御器谷法律事務所

少額訴訟

1. 支払督促とは
 支払督促とは、債権者からの申立てをうけて、金銭債権などに関して、債務者を審尋することなく、裁判所書記官が支払いの命令をだしてくれるというものです。通常の判決手続きよりも、簡易迅速かつ経済的な手続きとなります。
 民事訴訟法第7編督促手続(第382条〜第402条)に規定されています。

2. 支払督促の手続き
(1) 手続きの概要
 支払督促は、債権者の申立てがあれば、その主張の真否を審査することなく、裁判所書記官により発布されます(民事訴訟法386条1項)。
 支払督促正本が債務者に届いてから2週間以内に、債務者から督促異議の申出がなければ、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言が付されます(同法391条1項)。仮執行宣言が債務者に送達されれば、債権者は強制執行を申し立てることができるようになります。
 仮執行宣言付支払督促正本が債務者に送達されてから2週間以内に債務者から督促異議の申出がなければ、支払督促は確定し、確定判決と同一の効力を有することとなります(同法396条)。つまり、強制執行もすることができます。

(2) 管轄
 支払督促の申立ては、原則として、債務者の住所地を管轄する簡易裁判所の書記官に対して行います(同法383条1項・4条2項)。請求の価額などは関係ありません。
 例外としては、事務所などを有する者に対する請求で当該事務所の業務に関するものについては、その事務所の所在地の簡易裁判所の書記官に(同法383条2項1号)、手形・小切手による金銭の支払請求については、その支払地の簡易裁判所の書記官に(同2号)対しても、支払督促を申し立てることができます。

(3) 要件
 支払督促を申し立てる為には、請求が金銭の支払いなど、代替物の一定数量の給付を目的とするものであることが必要です(同法382条本文)。
 また、債務者に対し、日本国内で、かつ、公示によらないで、支払督促を送達できることが必要となります(同ただし書)。

(4) 申立て方法
 支払督促の申立ては、申立ての趣旨及び原因を記載して請求を特定し、書面で行うことが必要です(同法384条・133条参照)。
 申立てが却下された場合には、1週間以内に、裁判所に対し、異議を申し立てることができますが(同法121条・385条3項)、その裁判所の決定に対しては、不服を申し立てることはできません(同法385条4項)。

(5) 督促異議(仮執行宣言前)
 債務者は、支払督促に対して、これを発した裁判所書記官の属する簡易裁判所に不服申し立てをすることができます(督促異議;同法386条2項)。
 督促異議を申し立てる場合は、支払督促に同封されている異議申立書に所定の事項を記入して、支払督促を出した簡易裁判所に郵送するか直接持参するかします。
 督促異議の申立てにより、支払督促はその異議の限度で効力を失い(同法390条)、督促手続きは通常の訴訟に移行することとなります(同法395条)。
 債務者は、支払督促正本が届いてから2週間以内に督促異議の申出をしなければ、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言が付されることとなります(同法391条1項)。

(6) 仮執行宣言
 支払督促正本が債務者に届いてから2週間以内に債務者から督促異議の申出がなければ、債権者は支払督促に仮執行宣言を付するよう申し立てることができます(同法391条1項)。仮執行宣言付支払督促正本とその債務者に対する送達証明があれば、債権者は、債務者に対して強制執行の申立てをすることができるようになります。
 仮執行宣言の申立てが却下された場合には、債権者は1週間以内に、裁判所に異議を申し立てることができ(同法391条3項・385条3項・121条)、その裁判所がした決定に対しては即時抗告することができます(同法391条4項)。
 一方、債務者が支払督促の送達を受けた日から2週間が経過した後、債権者が30日以内に仮執行宣言の申立てをしない場合は、支払督促はその効力を失うこととなります(同法392条)。

(7) 督促異議(仮執行宣言後)
 仮執行宣言付支払督促に対しては、債務者は、送達後2週間以内であれば、督促異議の申し立てをすることができます(同法393条)。この場合も、支払督促に同封されている異議申立書に所定の事項を記入して、支払督促を出した簡易裁判所に郵送するか直接持参するかします。
 督促異議の申立てにより、支払督促の確定は阻止されますが、仮執行宣言の執行力は存続します。したがって、債務者としては、執行停止の裁判も求める必要があります(同法403条1項3号、4号)。
 督促異議の申立てにより、督促手続きは通常の訴訟に移行することとなります(同法395条)。

(8) その後の手続き
 適法な督促異議の申立てがあれば、支払督促の申立ては訴えの提起とみなされることとなります。この場合、支払督促申立書が訴状として取り扱われることになり、督促手続の費用は訴訟費用の一部として扱われることとなります(同法395条)。不足する費用は追納する必要があります。
 一方、仮執行宣言付支払督促正本が債務者に送達されてから2週間以内に債務者から督促異議の申出がなければ、支払督促は確定し、確定判決と同一の効力を有することとなります(同法396条)。

(9) 電子情報処理組織を用いた手続きに関する特則
 支払督促の申立ては、インターネット回線を利用して行うこともできます(同法132条の109)。インターネット回線を利用した申立ては、最高裁判所規則で定められた簡易裁判所の書記官に対して行うことになります(同法397条)。
 インターネット回線を利用した申立ては、支払督促の申立て以外にも、仮執行宣言の申立てやその申立ての取り下げ等にも利用できます。

3. 支払督促の利用場面
 支払督促手続は、金銭の支払い債務等について、債務者が任意に履行するつもりがないときに利用します。
 具体的には、債務者が、債権者の主張する債権の存在は争っていないが、その履行を怠っており、それ以上の債務者による協力が期待できないような場合が考えられます。
 このような場合は、支払督促手続を利用することによって、簡易迅速かつ経済的に債務名義を取得し、強制執行をすることが可能となることが期待できます。

4. 支払督促の費用
 基本的に必要となる費用は支払督促申立手数料と書類の郵送料となります。
 支払督促の申立ての手数料は訴訟の場合の半額となります(民事訴訟費用に関する法律 別表第1項1・項10参照)。
 なお、弁護士費用などは別途必要となります。
 いずれも、支払督促を利用する際は、裁判所ないし弁護士にお問い合わせ下さい。

 この支払督促手続につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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