御器谷法律事務所

政治資金規正法

1. 政治資金規正法とは、
 政治資金規正法は、昭和23(1948)年から施行されている法律ですが、政治資金がからむ様々な事件をきっかけとしてたびたび改正が行われており、最近では、ほぼ毎年改正が行われています。
 その目的は、議会制民主政治の下において政党や公職の候補者が果たす役割の重要性にかんがみて、これらの者による政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治資金に関して種々の規制を行うことで、政治活動の公明と公正を確保し、これにより、民主政治の健全な発達に寄与することとされています(法第1条)。政治資金は、多額の資金が動き、また非課税でもあることから、その動きをチェックして適正化を図ることが、その重要な役割です。

2. 政治資金規正法の概要
ア 政治資金規正法の規制の方法は、大きく分けて二つの種類に分けることができます。一つ目の方法が、政治資金の流れを公開することで国民に対して広く情報を提供し、これに対する判断は国民の判断に委ねるというものです(法第2条)。そして、もう一つの方法が、政治資金の授受そのものに対して規制をかけるという方法です。
イ 政治資金の流れを公開するという方法は具体的には次の様になっています。まず、新たな政治団体を設立したときは、その日から7日以内に、主たる事務所の所在地の都道府県の選挙管理委員会又は当該選挙管理委員会を経て総務大臣に対して、届出をすることが義務付けられています(法第6条)。そして、政治団体は、毎年、その年の収入、支出、保有する資産などを記載した収支報告書を作成し提出することが義務付けられています(法第12条)。また、最近の改正として、作成した収支報告書は、提出の前に外部監査を受けることが法律上義務付けられています(法19条の13)。
 このようにして集められた情報を総務大臣や都道府県の選挙管理委員会が公表することで(法第7条の2、20条)、政治資金の流れが国民に明らかにされる仕組みになっています。これらの情報は誰でも閲覧することができるようになっており、総務省や各都道府県の選挙管理委員会のホームページ上でも公開されているため、インターネットを通じて見ることもできます。
ウ 政治資金の授受そのものに対して規制をかける方法としては、政治資金規正法は様々な態様の規制を定めていますが、代表的な規制としては次の様なものがあります。まず、会社や労働組合等の団体が、政党や政治資金団体以外の者に対して、政治活動に関する寄付をすることは一切できません(法第21条1項)。また、寄付の量的制限として、個人がする寄付は1年間で2000万円以内に限られていますし、同様に、会社や労働組合等の団体が1年間に寄付を行える額も、資本金の額等の団体の規模に応じて750万円から1億円の間で制限があります(法第21条の3)。他方、寄付の質的な面から、国から補助金等の援助を受けている団体による寄付や(法第22条の3)、三事業年度以上に渡り継続して欠損を生じている会社の寄付(法第22条の4)が禁止されるなどの規制があります。他方、寄付の質的な面から、国から補助金等の援助を受けている団体による寄付や(法第22条の3)、三事業年度以上に渡り継続して欠損を生じている会社の寄付(法第22条の4)が禁止されるなどの規制があります。
 また、政治資金パーティーの対価は、原則として、政治資金規正法上の寄付(同法4条3項)には該当しませんが、同一のパーティーで同一の者から150万円を超えて政治資金パーティーの対価を受け取ってはならず(法22条の8)、政治資金パーティーの対価にかかる収入は収支報告書に記載することが義務付けられています(法12条)。
 
3. 罰則について
 これらの規制に違反した場合、禁固刑や罰金刑といった刑罰を科されることがあります(法第23条以下)。政治団体が無届で寄付を受け又は支出をしたときを例にすると、その政治団体の役職員は5年以下の禁固又は100万円以下の罰金に処せられます。
 このとき、刑罰が科されるのと同時に、裁判の確定の日から一定の期間、公民権(公職選挙法上の選挙権及び被選挙権)が停止されることもあります(法第28条)。その期間は、禁固刑に処せられた者は裁判が確定した日から刑の執行を終わるまでの間とその後の5年間、罰金刑に処せられた者は裁判が確定した日から5年間、これらの刑の執行猶予を受けた者は裁判が確定した日から刑の執行を受けることがなくなるまでの間です。ただし、情状により裁判所がその期間を短縮することもできます。
 さらに、付加刑として、政治団体が受けた寄付にかかる利益の没収や追徴がされることもあります(法28条の2)。
 なお、以上の刑罰規定の適用について、報道などで良く話題になるのは政治家や政治団体の政治資金規正法違反が問題になる事件ですが、寄付を行った側が政治資金規正法違反に問われ、上記の様な刑罰を受けることもあり得ますので(法第26条1号など)、寄付をする側にも注意が必要です。

4. 収支報告書の虚偽記載について
 上述したように、政治団体は、一年毎に収支報告書の作成及び提出を義務付けられていますが、収支報告書には、架空の団体や架空の寄付の記載等の内容的に虚偽の記載がされたりすることがあります。また、逆に、実際には存在した寄付を収支報告書に記載しないという形で、収支報告書の虚偽記載がされることもあります。このとき、当該政治団体の会計責任者等、収支報告書に虚偽の記載をした者は、5年以下の禁固又は100万円以下の罰金に処せられ(法25条1項3号)、裁判の確定により公民権が停止(法28条)されることになります。
 収支報告書の虚偽記載に関する議員の責任としては、法律上、政治団体の代表者(国会議員等)による収支報告書のチェックが義務付けられていないため、国会議員の中には、多忙等を理由として自分では全く収支報告書のチェックを行わない方も多いようです。しかし、虚偽記載があった場合に、政治団体の代表者(国会議員等)が、当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠ったときは、その代表者も50万円以下の罰金に処せられ(法第25条2項)、裁判の確定により公民権が停止されます。また、収支報告書のチェックを怠ることを超えて、政治団体の代表者(国会議員等)が、当該政治団体の会計責任者等に対して、積極的に収支報告書の虚偽記載を指示したような場合には、その者も収支報告書の虚偽記載の罪の共同正犯として、実際に虚偽記載を行った者と同様に処罰されることになります。
 なお、虚偽記載をした者が国会議員であった場合には、刑の確定により公民権が停止されることの結果として、その者は国会議員としての地位を失うことになります(国会法108条)。

 この政治資金規正法につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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