御器谷法律事務所

パートタイム労働法の改正

1. パートタイム労働法の改正とは、
 パートタイム労働法ないしパート労働法は、その正式名称を「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」といい、その改正法が平成20年4月1日より施行されました。
 パート労働者は、1,000万人を超え、正規社員の約3分の1がパートとされ、業種によってはパートタイム労働者がさらに大きな割合を占めるものも多くあります。
 パート労働者は、法律上は「短時間労働者」といわれ、「一週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比し短い労働者」をいうものとされています(法第2条)。
 パート労働法は、正社員とパート労働者間の賃金、処遇上の不平等を是正し、パート労働者の待遇の改善をめざして改正されました。
 その改正の主な点について、概略をご説明いたします。

2. 労働条件に関する文書の交付等の義務
 事業主は、パート労働者を雇い入れたときは、速やかに、労働基準法第15条第1項に定める労働条件、その他の労働条件に関する事項について文書の交付等により明示しなければなりません(法第6条)。
 具体的には、労働基準法所定の事項に加えて、昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無について明示すべき義務があります。
 実務上は、パート労働者への労働条件通知書等によりこれを行うことが考えられます。
 このパート労働法上の明示義務に違反すると10万円以下の過料の制裁が課されることがあります(法第47条)。

3. 正社員との差別的取扱いの禁止
 事業主は、業務の内容及び責任の程度が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一のパート労働者であって、事業主と期間の定めのない労働契約を締結しているもののうち、事業所における慣行その他の事情からみて、事業主との雇用関係が終了するまで、その職務の内容及び配置が通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれる者について、パート労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について差別的取扱いをしてはならないものとされています(法第8条)。
 いわゆる同一労働同一賃金の原則を法文化したとも言われています。
 なお、本条文の要件はかなり厳しく、このような要件を充たすパート労働者はパート労働者全体の5%前後位ではないかとの指摘もあります。

4. その他の留意事項
(1)賃金−法第9条
 事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金(通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く)を決定するように努めるものとする。
2 事業主は、前項の規定にかかわらず、職務内容同一短時間労働者であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主に雇用される期間のうちの少なくとも一定の期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるものについては、当該変更が行われる期間においては、通常の労働者と同一の方法により賃金を決定するように努めるものとする。
(2)教育訓練−法第10条
 事業主は、通常の労働者に対して実施する教育訓練であって、当該通常の労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与するためのものについては、職務内容同一短時間労働者が既に当該職務に必要な能力を有している場合その他の厚生労働省令で定める場合を除き、職務内容同一短時間労働者に対しても、これを実施しなければならない。
2 事業主は、前項に定めるもののほか、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力及び経験等に応じ、当該短時間労働者に対して教育訓練を実施するように努めるものとする。
(3)福利厚生施設−法第11条
 事業主は、通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設であって、健康の保持又は業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めるものについては、その雇用する短時間労働者に対しても、利用の機会を与えるように配慮しなければならない。
(4)通常の労働者への転換−法第12条
 事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用する短時間労働者について、次の各号のいずれかの措置を講じなければならない。
一 通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示すること等により、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項を当該事業所において雇用する短時間労働者に周知すること。
二 通常の労働者の配置を新たに行う場合において、当該配置の希望を申し出る機会を当該配置に係る事業所において雇用する短時間労働者に対して与えること。
三 一定の資格を有する短時間労働者を対象とした通常の労働者への転換のための試験制度を設けることその他の通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずること。
2 国は、通常の労働者への転換を推進するため、前項各号に掲げる措置を講ずる事業主に対する援助等必要な措置を講ずるように努めるものとする。

 このパート労働法についても遠慮なく当事務所にご相談下さい

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