御器谷法律事務所

無認可添加物と慰謝料


1. 無認可添加物の使用と法的責任
 無認可の食品添加物を使用した食品製造業者は、たとえそれによって消費者に具体的危害が生じない場合においても、食品衛生法上の責任を負うこととなります。
 そして、食品製造業者や販売業者は、消費者に対して不法行為や債務不履行、さらには製造物責任法(PL法)によって損害賠償の請求をすることがきるか、又、その際の損害賠償の範囲はどこ迄及ぶのか等が問題となります。

2. 裁判例−大阪地方裁判所 平成17年1月12日判決
 これらの問題点につき、上記裁判例が一つの示唆を与えているものと考えられますので、参考にご紹介いたします。
(1)被告の不法行為上の責任について
 被告Sは、本件各製品を流通に置くに際し、消費者の生命、身体に危険性を及ぼす物質の混入について調査したことが認められ、また、イタノから、アスタックスの品質保証書(乙7)の交付を受けていたことから、製造者として、一般的に相当といえる注意を払っていたものと認められるが、エトキシキンが、本件各製品に混入している可能性があり得るとの認識を持っていたとは認められず、また特段の事情の存在もうかがえないから、被告Sが、本件各製品を流通に置くにつき、エトキシキンの混入につき調査しなかったことが、製造者としての、食品の安全性の調査義務に違反するとは認められない。
 したがって、被告Sに不法行為責任があるとは認められない。
(2)被告の製造物責任について
 原告らが購入した本件各製品により、この製品以外の原告らの生命、身体又は財産が侵害された事実はないから、製造物責任法三条の要件を欠くことが明らかである。
 したがって、被告Sが、製造物責任法により損害賠償責任を負うことはない。
(3)被告の債務不履行責任について
 エトキシキンは、科学的合成品であり、飼料等に抗酸化剤として使用されるものであり、食品衛生法六条により、食品への添加が禁止されているものである。(1)イ項のとおり、本件各製品は、本件各製品が自然物から作り出され、自然物から作り出されるから、本件各製品が、健康に効果があることを強調して販売されており、購入者も、本件各製品が自然物から作り出されるから、本件各製品が、健康に効果があると認識して購入するものと思料されること、本件各製品は、錠剤であって、通常の食品のように風味、食感等を楽しむものでは、およそないことからすると、科学的合成物であり、飼料等に抗酸化剤として使用されるものであり、食品衛生法により、食品への添加が禁止されているエトキシキンが、本件各製品に混入していた場合、売買契約の当事者である買主によっては、本件各製品が無価値になることは当然にあり得るところである。
 したがって、エトキシキンの混入した本件各製品の引渡しは、本件各製品の販売用パンフレットの記載内容の特殊性及び本件各製品の特殊性からすると、本旨に従った履行といえないものと解すべきである、
 よって、原告らは、被告SSCに対し、本件各製品の売買契約を解除せずとも、債務不履行による損害賠償請求ができると解される。
(4)原告の損害について
 原告Xの損害額
  ア、代金相当額について(なお、原告Xの請求額は1万六五〇〇円)
 原告Xは、平成一三年一一月に「イチョウ葉+アスタキサンチン」三瓶を購入し、被告らに支払った代金一万六五〇〇円は、原告Xの被った損害であると主張している。
 原告Xが、平成一三年一一月、「イチョウ葉+アスタキサンチン」三瓶を購入し、代金一万六五〇〇円を支払ったことは争いがない事実である。
 五(2)項記載の事情及び被告らが消費者から回収した本件各製品を他に転用せずに破棄したことも考慮すれば、上記三瓶はいずれも原告Xにとって無価値なものであったとするのが相当である。したがって、上記代金相当額一万六五〇〇円全額を原告Xの損害額として認める。
  イ、慰謝料について(なお原告Xの請求額は二〇万円)
 原告Xは、エトキシキンが入った「イチョウ葉+アスタキサンチン」を摂取したこが認められるが、一(1)項のとおり、エトキシキンが入った「イチョウ葉+アスタキサンチン」の摂取により身体に障害を与える可能性はなかったこと、ア項のとおり、既に消費した分に相当する代金額に相当する額も損害額として認めることにより、エトキシキンを摂取したことによる原告Xの嫌悪感は、相当に慰謝されるものと思料されることからすると、代金相当額とは別に、慰謝料を損害額として認めるのは相当ではない。
  ウ、弁護士費用相当額について(なお、原告Xの請求額は二〇万円)
 本件の原告Xの請求のうち認められるのは、被告SSCに対する、売買契約の債務不履行に基づく損害賠償請求に基づく請求のみであり、原告Xの損害額のうち認容されるのは、ア項の代金相当額一万六五〇〇円であること等を考慮すれば、債務不履行と相当因果関係のある弁護士費用相当額の損害を認めるのは相当ではないと思料される。

 この無認可添加物と慰謝料につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい


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