御器谷法律事務所

仮放免許可申請

1. 仮放免とは、
 出入国管理及び難民認定法(入管法)には、退去強制の手続を進めるにあたり、オーバーステイなどの退去強制事由にあたる疑いがある外国人を入国管理局に収容することができることが定められており(法39条)、実務上は、この規定に基づき、容疑のある外国人に対しては収容手続が行われることになっています。
 ただし、例外的に仮放免が認められる場合があり(法54条)、これが認められると、収容した外国人の身柄の拘束を解いた状態で退去強制の手続が進められることになります。仮放免の効果は、退去強制の手続を受ける外国人の身柄拘束が解かれるというだけであって、これにより外国人の在留資格が認められる訳ではありませんが、身体拘束の長期化を防ぐという意味を持つため、退去強制の手続を受ける外国人にとっては非常に重要な意義を持つものであるといえます。
 以下では、この仮放免の手続、仮放免の事由及び仮放免後の流れについて順に説明していきます。

2. 仮放免の事由
 どのような場合に仮放免が認められるかについては法律上明確な定めがなく、収容されている者の情状及び仮放免の請求の理由となる証拠並びにその者の性格、資産等を考慮して判断するとされているだけです(法54条2項)。また、入国管理局も、どのような場合に仮放免が認められるかについての明確な判断基準を示しておらず、仮放免が認められた事例も公表されたものはありません。収容されている外国人に健康上の問題がある場合や出国にあたって特に準備が必要と考えられる事情がある場合が仮放免の認められる典型的な場合とされていますが、たとえば、日本に妻や子供がいる、子が日本人である等といったような生活上の事情などが仮放免の許可にあたっての考慮事由の一つとの考えもあります。

3. 仮放免の手続
 仮放免が認められるためには、まず、本人が収容されている入国管理局の窓口で仮放免許可の申請をする必要があります。
 仮放免の申請をすることができるのは、収容されている外国人本人又はその代理人(弁護士)、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹です(法54条1項)。現在ですと、パートナーの方と事実上結婚状態にあり共同生活もしているものの、法律上の結婚はされていないという方も少なくはないと思いますが、そのようなパートナーの方が仮放免の申請を行うことは法律上認められていません。この場合には本人かその代理人(弁護士)が仮放免の申請をすることになります。
 仮放免許可の申立にあたって提出しなければならない書類は、仮放免許可申請書、身元保証書、誓約書です。添付資料としては、身元保証人となる方の住民票の写し(身元保証人が外国人のときは外国人登録原票記載事項証明書)、身元保証人の方の納税及び収入や資産を示す資料(源泉徴収票、預金残高証明書など)、申請者と本人との身分関係を証する書面(申請者が本人以外の場合)の他、仮放免の理由となる証拠資料を提出することになります。仮放免の理由となる証拠資料としては、医師の診断書(病気を仮放免の理由として主張する場合)、家族の方の上申書や家族写真などを例としてあげることができますが、後述するように、どのような場合に仮放免が認められるのかについては見通しが立たない部分が多いので、可能な限り多くの証拠を提出しておいた方が良いでしょう。なお、関係資料を後日補充して提出することも可能ですが、入国管理局は、仮放免の申立や関係書類の郵送による提出を認めていませんので直接持参して提出しなければなりません。
 また、仮放免された外国人が逃亡して所在不明になってしまうことを防止するために、300万円を超えない範囲での保証金を納めることが求められています(法54条2項)。保証金として納める額は収容されている外国人本人の生活状況や身元保証人の資力を勘案して定められ、事案によって異なりますが、100万円を超える保証金の納付を命じられることもあるので、そのつもりであらかじめ準備しておく必要があります。保証金は原則として後で戻ってきますが、仮放免が取消された場合には没収されてしまいます(法55条3項)。
 このように仮放免許可の申請をして関係資料も提出し終えると、後は入国管理局の判断を待つことになりますが、それまでには1カ月から2カ月の期間がかかることがあります。入管法上は、退去強制の手続のために外国人を収容できる期間は最大でも60日間とされている(法39条)ことからすると、仮放免許可の審査に要する期間はやや長すぎるようにも思えます。しかし、退去強制令書の発布後の収容(法52条5項)も合わせると、収容期間は相当の長期に及び、場合によっては1年以上収容が継続されることもありますので、仮放免が認められることにより収容されている外国人が受ける利益は小さくありません。

4. 仮放免後の流れ
 仮放免が認められると、収容されている外国人の身柄は直ちに解かれることになりますが、退去強制の手続はその後も続けられます。そのため、仮放免を受けた外国人は、その後、在宅のままで退去強制の手続を受けることになります。その結果、退去強制事由が認められないと判断された場合や、法務大臣による在留特別許可を得た場合には、その外国人は引き続き日本で生活をすることができますが、それ以外の場合には日本から退去しなければならなくなります。そのため、退去事由のあること自体について争えない事案の場合には、仮放免後、在留特別許可を得られるよう入国管理局に対して働きかけを行っていくことになると思います。
 仮放免を受けた外国人が逃走した場合、逃走すると疑うに足りる相当の事由がある場合、退去強制の手続への呼出しに正当な理由がないのに応じなかった場合や仮放免に付された条件に違反した場合には、仮放免が取消され再び収容されることもあるので(法55条)、仮放免中の行動には特に注意をする必要があります。
 また、仮放免を受けた外国人は、在留資格がない状態で日本国内に滞在しているに過ぎないことから、仮放免期間中に働くことは認められていません。

 この仮放免許可申請につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい
      

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