御器谷法律事務所

TOB

1. TOBの意義
 TOBとは、Take Over Bidの頭文字を取った略称で、日本語では、「株式公開買付け」といわれています。
 株式公開買付けは、取引市場外で不特定多数の投資家から株式を大量に買い付ける方式であり、買収者である第三者がこのように大量に株式を取得して、当該株式を発行している株式会社の経営権の取得を目指すもの等をいいます。
 最近、新聞やテレビでも、TOBの話題が取り上げられることが多いですが、TOBには、大きく分けて、友好的TOBと敵対的TOBの2種類があります。
 まず、友好的TOBについてですが、これは買収される会社の経営陣等の賛同を得て実施する企業買収を株式公開買付けによって行う場合です。
 これに対して、敵対的TOBは、買収される会社の経営陣等の賛同を得ずに実施される企業買収で行われるものです。このような敵対的TOBに対しては、経営陣が買収防衛策を講ずるケースも多く、買収防衛策の是非をめぐり法廷闘争に至る事案もあります。

2. 法規制の概要
 平成18年に証券取引法が改正され、同法が金融商品取引法と改められました。この金融商品取引法の第2章の2において、「公開買付けに関する開示」として、主な法規制が定められておりますが、発行者以外の者すなわち第三者によるTOBに対する規制が重要です。
 この中で、公開買付けが義務付けられる場合が列記されています(27条の2第1項)が、この義務付けの範囲は改正により拡大されています。例えば、市場内外の取引を組み合わせた急速な買付けの後、所有割合が3分の1を超える場合(同項4号)等です。
 また、証券取引について、透明性・公正性を確保するため、投資家への情報開示に関する規定が整備されています。

3. 手続の流れ
第三者が行うTOBは、概ね以下のような手続で行われます。
1) 公開買付けを行うことの公表 
 これは法定の手続ではありませんが、公開買付けを行う者(公開買付者)が上場会社の場合には、東京証券取引所の「上場有価証券の発行者の会社情報の適時開示等の関する規則」によって、公表義務が生じます。
         
2) 公開買付開始公告
 公開買付者は、公開買付開始公告をして公開買付けを開始します(金融商品取引法27条の3第1項)。公告の方法は、政令により、電子公告か、日刊紙掲載かのいずれかの方法によるものとされています。
         
3) 公開買付届出書の提出
 公開買付者は、2)の公告を行った日に、公開買付届出書を内閣総理大臣(関東財務局長に委任されています。)に対して提出しなければなりません。
 この公開買付届出書の中に、買付等の価格、買付予定の株券等の数、買付等の期間といった事項を記載することになります(同法27条の3第2項)。
         
4) 対象者の意見表明
 公開買付けに係る株券等の発行者(対象者)は、一定の期間内に、公開買付けに関する意見等を記載した意見表明報告書を内閣総理大臣(関東財務局長に委任されています。)に対して提出しなければなりません(同法27条の10第1項)。
 対象者の意見は、公開買付者と対象者との主張・反論が明確に示されるものであり、株主、投資家が的確な投資判断を行う上で非常に重要であるといえます。かかる重要性から、対象者の意見表明が義務付けられています。
 また、この意見表明報告書において、対象者から、公開買付者に対し、質問をすることができます(同法27条の10第2項1号)。
 そして、この質問に対し、公開買付者は、一定期間内に、対質問回答報告書を内閣総理大臣(関東財務局長に委任されています。)に提出しなければなりません(同法27条の10第11項)。
        
5) 公開買付者に対する規制
 公開買付者は、公開買付期間中においては、原則として、公開買付けによらないで公開買付けの対象となる株券等を取得することは禁止されます(同法27条の5)。
 公開買付者は、買付条件のうち、買付価格の引下げ、買付予定株数の減少、公開買付期間の短縮等の投資家にとって不利になるようなものについては、変更を行うことができないとされています(同法27条の6第1項)。
 また、公開買付者は、公開買付けを撤回することは、原則としてできません(同法27条の11第1項本文)。
         
6) 公開買付けの終了
 公開買付者は、公開買付期間の末日の翌日に、公開買付けの結果を公告、公表しなければなりません(同法27条の13第1項)。
 さらに、公開買付者は、公開買付報告書を内閣総理大臣(関東財務局長に委任されています。)に対し提出しなければなりません(同法27条の13第2項)。また、公開買付者は、応募株主等に対して、買付け等に関する通知書を送付することが必要となります。

4. 実務上の問題点
1) インサイダー取引規制
 公開買付者等関係者のインサイダー規制(同法167条)は、会社関係者のインサイダー規制(同法166条)とは異なる点も多いので、別に規制されています。
 重要事実等が公表された後であれば、インサイダー規制は及びません。このインサイダー規制を免れる公表とは、プレス発表してから12時間が経過すること等があります(同法166条4項及び167条4項に規定する政令で定める措置)。
 TOBにおいては、公開買付開始公告等がなされることによっても、公表があったことになります(同法167条4項)。
2) 公開買付価格の適正化
 公開買付けに対する規制上、公開買付価格をどのような価格とすべきかについて定めた規定はありませんので、その価格の適正化が問題となります。
 対象者からの公開買付者に対する質問において、公開買付価格の算定根拠が問われるケースもあります。
3) 少数株主の保護
 全株式の取得を目指して公開買付けが行われた場合において、少数株主が残存することも考えられます。そのような場合において、多数派が少数株主を排除する行為を行う際に、これに対抗する少数株主による株式買取請求権(会社法116条1項2号)の行使といった少数株主の保護が問題となります。
4) 大量保有報告制度の改正
 上場株券等の保有割合が5%を超える大量保有者に対し、株券等の保有割合に関する事項等を記載した大量保有報告書の提出を義務付けています(金融商品取引法27条の23第1項)。ただし、機関投資家については、事務負担を考慮して、報告頻度等を軽減する特例報告制度が設けられています(同法27条の26)。
 大量保有報告書の電子提出を義務化する改正(同法27条の30の2)とともに、特例報告制度について、報告の頻度や期限を短縮して、概ね2週間ごとの基準日を設け、その基準日から5営業日以内とする改正(同法27条の26第1項から第3項まで)が行われています。
 このような改正を通じて、投資家への情報開示が迅速かつ正確に行われることにより、買収防衛策をより迅速に講ずることが可能となります。

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