御器谷法律事務所

チーム医療

1. チーム医療とは、
 患者への治療や手術等について、複数の医師や医療関係者が協同してこれに関与することと、一般的には言われています。
 例えば、一つの手術に際しても、事前の主治医による問診や診断、その後の臨床検査技師等による術前諸検査、主治医の患者への説明、手術の際の麻酔医との共同、看護師の関与、執刀医と主治医との連携等様々な面にこのチーム医療は実施されています。
 このチーム医療は、現代の高度化された医療の現場においては、各々の分業による専門的技術を集め、より高度な医療を実現するために必要不可欠である反面、  複数の医療関係者の関与による連携上の不具合や責任の分担等に問題が生じうることもあります。

2. チーム医療における問題の所在
 チーム医療においては、一つの治療や手術において複数の医療関係者が関与しますので、医療事故が発生した場合において、誰の、どのような行為が注意義務違反として責任を問いうるのかが問題となってきます。
 なお、患者が病院に入院し、その病院での診療や手術に不具合を生じた場合には、その病院における医師や看護師、臨床検査技師等はあくまでもその病院が負担する診療債務についての履行補助者にすぎない側面があります。
 ただし、その医師は、患者に対する直接の注意義務を有している面もあり、その行為が医師としての注意義務違反となる場合には、不法行為責任を有することもあり得るでしょう。

3. 判例の紹介
 チーム医療における総責任者である医師の手術に際しての説明義務について、最高裁判所平成20年4月24日判決がありますので、事案の概要と事件の推移、そして、この最判の判旨の概要をご説明します。

(1) 事案の概要


(2) X→Y:手術につき説明義務違反による不法行為として損害賠償請求
(3) 一審−Yに説明義務違反なしとして請求棄却
(4) 二審−Yに説明義務違反ありとして一部認容
(5) 最高裁判所平成20年4月24日判決
 一般に、チーム医療として手術が行われる場合、チーム医療の総責任者は、条理上、患者やその家族に対し、手術の必要性、内容、危険性等についての説明が十分に行われるように配慮すべき義務を有するものというべきである。しかし、チーム医療の総責任者は、上記説明を常に自ら行わなければならないものではなく、手術に至るまで患者の診察に当たってきた主治医が上記説明をするのに十分な知識、経験を有している場合には、主治医に上記説明をゆだね、自らは必要に応じて主治医を指導、監督するにとどめることも許されるものと解される。そうすると、チーム医療の総責任者は、主治医の説明が十分なものであれば、自ら説明しなかったことを理由に説明義務違反の不法行為責任を負うことはないというべきである。また、主治医の上記説明が不十分なものであったとしても、当該主治医が上記説明をするのに十分な知識、経験を有し、チーム医療の総責任者が必要に応じて当該主治医を指導、監督していた場合には、同総責任者は説明義務違反の不法行為責任を負わないというべきである。このことは、チーム医療の総責任者が手術の執刀者であったとしても、変わるところはない。
 これを本件についてみると、前記事実関係によれば、上告人は自ら患者又はその家族に対し、本件手術の必要性、内容、危険性等についての説明をしたことはなかったが、主治医である医師が上記説明をしたというのであるから、右医師の説明が十分なものであれば、上告人が説明義務違反の不法行為責任を負うことはないし、右医師の説明が不十分なものであったとしても、右医師が上記説明をするのに十分な知識、経験を有し、上告人が必要に応じて右医師を指導、監督していた場合には、上告人は説明義務違反の不法行為責任を負わないというべきである。ところが、原審は、右医師の具体的な説明内容、知識、経験、右医師に対する上告人の指導、監督の内容等について審理、判断することなく、上告人が自ら患者の大動脈壁のぜい弱生について説明したことがなかったというだけで上告人の説明義務違反を理由とする不法行為責任を認めたものであるから、原審の判断には法令の解釈を誤った違法があり、この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。

 このチーム医療につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい


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