御器谷法律事務所

離婚の法律相談

18. 不貞の慰謝料について
Q18. 私と夫は 5年間結婚生活を継続していたのですが、夫には愛人がいることが分かったのです。私は夫に愛人と別れて欲しいと懇願しましたが、結局別れてはもらえず、私と夫はついに離婚することになってしまいました。私は夫の愛人から慰謝料を取れるのでしょうか。

A. 回答

1. 不貞の相手方から慰謝料を取れるか
 夫婦の一方が不貞行為をした場合には、不貞を働いた夫または妻と不貞の相手方は共同してあなたに不法行為を行ったということになります。この場合、不貞行為を行った夫婦の一方は、他方に対してその精神的損害を賠償する必要が生じます。
 また、不貞行為の相手方も、夫婦の他方に対して不法行為による損害賠償の義務を負うことになります。
 リーディングケースと言われる最高裁判所の判例(昭和54年 3月30日判決)を見てみましょう。
 「夫婦の一方の配偶者と肉体関係をもった第三者は、故意または過失がある限り、右配偶者を誘惑するなどして肉体関係を持つに至らせたかどうか、両名の関係が自然の愛情によって生じたかどうかにかかわらず、他方の配偶者の夫または妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、右他方の配偶者のこうむった精神的上の損害を慰謝すべき義務があるというべきである。」
 この判決を見ても分かるように、判例は夫婦の一方と相手方がどのような経緯で不貞行為に及んだかは特に問題としないようです。すなわち、その関係が自然の愛情によって生じたのかどうか、どちらが誘惑したのか等の事情にかかわらず権利の侵害が認められるようです。
 従って、あなたは夫の不貞行為の相手の女性に対し原則として慰謝料の請求ができることになります。

2. 慰謝料は幾らくらいか

 では、慰謝料としてはいったい幾らぐらいが妥当なのでしょうか。
 これは、不貞行為の態様、期間、時期、性質、この不貞により婚姻が破綻したのか否か、当事者の社会的地位、収入、資産等を総合的に考慮し裁判所が判断することになりますが、ニュースで報道されている芸能関係の方の慰謝料のように多額にはならず、むしろ、事案に応じて平均的には100万円程度から数百万円までという事案が比較的多いように見受けられます。

3. どのような場合にも慰謝料は取れるのか
 では、夫婦関係がどのような状態になっていても夫婦の一方と関係した者に対して、夫婦の他方は慰謝料請求できるのでしょうか。
 最高裁判所の判例(平成 8年 3月26日判決)に興味深いものがありますので、その要旨を記載しておきます。
「夫婦の一方と第三者が肉体関係をもった場合において、夫婦の婚姻関係がすでに破綻していたときは、特段の事情のない限り、第三者は夫婦の他方に対して不法行為責任を負わない。その理由としては、夫婦の一方と第三者が肉体関係を持つことが夫婦の他方に対する不法行為となるのは、それが婚姻共同生活の平和の維持という権利または法的保護に値する利益を侵害する行為と言うことができるからであって、夫婦関係がすでに破綻していた場合には、原則として、夫婦の他方にこのような権利または法的保護に値する利益があるとは言えないからである。」
 この最高裁判所の判例によれば、婚姻関係が破綻していた夫婦の一方と肉体関係に至った場合には、慰謝料を請求されないことになるのです。
 もっとも、実務的には婚姻関係が破綻していたという立証は困難な場合もあるでしょう。

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