御器谷法律事務所

建築の瑕疵

1. 問題点
 建築の瑕疵(かし)とは、「完成された建築物等が契約で定められたとおりに施工されておらず、使用価値や交換価値が減少したり、当事者が特に求めた点を欠くなど不完全な部分をもっていること」をいうとされています。
 瑕疵となるかどうかは、目的物が通常備えるべき品質、性能のほか、契約の内容も判断基準となります。

2. 請負業者の責任
建築業者が請負った建物などの建築目的物に瑕疵があった場合、請負業者が負う責任として1)瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)、2)債務不履行(さいむふりこう)責任、3)不法行為責任の3つの責任が考えられます。
(1) 瑕疵担保責任(民法634条〜640条)
 瑕疵担保責任とは、建物等請負の目的物に「瑕疵」がある場合に請負人が負う責任です。
 建物などに瑕疵があると、請負人である建築業者は一定の限度で瑕疵を修補したり(民法634条1項)、損害を賠償したりする義務(民法634条2項)を負います。
 瑕疵担保責任は、債務不履行責任(不完全履行)の特則であり、一応仕事が完成したもののその目的物に瑕疵がある場合、瑕疵担保責任に関する規定のみが適用され、一般規定である債務不履行責任の規定の適用は排除されます。したがって、損害賠償の範囲は信頼利益(瑕疵があると分かっていたら支出しなかったであろう費用)だけでなく、履行利益(本来の契約が履行されていたら得られたであろう経済的利益)も含まれます。
 瑕疵担保責任の存続期間は、民法上、土地工作物の場合、引渡しの後5年又は10年(民法638条)です。しかし、請負契約を締結する場合は、この期間より短縮されることが多く、工事請負契約約款のモデルとなっている旧四会連合協定工事請負契約約款では1年又は2年に短縮されています。なお、この期間は、除斥期間(一定期間が経過することによって、当然にその権利が消滅するもの)と解されています。
 訴訟で瑕疵担保責任が争われる場合、瑕疵の主張は多岐、多数にわたるため、瑕疵一覧表を当事者が作成し、瑕疵の内容を明らかにして審理を行うという工夫が行われています。
(2) 債務不履行責任(民法415条等)
 工事が完成している場合は、瑕疵担保責任の問題となりますが、工事が未完成の場合は、債務不履行責任の問題となります。
 そこで仕事は完成したが建築物に瑕疵がある場合と工事そのものが未完成の場合の区別が問題となります。判例は、「工事が途中で中断し予定された最後の工程を終えない場合には工事の未完成ということになるが、他方予定された最後の工程まで一応終了し、ただそれが不完全なため修補を加えなければ完全なものとはならないという場合には仕事が完成したが仕事の目的物に瑕疵があるときに該当する。」との一般的基準を示しています(予定の工程終了説)。
 債務不履行責任として請負人は契約を解除される場合もあります。ただし、判例では、「工事内容が可分であり、かつ、当事者が既工事部分の給付について利益を有するときは特段の事情のない限り、この既工事部分の契約を解除することはできない。」と判示されています(最高裁昭和56年2月5日判決)。
(3)不法行為責任(民法709条等)
 請負目的物に瑕疵がある場合、請負人は、瑕疵担保責任のみならず、さらに不法行為責任(故意または過失によって他人の権利を侵害し、これによって他人に損害を生じさせた場合に負う責任)を負う可能性もあります。
 判例の中には、瑕疵が居住者の健康に重大な影響を及ぼすようなものであるなど、当該瑕疵を生じさせたことの反社会性ないし反倫理性が高い場合(福岡高裁平成11年10月28日判決)や、注文者やその後の建物取得者の利益を害する意思で故意に瑕疵ある建物を建築した場合(神戸地裁平成9年9月9日判決)などに限定して不法行為責任を認めたものもあります。
 他人の権利を侵害した者が元請負人の直接の被用者である場合、元請負人は不法行為責任としての使用者責任(民法715条)を負います。また、権利の侵害者が下請負人であっても、元請負人が建築現場付近に現場事務所を設置し工事全般の工程を管理して下請負人に指示を与えていたなど元請負人と下請負人との間に実質的な使用関係がある場合には、元請負人が使用者責任を負うとした判例もあります。

 この建築の瑕疵につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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