御器谷法律事務所

平成15年民事訴訟法改正の概要(平成16年4月1日施行)


1. 計画審理の推進
 裁判所は、(1)事件が複雑である場合等、適正・迅速な審理の実現のため必要があると認めた場合、(2)当事者双方との協議の結果を踏まえた上で、審理の計画を定めなければならないことになりました。
 裁判所及び当事者は、適正かつ迅速な審理の実現のため、訴訟手続の計画的な進行を図らなければならないと定められ(147条の2)、具体的な審理計画の策定義務・変更についても規定されています(147条の3)。

2. 提訴前の証拠収集手続の拡充
 迅速で適正な充実した民事裁判を実現するため「証拠収集方法の拡充」と「争点整理」がいわば車の両輪となるものとして、証拠収集方法の拡充が新民事訴訟法の柱の1つとなりました。
 訴えを提起しようとする者(予告通知者)が提訴予告通知をした場合、予告通知者又は回答者は(1)訴え提起前の照会、(2)訴え提起前の証拠収集のための処分(文書送付嘱託、調査嘱託及び専門的知見を有する者への意見陳述の嘱託、執行官への調査命令)の申立ができるようになりました。
 (1)の訴え提起前の照会は、当事者照会を提訴予告通知がされた場合に訴訟係属前に行えるようにしたものです(132条の2、132条の3)。回答を拒絶する場合には正当な理由(132条の1、163条のいずれかの号に当たる事由)を記載する必要がありますが、正当な理由無く拒絶した場合に制裁はありません。虚偽の回答をした場合は、訴訟上で弁論の全趣旨として考慮され不利に働くと考えられています。
 (2)の訴え提起前の「証拠収集のための処分の手続」は、訴えが提起された場合の立証に必要であることが明らかで、かつ申立人がこれを自ら収集することが困難である場合であること、証拠の収集に要すべき時間や嘱託を受けるべきものの負担が不相当になるなど相当でない場合でないことを要件に、裁判所の判断を経て行われるものです(132条の4)。ただし、いずれも強制力はなく、従わなかった場合の制裁もありません。

3. 専門委員制度の創設
 専門訴訟(知的財産権、医療、建築等に関する訴訟)の適正かつ迅速な解決のための方策として裁判所は、当事者の意見を聴き、又は同意を得て専門的な知見に基づく説明を聴くために専門委員を手続に関与させることができることとなりました(92条の2第1項)
 この制度は、専門家の説明を聴くことを目的としたもので、この点、専門家の意見を求める鑑定とは異なります。
 
4. 鑑定手続の改善
 鑑定人への質問手続についてまず(1)鑑定人に鑑定書に基づいて意見を述べ説明をしてもらう説明会方式がとられ、(2)鑑定事項や鑑定人の意見に問題があった場合は鑑定人に質問することになり、質問の順序は、原則として裁判長、鑑定の申出をした当事者、他の当事者とする(215条の2、規則132条の3)などの改正がされました。

5. 知的財産権関係訴訟の管轄の特例
 特許権、実用新案権、回路配置利用権又はプログラムの著作物についての著作者の権利に関する訴え(特許権等に関する訴え)の第一審の管轄裁判所は、東日本の事件については東京地裁、西日本の事件については大阪地裁となりました(6条1項)。なお、特許権に関する訴えに係る保全事件については、本案の管轄裁判所のみが管轄権を有することとなりました(民事保全法12条2項)。 
 また、特許権等に関する訴えについての控訴審は、東京高裁の管轄に専属するなどの改正もされました(ただし、一審大阪地裁の事件で、著しい損害又は遅滞を避けるために必要があると認めるときには、大阪高裁への移送が可能です。)。

6. 簡易裁判所の機能の充実
 簡易裁判所の事物管轄が90万円から140万円に引き上げられました(裁判所法33条1項)。また、少額訴訟に関する特則が適用される事件の範囲を定める訴額の上限額が60万円に引き上げられる(368条1項)などの改正がされました。

 この民事訴訟法改正につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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