御器谷法律事務所

刑事の時効成立後の民事の損害賠償請求

1. 問題の所在
 事案は、1978年に殺人を犯したAが刑事の時効成立後に自首しました。被害者の相続人がAに対して損害賠償請求訴訟を提起したところ、Aは不法行為から20年を経過しているとして民法724条の除斥期間を主張して請求権は消滅していると抗弁。
 最高裁判所は、除斥期間の適用の除外を認め、Aの主張を排斥し、被害者の遺族の損害賠償請求権が確定しました。
 たとえ不法行為があっても20年を経過すれば損害賠償請求ができなくなる「除斥期間」制度、それが本件のように著しく正義・公平の理念に反するとして適用を認めなかった最高裁。
 最高裁がこのように除斥期間の適用除外を認めたのは、1998年の予防接種禍訴訟以来、実に二例目にしかすぎません。
 時効や除斥期間に関しては、その期間やその存在理由について様々な議論が存する中で、この最高裁の判決は一石を投じたことになるのかもしれません。
 ただ、公害訴訟や戦後補償等をめぐる多くの裁判例においては、時効や除斥期間がその請求の大きな壁となっていたのも事実であります。

2. 最高裁判決
 最高裁判所平成21年4月28日判決の概要の要旨は次のとおりです。
 被害者を殺害した加害者が、被害者の相続人において被害者の死亡の事実を知り得ない状況を殊更に作出し、そのために相続人はその事実を知ることができず、相続人が確定しないまま除斥期間が経過した場合にも、相続人は一切の権利行使をすることが許されず、相続人が確定しないことの原因を作った加害者は損害賠償義務を免れるということは、著しく正義・公平の理念に反する。
 そうすると、被害者を殺害した加害者が、被害者の相続人において被害者の死亡の事実を知り得ない状況を殊更に作出し、そのために相続人はその事実を知ることができず、相続人が確定しないまま上記殺害の時から20年が経過した場合において、その後相続人が確定した時から6か月内に相続人が上記殺害に係る不法行為に基づく損害賠償請求権を行使したなど特段の事情があるときは、民法160条の法意に照らし、同法724条後段の効果は生じないものと解するのが相当である。

 この刑事の時効と民事につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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