御器谷法律事務所

リゾート会員権


1. リゾート会員権とは、
 リゾート会員権とは、いわゆるリゾート地において宿泊施設を中心としてこれに付帯するスポーツ施設等の利用を目的とする会員契約における会員の契約上の地位をいいます。リゾート会員権は、大きく分けて、共有権タイプと利用権タイプに分類されます。
  • 共有権タイプ
     会員は施設(不動産)の共有持分と会員規制により制限された施設利用権を有します。会員権の売買は、不動産の共有持分の売買と施設相互利用権が一体となった、制限付き共有持分権の売買契約となります。一般的に会員権購入時に必要となるのは、不動産代金・登録料・保証金・年会費であり、以後は毎年年会費を支払い続けることとなります。
     共有権タイプはその中でも、分譲マンションのように特定の一区分を区分所有するようなタイプと、ルームシェアのように施設全体の所有権を細分化して共有するようなタイプに分けることができます。

  • 利用権タイプ
     共有権タイプとは異なり、運営会社が施設の所有権を保持し、会員は優先的に施設を利用する権利のみ有するタイプのものです。一般的に会員権購入時に必要となるのは、入会金・預託金・年会費であり、以後は毎年年会費を支払い続けることとなるのは、共有権タイプと同様です。
     類似の会員権としてはゴルフ会員権があります。

2. リゾート会員権と法律
会員権取引に関しては、以下のような法律による規制があります
(1) 宅地建物取引業法
 上述の共有タイプの会員権には、同法の適用が考えられます。
 まず、会員権の売主は、同法35条1項各号に定める購入者に説明すべき重要事項は最小限を規定したものでありますから、これらの事項以外にも1室あたりの会員権口数、宿泊施設以外の付帯施設の概要など、会員権にとっての重要事項については併せて説明する必要があるものと考えられます。
 また、会員権の売主は、会員権価格のうち土地建物の代金に当たる部分について、同法41条、41条の2が規定する手付金等の保全措置を取る必要があると考えられます。
 さらに、誇大広告禁止(同法32条)、クーリングオフ(同法37条の2)等の規定も適用されるものと考えられます。
(以上、建設省通達「リゾートクラブ会員権取引に関する監督についての通達」平成元年9月27日、同平成2年7月3日参照)。
(2) 建物の区分所有等に関する法律
 共有タイプの会員権であれば、宅地建物取引業法と同様に、建物の区分所有等に関する法律の適用があるものと考えられます。
(3) 消費者契約法
 会員権の売買が、消費者(同法2条1項)と事業者(同法2条2項)との間で締結された消費者契約(同法3条)であれば、上述の会員権のタイプにかかわらず、消費者契約法の適用が考えられます。
 まず、事業者による不実の告知や断定的判断の提供、不利益事実の不告知などがあれば、会員権購入者は、契約締結に関する意思表示を取り消すことができることもあると考えられます(同法4条)。
 また、かかる契約においては、事業者の損害賠償責任を免除する条項は無効となり(同法8条)、消費者が支払う損害賠償額の予定条項も一定の範囲で無効となります(同法9条)。さらに、それ以外にも、一般の民法・商法に比して消費者の権利を制限し義務を加重する条項で、その程度が信義則(民法1条2項)に反するものも無効とされるものもあると考えられます(消費者契約法10条)。
(4) 特定商取引に関する法律
 上述の会員権のタイプに関わらず、会員権の売買が訪問販売(同法2条1項)にあたる場合には、以下の規制が及びます。
 まず、事業者は、訪問販売により消費者から会員権の売買契約の申込みを受けたときは、直ちに、その内容を記載した書面を申込みをした者に交付する義務を負い(同法4条)、契約を締結した時は契約書面を交付する義務を負います(同法5条)。これらの書面が交付されていない場合は、消費者は無期限でクーリング・オフを行使できます(同法9条1項参照)。
 また、不実の告知や重要事項の不告知等が禁止され(同法6条)、誇大広告も禁止されます(12条)。
(5) ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律
 同法は、2条の「その他スポーツ施設または保養のための施設であって政令で定めるもの」の政令が未だ定められていませんので、現時点ではリゾート会員権取引については適用されません。

3. リゾート会員権の実態
(1) 資産としての価値
 会員権が実質的に価値を保持するためには、会員権について資産的な裏付けが必要であります。しかし、会員の期待に反して、会員権の価値は高額にならないことが多いのが実情との指摘もあります。例えば、不動産の共有権タイプの場合、実質的な価値である不動産代金は会員権売買代金の半分以下であることもあり、この場合名目上の価格通りの価値を保持することは難しいこともあるとも考えられます。また、利用権タイプの場合は、預託金が会員権の実質的な価値になると考えられるため、入会金を含めた購入時の金額通りの価値は認められにくいともいえます。さらに、ゴルフ会員権と異なり、リゾート会員権には一定の相場があるものもある半面、流通性が乏しく、そのためリゾート会員権の換価性は乏しい現状を指摘する見解もあります。
 他にも、利用権タイプの場合は、事業者の経営が悪化すれば預託金の回収が困難となりますし、共有タイプの場合にも、持分自体には実質的な価値があまりないため結局投下資金は回収できなくなるというリスク等もあるところであります。
(2) 利用の実態
 リゾート会員権については、利用の希望時期に利用できない、期待していた施設が設置されていない、十分なサービスが得られないなどのトラブルも発生しているという指摘もあるところであります。

4. リゾート会員権トラブルの対応策
(1) 契約締結に関する意思表示の取消し
 リゾート会員権の販売会社である事業者による重要事項についての不実の告知や断定的判断の提供、不利益事実の不告知などがあれば、消費者である購入者は契約締結に関する意思表示の取消し(消費者契約法4条)を検討すべきと考えられます。
 ここで、重要事項とは、契約目的となるものの質、用途その他の内容、及び、契約目的となるものの対価その他の取引条件をいうと解されます。
(2) クーリング・オフ
 上述の通り、当該会員権売買が訪問販売に該当するような場合であれば、その状況によってはクーリング・オフの行使(特定商取引に関する法律9条)を検討すべきと考えられます。
 同様に、当該会員権売買にかかる会員権が不動産の共有権タイプであった場合も、その具体的状況によってはクーリング・オフの行使(宅地建物取引業法37条の2)を検討すべきこともあると考えられます。
(3) 詐欺取消・錯誤無効
 事業者が約定期限に預託金を返還することが不可能であるにもかかわらず返還を約束したり、転売可能性がないのにもかかわらず転売による利殖性を表示等したりして会員権の購入を勧める行為は、詐欺にあたる場合もあるものと考えられます。
 この場合、それを信じて会員権を購入した者は詐欺取消(民法96条)や錯誤無効(民法95条)を主張できることとなると考えられます。
(4) 債務不履行
 購入したリゾート会員権の内容、すなわち、利用実態などが当初の説明と著しく異なるような場合には、事業者の説明義務違反を追及することも考えられます。
 さらに、会員権契約で定められた施設利用の内容が、実際とは著しく異なる場合は、債務不履行として、会員契約を解除することも考えられます(民法415条)。
 なお、リゾートマンションの売買契約と同時にスポーツクラブ会員権契約が締結された場合に、その要素たる債務である屋内プールの完成の遅延を理由として、買主が同売買契約を法定解除することを認めた判例があります(最高裁判決平成8年11月12日)。
(5) 不法行為
 上述の各種規制に反した販売等がなされた場合には、不法行為に基づく損害賠償を請求することが考えられます。
 また、事業者が当初から欺罔的な勧誘行為を行っていたような場合にも、不法行為に基づく損害賠償請求を検討すべきと考えられます(民法709条)。

 このリゾート会員権につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい


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