないと判断した場合、その外国人が認定に服したときには、先程と同様に、この時点で、退去強制事由を判断する手続は終了し、退去強制令書が発布されますが(法47条5項)、特別審理官の判定に異議のある外国人は、さらに、法務大臣に対して異議を申し出ることができます(法49条)。
 外国人に退去強制事由が認められるかを判断する手続はこれが最後ですので、法務大臣の裁決でもオーバーステイの事実が認められると判断された際には、入管法上、これに対して不服を申し立てることはできません。
 裁判所に対して行政訴訟法上の取消訴訟を提起して争う余地はありますが、入国管理局の判断が誤りであったと裁判所に認めてもらうことはなかなか難しいというのが現状です。
 収容令書によって外国人を収容できるのは最大60日までなので(法41条)、入国審査官による違反審査、特別審査官の口頭審理、法務大臣の裁決という一連の手続はこの期間の間でなされることになります。
 
3. 日本からの出国又は退去について、
 このような手続を経た結果、外国人が退去強制事由にあたると判断された場合には、法務大臣による在留特別許可がされない限り、退去強制令書が発布され、外国人は日本から強制的に退去させられることになります。その際、退去強制令書を発布された外国人を収容できる期間は法律上定めがありませんので、退去強制の対象となる外国人が多く手続が順番待ちの状態になっているときなどには、外国人が相当長期にわたって収容を受けることも少なくはありません。ただし、自費で出国することのできる外国人は、自費で退去することの許可(法52条4項)を受けて出国することができますので、事実上、出国のための費用を用意することができない外国人が長期の身体拘束を受けるという傾向が生じているようです。
 また、外国人が出国命令の制度を利用した場合には、15日を超えない範囲で定められた出国のための期限内に出国しなければならず、その費用は外国人が負担します。
 なお、オーバーステイをしたことにより日本から出国した場合には、出国命令を受けた者については出国の日から1年間、退去強制手続きにより退去させられた者については退去の日から5年間(出国命令又は退去強制を受けるのが二回目以上の者は10年間)、再び日本に入国することができません(法5条9号)。

»参照
各種手続案内「外国人の退去強制と出国命令」フローチャート(入国管理局ホームページ) http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/index.html

 このオーバーステイにつきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい
      

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