御器谷法律事務所

自 己 株 式

1. 自己株式の取得とは?
 自己株式の取得とは、会社が発行する株式を自ら取得することをいい、以前は金庫株とも呼ばれていました。
 従来、会社が自己株式を取得することについては、原則禁止という態度がとられていました。しかし、敵対的買収への対抗策や企業再編への活用手段として、自己株式を保有する必要性が高まり、ついに平成13年の商法改正に伴って、会社が自己株式を保有することが認められるようになりました。
 会社法もこれを引き継ぎ、自社の株式を、特に期間の制限なく保有することを認めております。

2. 取得した自己株式の効果は?
 会社が保有している自己株式については、議決権が認められておらず(同法第308条2項)、その株式について剰余金を配当することも出来ません(同法第453条)。ただ、株式併合、株式分割については、他の株式と同様に、割当を受けることが許されています(同法第182条、184条)。
 また、保有している株式を消却することも認められており、その場合には、取締役会の決議が必要となります(同法第178条1項、2項)。
 
3. 自己株式取得の方法(会社法第155条〜)
会社が自己株式を取得できる場合として、
(1) 取得条項付株式の取得(会社法第107条2項3号イ)
(2) 譲渡制限株式の取得(同法第138条1号ハ又は2号ハ)
(3) 株主との合意に基づく取得(同法第156条1項)
(4) 取得請求権付株式の取得(同法第166条1項)
(5) 全部取得条項付種類株式の取得(同法第171条1項)
(6) 相続人等への売渡請求に基づく取得(同法第176条1項)
(7) 単元未満株式の取得(同法第192条1項)
(8) 所在が不明となっている株主からの取得(同法第197条3項)
(9) 端数が生じた場合の取得(同法第234条4項)
(10) 他の会社の事業全部の譲受けに伴う取得(同法第467条以下)
(11) 合併後消滅する会社からの取得(同法第748条以下)
(12) 吸収分割をする会社からの取得(同法第757条以下)
(13) 上記のほか法務省令で定める場合(会社法施行規則第27条)
の13個があげられます(会社法第155条)。
 多くの会社で問題となるのは、(3)の合意による取得と考えられ、会社法上もこの場合には、以下のような特別な規制をかけています。(3)の方法で自己株式を取得する場合には、注意が必要となるでしょう。

4. 株主との合意に基づく取得((3)の手続き)
(1)  まず、全ての株主から会社が平等に自社株を買い集めようとした場合が考えられます。その手続きとしては、まず最初に、株主総会の普通決議(議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数で可決・会社法第309条1項)で、@取得する株式の数、A株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の内容及びその数額、B取得することができる期間を定めて、取締役会(取締役会設置会社の場合)に授権します(同法第156条1項)。
 次に、授権を受けた取締役会は、買取りのつど、@取得する株式の数、A株式1株を取得するのと引換えに交付する金銭等の内容及び数もしくは額またはこれらの算定方法、B株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の総額、C株式の譲渡しの申し込みの期日の4つを定めて、株主に通知することになります(同法第157条、158条)。
 そして、通知を受け取った株主が、会社に対して自己の持っている株式を買取るよう申し込むことになります(同法第159条)。
(2)  次に、ある特定の株主Aから自社株を買おうとする場合が考えられますが、他の株主との公平の観点から、特に手続き上の注意が必要となります。
 特定の株主から買い取る場合には、株主総会の普通決議ではなく、特別決議(議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上で可決・同法第309条2項)が必要となり、公平の観点から、株主Aは、その総会で議決権を行使することが出来ません(法第160条4項)。 
 また、他の株主は、総会の日の5日前までに、自己も売主に加えるよう請求することができ(同法第160条3項、会社法施行規則第29条)、会社はそのような請求ができることをあらかじめ株主に通知しておかなければなりません(法第160条2項)。
(3)  このように、会社法上は公平の観点から、他の株主にも売却の機会を与えているのですが、これには4つの例外があります。すなわち、@市場価格のある株式を市場価格以下の対価で買い取る場合(同法第161条)とA株主の相続人等から買い取る場合(同法第162条)、B子会社から買い取る場合(同法第163条)、C会社の定款であらかじめ請求権を排除しておく場合(同法第164条)の4つです。
 これらの場合には、他の株主は自分も売主に加えるよう請求できなくなってしまいますので、株主としては注意が必要なところです。
(4)  また、剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定めがあれば、すべての株主から平等に株式を買い取る場合に限り、株主総会ではなく、取締役会で決議を行うことが可能です(同法第459条1項1号)。
(5)  さらに、市場取引または公開買付けによって会社が自己株を取得する場合にも、全ての株主に平等に売る機会が与えられているため、手続きを多少緩和し、(1)の株主総会決議だけ、あるいは、定款に定めておくことによって、それを取締役会決議に変えることも出来ます(同法第165条)。

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