御器谷法律事務所

公益法人の改革

1.公益法人制度改革とは、
(1) 意義
 剰余金を分配しない社団法人および財団法人につき、その公共性の有無に関わらず登記だけで法人格を取得できる制度に改めるとともに、そのうち公益目的事業を主目的とする法人を公益法人と認定して、行政庁の監督のもと、一定の税優遇措置等を講じる制度改革を言います。
 従来、公益法人の設立には行政庁の許可が必要であり(旧民法34条)、公益性の有無等の審査は、その裁量に委ねられてきました。しかし、公益性の判断基準が不明確で営利法人類似の法人等が設立許可される例が多数存在すること、そのため、税制上の優遇措置や行政の委託、補助金、天下りの受け皿になっている等の問題が指摘されました。また、公益法人制度は明治29年の民法制定以来100年余りに渡り抜本的な見直しがなされておらず、時代の変化に対応しきれなくなってきました。
 そこで、新制度では一般的な非営利法人制度を創設して、登記のみで法人を設立できるようにし、その中から公益法人の認定を受けられるようにしました。
 この新制度に伴い、現行の公益法人と中間法人の制度は大きく変わることになります。

(2) 移行時期
 公益法人制度改革に伴い、次の三法が平成18年6月2日に公布されました。
「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(一般社団・財団法人法)
「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」(公益法人認定法)
「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(整備法)

 これらは、平成20年12月1日までのうち、政令で定める日に施行されます(一般社団・財団法人法附則1項、公益法人認定法附則1項柱書本文)。従って、新制度への移行時期も、その政令で定められる日となります。
 また、施行と同時に、中間法人法および民法33条〜84条の3の規定は、廃止ないし改正されます(整備法1条、38条、附則1項)。

2. 制度改革の概要
(1) 一般社団法人・一般財団法人
 1) 概要
 剰余金の分配を目的としない社団または財団は、設立の登記によって成立し、法人格を取得できるようになります(一般社団・財団法人法22条、163条、3条)。つまり、設立に際しての許可主義が準則主義に改められました。こうして設立された法人を一般社団法人・一般財団法人と言います。
 一般社団法人の事業には制限はありませんが、定款をもってしても、社員等に剰余金、残余財産分配権を与えることはできません。
 公益法人の認定を受けていない一般社団法人・一般財団法人には、公益法人のような税優遇措置はありません。また、業務・運営全般にわたる行政庁の監督には服しません。このため、一般社団・財団法人法には、機関の確保等、法人の自主的・自立的運営の確保のための規律があります。
 2) 設立
定款の作成・公証人の認証(法10〜13条、152条、155条)
設立の登記(法22条、301条、163条、302条)
名称に「一般社団法人」または「一般財団法人」という文字を使用(法5条)
一般財団法人では300万円以上の財産拠出が必要(法153条1項5号、2項)
 3) 機関
  • 一般社団法人
    社員総会、理事は必置(法35条、60条1項)
    理事会、監事、会計監査人は任意(法60条2項。但し理事会、会計監査人を置く場合は監事必置、法61条。)
    大規模一般社団法人では会計監査人、監事が必置(法62条)

  • 一般財団法人
    評議員、評議員会、理事、理事会、監事が必置(法170条1項)
    会計監査人は任意(法170条)
    大規模一般財団法人は会計監査人が必置(法171条)。
※大規模一般社団法人・大規模一般財団法人とは、最終事業年度の貸借対照表上の負債合計額が200億円以上のものを言います(法2条2号3号)。
 4) その他
 一般社団法人では、社員による役員の責任追及の訴え(法278条)、役員解任の訴え(法284条)などが整備されます。

(2) 公益法人の認定
 1) 概要
 一般社団法人・一般財団法人のうち、公益目的事業を行うものは、行政庁(公益法人認定法3条)の公益認定を受けて公益社団法人・公益財団法人となることができます(法4条)。
 主な認定基準は、公益目的事業を主目的とすること、必要な経理的基礎及び技術的能力を有していること、公益法人の社会的信用を低下させる行為や公序良俗を害しないこと、公益目的事業比率が100分の50以上であること、遊休財産額が一定額を超えない見込みであること、同一親族等が理事または監事の3分の1以下であること、等です(法5条)。
 また、欠格事由として、暴力団員が支配している法人、認定取消後5年を経過していない法人、滞納処分終了後3年を経過していない法人、等があります(法6条)。
 従来、主務官庁による公益性の認定には裁量がありましたが、新制度下での行政庁の認定には明確な基準が設けられており、統一的な判断が期待できます。
 2) 主な手続
公益認定の申請(法6条)
名称中に「公益社団法人」または「公益財産法人」という文字を使用。なお、定款中の名称は変更したものとみなされます(法9条1項、3項)。

3. 現在の公益法人・中間法人の新制度への移行
(1) 公益法人について
 1) 特例民法法人へ
 制度改革三法の施行と同時に、現行の公益法人は全て特に手続を要することなく、「特例民法法人」となります(整備法40条)。これは、一般社団法人・一般財団法人ですが、経過措置により、実質は従来の公益法人と変わりません。
 法人の名称も、施行後5年間の移行期間内は、従来通り「社団法人○○」「財団法人○○」で構いません(法42条)。
 2) 移行期間
 現行の公益法人は、施行から5年間の移行期間内に公益社団法人・公益財団法人への移行の認定の申請、又は、一般社団法人・一般財団法人への移行の認可の申請をする必要があります(法44条、45条)。両者を重複してすることはできません。
 上記移行の認定がなされると公益社団法人・公益財団法人に、また、上記認可がなされると一般社団法人・一般財団法人に移行します。
 移行期間満了日までに申請しない場合や、移行の認定、認可がなされなかった法人は、審査中である場合を除き、移行期間満了の日に解散したものとみなされます(法46条)。
 3) 主な移行手続
  • 認定手続
    公益社団・公益財団法人の認定基準(公益法人認定法5条等)に適合した組織へ変更。
    認定の申請(整備法99条、103条等)→認定(不認定時は再申請が可能)
    移行の登記

  • 認可手続
    一般社団法人・一般財団法人法に適合した組織へ変更。
    認可の申請(法115条、120条等)→認可(不認可時は再申請が可能)
    移行の登記
(2) 中間法人の一般社団法人への移行
 中間法人は公益も営利も目的としない団体であり、現在は有限責任中間法人と無限責任中間法人が存在します。
 1) 有限責任中間法人
有限責任中間法人は、一般社団・財団法人法施行時に、手続を要することなく一般社団法人に移行します(整備法2条1項)。
  • 名 称
    法施行日の属する事業年度の終了後、最初の定時社員総会までは、定款で施行日後に変更した場合を除き、従前通りの「有限責任中間法人○○」のままとなります(整備法3条1項、中間法人法8条1項)。但し、その場合は、当該定時社員総会で、「一般社団法人○○」への名称変更をしなければなりません(一般社団・財団法人法5条1項)。この場合、次に述べる登記の変更も必要です。

  • 登 記
    登記についても、手続を要することなく一般社団法人の登記とみなされます(整備法22条1項、3項)が、名称変更時には変更の登記が必要です。理事及び監事の住所は不要になるのに対し、代表理事の住所が新たな登記事項となります(整備法22条3項、4項、一般社団・財団法人法301条2項5・6・8号)。
 2) 無限責任中間法人
 一般社団・財団法施行時から1年間の移行期間内は、手続を要することなく、特例無限責任中間法人として存続します(整備法24条)。移行期間満了までに一般社団法人への移行手続(総社員の同意、債権者保護手続、移行の登記等)をした場合は一般社団法人となり、完了しなかった場合は解散したものと見なされます(法30条、31条等)。

 この公益法人の改革につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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