御器谷法律事務所

離婚の法律相談

4. 裁判上の離婚原因−D.V.(家庭内暴力)は離婚原因となるか?
Q4. 最近よく話題にのぼるドメスティック・バイオレンス(Domestic Violence−略してD.V)は裁判上の離婚原因となるのでしょうか?

A. 回答
 アメリカでは、家庭内において夫が妻に対し恒常的に暴力をはたらいたり、虐待をすることをドメスティック・バイオレンスと呼び、このような夫をワイフ・ビーター(wife beater)とも称しています。そして、アメリカでは、1960年代からこれらに対する保護が問題とされるようになり、1980年代及び1990年代においてはドメスティック・バイオレンスに対して妻らに対する保護を目的とする一定の立法がなされているとのことです。
 しかし、我が国ではドメスティック・バイオレンスという言葉自体がここ数年に至って初めて聞かれたものであり、離婚原因としてはかねてより上位にあった夫の妻に対する暴行、虐待がこれに該当し、その程度が著しいものが「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚原因となってきます。
 具体的には、夫婦間の単なる夫婦喧嘩の際の一過性の暴力では重大な傷害の事実をともなわない限り離婚原因とはならない場合が多いと考えられています。しかし、夫が妻に対し恒常的に執拗に殴る蹴る等の暴行や虐待を加えているときは、その暴行や虐待は「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚原因となってきます。過去の裁判例では、妻を殴打し髪をつかんで引きずり回したりして骨折を負わせたり、顔面がはれ上がり、場合によっては縫合手術を要した例等もありました。特に、夫の酒乱や性交渉を要求しての暴行等も問題とされた例もありました。

  なお、わが国でも「配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律」(通称DV防止法)が平成13年 4月 6日に制定されました(施行は同年10月13日から、ただし支援センター等に係る部分については平成14年 4月 1日から施行となります)。
 まず、同法は国及び地方公共団体に配偶者からの暴力を防止し、被害者の保護を図る義務を課しています。また、都道府県の設置する配偶者暴力相談支援センターにおいては、配偶者からの暴力に関する相談に応じて被害者に対し、カウンセリングや一時保護などを行うこと、自立して生活することを促進するための情報及びシェルター(被害者等を居住させ、配偶者の暴力から被害者を保護する施設)の利用についての情報の提供等を行うことになっています。
  そして、配偶者からの暴力の発見者は支援センター又は警察官に通報すべきという努力義務が課され、また医師等は配偶者からの暴力による傷病者を発見したときは、その者の意思を尊重した上で支援センター等に通報することができると定めています。そして、警察官には配偶者からの暴力による被害の発生を防止するための措置を講じる努力義務が課せられました。これにより、従来いわゆる民事不介入の原則により夫婦間の暴力行為について介入を避けてきた警察の対応が変わってくることとなります。
 また、 被害者が更なる配偶者からの暴力により生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときは、裁判所は被害者の申立てにより保護命令を出すことができます。具体的には、当該配偶者に対し 6月間の被害者への接近禁止又は 2週間の住居からの退去を命することができ、この命令に違反した者は、 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されることとなります。  もっとも、同法については、相談員・施設の数が十分ではないこと、住居からの2週間の退去命令につき更新を認めるべきであることなどの問題点もあります。
 このようなDV法の施行により、今まで家庭という密室の中で行われていた夫婦間の暴力行為が支援センターや警察といった外部組織に対して認知されやすくなり、離婚原因の一つである「婚姻を継続し難い重大な事由」が認定されやすくなる側面もあるのではないかとも思われます。

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