御器谷法律事務所

公職選挙法とお金

1. 公職選挙法の概要
 公職選挙法は、日本国憲法(15条、44条等)の精神に基づき、選挙が選挙人の自由に表明する意思によって公明かつ適正に行われることを確保し、よって民主政治の健全な発達を期することを目的としています(法第1条)。ここでいう選挙とは、衆議院議員、参議院議員の選挙と、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙のことであって、公職選挙法はこれらの選挙について規定しています(法第2条)。また、その規定の対象となる事項は、選挙の選挙区、投票の方法、選挙運動等、広範な事項に及んでいます。
 選挙においては選挙人(投票者)の自由な意思に基づいた公正な選挙が行われる必要がありますので、公職選挙法の規定の中でも、お金に関する規定は特に重要であるといえます。

2. 選挙とお金について
(1) 選挙運動の費用について
 選挙運動と一言でいっても具体的な運動の内容は多様であり、また、国会議員や都道府県知事の選挙では選挙区の範囲も非常に広いため、一般的に、選挙運動には大きな費用がかかります。しかし、公職の候補者の中には様々な境遇の方々がおり、選挙運動に費やすことができる費用の上限についても候補者によって差があります。そのため、選挙運動の費用について一定の制限を設けなければ、選挙の結果が、候補者の能力や政策の優劣といった本来考慮されるべき事柄によってではなく、選挙運動に費やした費用の大小によって左右されることもありえ、これによって公正な選挙が害されることになりかねません。
 このような事態を防ぎ公正な選挙を実現するため、公職選挙法は、選挙運動での支出額に上限を設けています(法第194条)。具体的な支出額は、同条の委任を受けて制定されている政令に基づいて、選挙区内の有権者数に応じて算出された額と一定の固定費の額を合算して算出されます。選挙運動において、この上限額を超えて支出がなされた場合には、候補者の出納責任者に対して刑罰が科されることもあり(法第247条)、このとき、当選していた者は、いわゆる連座制によって、出納責任者に対する有罪の裁判が確定するのと同時に当選が無効となる上、5年間公職の選挙に立候補することができなくなります(法第251条の2第3項)。
 ただし、政党等が行う選挙運動の費用に関する上限額の定めはなく、あくまで、候補者自身が選挙運動で費やす費用について上限額の定めがあるにとどまります。
(2) 寄付の禁止
 候補者が選挙区内にある者に対して寄付を行うことは、それが選挙に関係せずになされた場合であったとしても、原則として禁止されています(法第199条の2)。公職選挙法では、寄付とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のものをいう、とされています(法第179条2項)。これによれば、候補者がお中元やお歳暮を贈ることや、選挙運動員に日当を支払うことも禁止されます。また、親しい知人等に対して花輪、供花、香典又は祝儀を贈ることも寄付に含まれますので(同条4項)、公職の候補者が金品を供与する際には相当に慎重になる必要があるといえます。
 寄付とは異なりますが、選挙運動に関して飲食物を提供することも原則として禁止されています(法第139条)。例外的に、お茶と軽いお茶菓子を出したり選挙運動の手伝いをしている者に対してお弁当を出したりすることは許されていますが、コーヒーやケーキを出すことは許されていません。
 なお、これらの禁止規定に違反して金品等の寄付や飲食物の提供が行われた場合についても罰則規定が存在します(法第249条の2、243条1項1号)。

3. 選挙犯罪について
 公職選挙法は第16章で選挙犯罪についての罰則を定めていますが、選挙犯罪の中でお金が関わってくるものとしては、これまでにあげたものの他に、買収に関するものがあります。買収行為は選挙犯罪の中でも典型的なものであると同時に選挙の公正を著しく害する危険性があるため、公職選挙法は、買収行為について詳細な罰則規定を設けています(法第221条から223条の2)。買収によって収受され又は交付された利益は必要的な没収の対象となります(法第224条)。
 また、当選人が買収に関する罪を犯していた場合、付随的な効力として、有罪の裁判が確定するのと同時に、当選人の当選が無効になり、また、選挙権及び被選挙権が10年間停止されることになります(法第252条3項)。これに対して、選挙運動の総括主宰者や出納責任者等、当選人の関係者が買収に関する罪を犯した場合にも、いわゆる連座制により、買収に関する罪を犯した関係者に対する有罪の裁判が確定するのと同時に当選人の当選の効力が無効となります。

 この公職選挙法とお金につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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