御器谷法律事務所

会社の民事再生−営業等の譲渡

1. 再生計画における営業等の譲渡が有する意義
 再生手続開始後に、再生債務者等は、裁判所の許可を得て、再生債務者の営業又は事業の全部又は重要な一部(以下、営業等)の譲渡をすることがあります(民事再生法42条1項)。
 再生計画においては、再生債権者への弁済原資として、再生債務者が事業を継続し、その収益をもって見込む場合があります。もっとも、再生債務者の経営手腕や景気動向等によっては、必ずしも順調に収益をあげられるとは限りません。そこで、再生債務者の営業等を第三者に譲渡して、その対価たる代金を弁済原資とすることも選択肢の一つとなるのです。
 ここで、営業・事業の全部を譲渡する方法によると、再生債務者たる会社については清算事務が行われることとなります。そうすると、再建(再生)型手続である民事再生において、このような方法が可能であるのかが問題となり得ます。この点については、営業等の譲渡を盛り込んだ再生計画であっても、それに基づく弁済率が破産配当率を上回る限り、再生債権者にとって不利益はないから、再生計画の不認可事由とはならないものと考えられます。

2. スポンサーの選定
 再生債務者は、営業等の譲受人(スポンサー)を選定するにあたり、その候補者に対して、事業譲受けの是非の検討資料を提供する趣旨で、当該事業の機密にかかわる情報を開示することになる場合があります。この場合、候補者との間で守秘義務契約等をして情報漏洩に留意しつつ、内密に交渉をしていきます。
 スポンサー選定の一方法として、入札方式が挙げられます。これは、手続の公平性や決定された譲渡代金の客観性が担保されるという利点がありますが、他方で、時間的余裕のないケースでは利用し難いといった欠点もあります。入札という方法を選択する際には、これらの点を踏まえることが肝要です。
 なお、事案によっては、事業価値の低下を防ぐために、スポンサーの選定を再生手続の申立てに先立って行うこともあります。これを「プリパッケージ」と呼ぶこともあります。

3. 営業等の譲渡をするための手続
 再生債務者が営業等の譲渡をなすにあたっては、次の法定手続を履践する必要があります。
(1)再生債権者、労働組合等の意見聴取
 裁判所が再生債務者による営業等の譲渡を許可する場合には、再生債権者(または、債権者委員会)の意見を聴かなければなりません(法42条2項)。実際には、再生債権者を招集して意見を聴取するケースや、意見のある再生債権者は書面を提出するようにとの新聞等への広告を出すといったケースがあるようです。多くの再生債権者が、営業等の譲渡自体が不相当であり、これを不同意とする意見を述べることがあれば、裁判所が当該譲渡を許可しないとの判断を示すに至ることもあり得ます。譲渡の対価がいくらであるかは再生債権の弁済率に直結する問題であるため、再生債権者は、代金の算定基準・方法に強い関心を有しているといえ、代金額の相当性についても意見を述べることができます。
 また、法は、労働組合等の意見を聴くことも要求しています(法42条3項)。
(2)裁判所の許可
 裁判所は、再生債権者や労働組合等から聴取した意見などを資料として、「当該再生債務者の事業の再生のために必要であると認める場合」に、営業等の譲渡を許可します(法42条1項)。裁判所の許可を得ないでした営業等の譲渡は無効ですが、善意の第三者には対抗できません(同4項・41条2項)。
 再生債務者が株式会社である場合、会社法上は、事業の全部又は重要な一部を譲渡するについて株主総会の決議が要求されています(会社法467条1項1号、同2号)。もっとも、状況によっては株主総会決議を経る時間的余裕のない場合もあり得ます(資産価値の低下を防ぐべく早急に事業譲渡をする必要がある場合など)。そこで、当該事業譲渡が事業の継続のために必要である場合に限り、裁判所は、再生債務者等の申立てにより、株主総会決議に代わる許可をすることができるとされています(民事再生法43条1項)。

 この営業等の譲渡につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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