御器谷法律事務所

在留特別許可申立

1. 在留特別許可とは、
 オーバーステイなど、出入国管理及び難民認定法24条各号に定める事由がある外国人は、原則として、そのまま日本に在留し続けることはできず、自主的であれ強制的であれ、日本から出国しなければなりません。
 しかし、このような場合であっても、一定の場合には法務大臣がその者が日本に在留することを特別に許可することができることとされており(法50条)、このときに法務大臣から与えられる許可のことを在留特別許可と呼びます。

2. 在留特別許可の事由
 在留特別許可は、法50条1項の各号に定める事由が認められる場合に認められます。ただし、条文上は、同号に定められている事由が認められる場合に必ず在留特別許可を認められることにはなっていないため、これらの事由が認められる場合であっても、在留特別許可が認められないこともあり得ます。
 実務上、在留特別許可が問題となる事案のほとんどは、「その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき」(法50条1項4号)にあたるかどうかが問題となるものでありますので、以下では、この法50条1項4号の事由について説明します。
 法50条1項4号は、その文言からもわかるとおり、どのような場合に在留特別許可が認められるかを明確に規定するものではありません。また、入国管理局も明確な基準を公表していませんので、具体的に、どのような事由があれば在留特別許可がみとめられるかについての公にされている基準はありません。ただ、入国管理局は、「在留特別許可に係るガイドライン」、「在留特別許可された事例及び在留特別許可されなかった事例について」、という二つの文書を公開しております。このうち、「在留特別許可に係るガイドライン」は、在留特別許可の許否を判断するにあたっての方針や考慮する事項について言及したものであり、「在留特別許可された事例及び在留特別許可されなかった事例について」は、過去の在留特別許可の事案を紹介したものであります。これらの文書からは、入国管理局の運用の基準についてある程度の情報を得ることができますので、在留特別許可が認められるか否かを検討する際には参考になります。これらの文書はインターネット(http://www.immi-moj.go.jp/hourei/index.html)上でも閲覧することができます。
 これらの公開されている文書の内容や在留特別許可に関する過去の事例からすると、外国人が配偶者や子供など日本人の家族を持っている場合には在留特別許可が認められやすい傾向にあるといえます。ただし、日本人配偶者がいることを理由とする場合については、入国管理局が偽装結婚の可能性を考慮しているためか、法律上婚姻が成立しているかだけではなく共同生活の実態が存在するかも考慮されているようです。
 逆に、日本での前科・前歴が存在する場合や、過去に退去強制手続きを受けたことがあるなどの場合には、在留特別許可が認められにくくなります。
 なお、およその目安としては以上のように言えますが、これらはあくまで目安に過ぎないものであって明確な基準ではありませんので、在留特別許可が認められるか否かについて予測をすることは難しく、予断を許さない面も少なくありません。

3. 在留特別許可の手続
 在在留特別許可は、あくまで、一定の事情を考慮して法務大臣が外国人の在留を特別に許可するというものであって、法律上、外国人に在留特別許可の申請権は認められていませんので、正式に在留特別許可の申請手続というものが存在するわけではありません。ただし、入国管理局の運用上、在留特別許可の申請をしなければ在留特別許可が認められることはありませんので、引き続き日本で在留することを希望する外国人は、必ず申請を行っておかなければなりません。
 また、外国人に在留特別許可の申請権が法的には認められていないこととの関係上、在留特別許可を申請する際に提出すべき書類や提出の時期についても特に法律上の定めはありません。そのため、重要であると思われる書類があればなるべく早いうちから提出しておいた方が良いと思われます。一般的に重要な証拠になると思われるのは、日本に在留したいことを強くアピールする本人による理由書や、家族や仕事上の同僚等による上申書婚姻関係等の家族関係を証明する書面日本人の家族がある場合にはその者の戸籍謄本及び住民票外国人の家族がある場合にはその者の外国人登録原票記載事項証明書、在留特別許可が得られた場合の住居の売買契約書や賃貸借契約書等があげられます。在留特別許可が認められるためには、最低限これらの証拠は提出しておく必要があると思われます。ただし、上述しましたように、在留特別許可に関してはどのような判断がされるか予測がつきにくい面もあるため、上述したもの以外の証拠もできるだけ多く提出しておき、入国管理局に対して、在留特別許可を得たいという思いを強くアピールしておいた方が良いと思われます。
 この他、退去強制手続の中で、特別審理官による口頭審理という手続が行われます(法40条)。ここで主張したことは在留特別許可の判断において考慮されることになりますので、この機会を利用して、日本に在留したい思いを口頭でしっかり伝えておくと良いです。口頭審理では、弁護士も一緒に手続に参加することができますので、弁護士に依頼することができる場合には同席してもらうと良いと思われます。また、発言の機会は与えられませんが家族の方も同席することができます。
 なお、申請をしてから在留特別許可が認められるまでには、最短でも3カ月程度、最長では1年以上の期間がかかります。仮放免を受けている事案でなければ、在留特別許可が認められるまで、入国管理局で相当長期間の収容を受け続けることになりますが、家族や知人の方は面会に行くことや、差し入れを行うこともできます

4. 在留特別許可後の流れ
 在留特別許可は、諸般の事情を考慮した上で、退去強制事由の認められる外国人に対して、特別に日本での在留資格を認めるものでありますので、ほとんどの場合、その在留資格の期間は1年とされます。そして、この在留特別許可により在留資格が認められた期間を経過しますと、その外国人は、日本から出国しなければならなくなります。そのため、在留特別許可で在留が認められた期間の経過後も引き続いて日本に在留することを望む外国人は、在留資格が認められている期間中に在留期間の更新の手続を行っておく必要があります。このとき、在留期間の更新の手続を経ないまま、在留期間を経過してしまうと、再び在留特別許可を得ることはなかなか難しくなってしまいます。そのため、残りの在留期間に充分注意して、在留期間の更新手続を行っておく必要があります。

»参照
 在留特別許可に係るガイドライン(法務省ホームページ)
 http://www.moj.go.jp/NYUKAN/nyukan85-1.pdf

 この在留特別許可申立につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい
      

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