御器谷法律事務所

離婚の法律相談

子供の奪い合い

夫婦の一方が他の一方に子供を奪われる場合とはどのようなケースが考えられるのでしょうか。ここでは、別居中の夫婦間での子供の奪い合いについて考察し、その子を取り戻す方法についてはどのようなものがあるのかを検討します。


1. どのようなケースがあるか

1) 別居開始時点
 別居開始が一方の事前準備によってなされた場合には、別居と同時に子供を連れ去ることがまま見受けられます。また、別居当初の混乱状態の中で一方が子供を連れ去ってしまうケースもあります。
2) 別居開始後期間経過後
 別居が開始してから相当期間経過後に一方当事者が何らかのきっかけで他方当事者から子供を奪い去るケースもあります。
3) 離婚手続開始後
 離婚手続きが開始され、調停、訴訟等の法的手続きがとられている最中に、何らかのきっかけで一方当事者が他方当事者のもとから子供を奪い去るケースもあります。

2. 他方の親に奪取された子を取り戻すための法的手段
 次に、子を奪われた方の親が、子を迅速に取り戻すためにはどのような方法があるのか以下に概説いたします。
(1) 調停前の仮の措置
 調停申立後、手続き終了までの間は、調停委員会に対し、調停を円満に進行するうえで有効な仮の措置として子供を原状の監護状況に戻すように求めることが可能です。もっとも、この措置に執行力はありませんので、利用件数は一般的には少ないものとなっております。
(2) 審判前の保全処分
 子の引渡を求める審判の申し立てがなされた家庭裁判所は、当事者の申立により必要な保全処分を命ずることができることから、本案審判に付随する手続きとして緊急に暫定的になされる救済方法です。
 この審判前の保全処分には執行力があります。
 判断基準は、本案審判が認容される蓋然性と保全の必要性が挙げられますが、基本理念は子の福祉であります。すなわち、いずれに監護させるのが子の福祉に合致するのかという理念のもとに判断が下されます。               
 保全決定後の実現方法ですが、履行勧告(調査官による勧告)、間接強制(引き渡さない場合の1日の賠償金を定めます)の手段があります。直接強制が可能かどうかは争いがあり見解が分かれています。いずれにしても、しばらくの間子供と権利者との面接交渉を試みる等の工夫をして強制手段を回避することが望ましい場合もあるといわれております。
 平成5年10月19日の最高裁判所第三小法廷判決が、別居中の夫婦間での子供の奪い合いの事案について、人身保護請求の認められる要件を厳格に制限する解釈を示し、さらにその中の補足意見において、共に親権を有する別居中の夫婦の間における監護権を巡る紛争は、本来、家庭裁判所の専属的守備範囲に属し、家事審判の制度、家庭裁判所の人的、物的の機構、設備は、このような問題の調査、審判のためにこそ存在する旨、及び、審判前の保全処分を活用するべきである旨説示しました。
 従って、近時は、家庭裁判所における審判前の保全処分が子の引渡の事例において多用されるようになっております。
(3) 人事訴訟手続法上の仮処分
 人事訴訟手続法により離婚訴訟に付随して子の引渡の措置を求めることが出来ることになっています。その場合は、民事保全法が準用されることになりますので、子供および関係者に著しい損害または急迫の危険を避けるため必要ある場合に子の引渡の仮処分を地方裁判所へ申し立てることができるとされています。
(4) 人身保護法による手続
 人身保護法による救済請求手続は、地方裁判所もしくは高等裁判所の管轄であり、本来ならば他の方法では目的達成が出来ない非常手段でありますが、子の引渡については、迅速かつ効果的であるとしてかつて少なからず利用されてきた実態がありましたが、前記のとおり最高裁判所においてかかる紛争の解決においては家庭裁判所を活用すべきである旨の判決が下されましたので近時は利用件数は減少しているようです。

3. まとめ
 子供の奪い合いの事例は離婚件数の増加とともに増加傾向にあるように思われます。
 また、子の親権、監護権が離婚についての主たる争いとなっている場合も少なくありません。
 子の奪い合いの事例においては、あくまでも子の福祉を基本理念に、子にできるだけ不利益が及ばないように、迅速かつ適正な手続をとることが肝要であると考えられます。

 この子供の奪い合いにつきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい


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