御器谷法律事務所

離婚の法律相談

年金の分割

1. 財産分与と従来の年金の扱い
 長年連れ添った熟年夫婦が離婚した場合、夫は厚生年金に加入しているのでそれ相応の年金をもらえるのに、それまで夫を家事や育児などで支えてきた妻は、少額の国民年金や厚生年金しかもらうことができず、離婚後の妻は不安定な生活を余儀なくされる場合も多いようです。
 年金を財産分与の対象とできるかについては、財産分与として夫が受給している年金の一部に相当する金額を定期的に妻に支払うことを命じた判例もあるようです。
 しかし、年金受給権は、その性質上、分割や譲渡ができないため、受給者本人に支払われる年金の一部に相当する金額を、定期金債務の形で妻に支払うという方法しかとることができず、妻が直接年金を受給することはできません。そのため、夫が非協力的であると支払いが滞ることもありますし、夫が死亡すれば支給もストップするという不都合が生じます。

2. 年金分割制度の新設
 このような中、平成16年6月5日に成立した国民年金法等の一部を改正する法律(平成16年法律第104号)により、厚生年金につき「年金分割」の制度が導入されることになりました。
 その概要は以下のとおりです。
(1) 平成19年4月1日施行の年金分割制度(いわゆる合意分割)
1) 平成19年4月1日以降に離婚した夫婦で、配偶者が婚姻期間中、会社等のサラリーマンで厚生年金保険の加入者であった場合を対象とします。自営業者の配偶者は年金分割請求できません。
2) 平成19年4月1日以降に成立した離婚の当事者の婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を、離婚時に限り、当事者間で分割できます。これにより、分割を受けた厚生年金保険料は自分で納めたものとされ、分割した厚生年金を直接受給できるようになります。
3) 分割割合(分割を受ける者の厚生年金の保険料納付記録の持分)は5割を上限とします。ただし、共働きで厚生年金に加入していた場合には、分割を受ける側の取り分は、結婚期間の保険料に相当する厚生年金を夫婦で合算した額の半分が限度になります。
4) 夫婦が分割割合について合意の上、社会保険事務所に年金分割の請求を行います。
5) 合意に至らない場合は、裁判所の調停などで分割割合を定めることになります。
6) 分割請求は離婚後二年以内にしなければなりません。
7) 分割を受けた者の受給開始年齢から死亡まで年金が支給されます。分割を行った配偶者が死亡しても、分割を受けた配偶者の厚生年金の支給には影響しません。
8) 分割は厚生年金(報酬比例部分)の額のみに影響し、基礎年金の額には影響しません。
9) なお、法律上の婚姻関係がない事実婚でも、配偶者の一方(主に妻)が第3号被保険者として認められていた期間に限り、他の一方(主に夫)が納めていた保険料に基づく年金の最大5割を受け取れるようにするとの厚生労働省の方針が報道されています。
(2) 平成20年4月1日施行の年金分割制度(いわゆる3号分割)
1) 配偶者の一方(主に夫)が会社員で他の一方(主に妻)が専業主婦の場合、配偶者の一方(主に夫)が負担した保険料は夫婦共同で負担したものであることを基本的認識とし、この点が法律上明記されます。
2) 平成20年4月1日以降に離婚する、配偶者の一方(主に夫)が会社員等で他の一方(主に専業主婦である妻)が第3号被保険者である夫婦を対象とします。
3) 配偶者の一方(主に妻)(第3号被保険者)が、社会保険事務所に対して年金の分割請求の手続きをとると、その手続きをとった月から離婚までの期間に限り、離婚当時者間で分割割合の合意がなくても、夫の厚生年金の半額が支給されます。
4) 夫が行方不明になったなどの場合にも適用があります。ただし、妻が共働きである場合や夫が自営業者である場合には、この制度は適用されません。
(3) 年金分割のための情報通知書
年金分割の受給権者は所轄の社会保険事務所に対して「年金分割を行った場合の年金見込額のお知らせ」を請求でき、又、「年金分割のための情報通知書」の交付も請求できます。

3. 退職金と財産分与
 離婚前に退職金が支払われていた場合は当然、財産分与の対象となります。離婚前にまだ退職金が支払われていない場合は、将来退職金が支給された場合に支払うなどの合意がされることになります。 

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