御器谷法律事務所

別除権協定

1. 別除権とは
 再生手続開始時において、再生債務者の財産について担保権(特別の先取特権、質権、抵当権又は商法若しくは会社法の規定による留置権)を有する者は、別除権を有し、これを再生手続外で行使することができます(民事再生法53条)。
 別除権者は、別除権の行使(民事執行法による担保権実行等)により、当該別除権にかかる担保権によって担保される債権について優先的に弁済を受けることができます。また、別除権の行使によって弁済を受けることができない債権の部分(別除権不足額部分)が確定すれば、この部分について再生債権者として権利を行使することができます(法88条本文)。別除権者が再生手続に参加するためには、再生債権の届出において、通常の届出事項(法94条1項)のほかに、別除権の目的である財産及び別除権の不足見込額を届け出る必要があります(同2項)。

2. 別除権協定の意義
 別除権が行使されると、再生債務者は、担保目的物である財産を失うことになります。この財産が再生債務者の事業にとって不可欠のものである場合(例えば、本社や主たる営業所等)には、担保権の実行により、再生に大きな支障の生ずる可能性があります。
 担保権を消滅させるための制度として、再生債務者等には、担保権消滅請求が認められています(法148条以下)。これは、別除権にかかる担保権の目的財産が再生債務者の事業の継続に欠くことのできないものであるときに、当該財産の価額に相当する金銭を裁判所に納付し、裁判所の許可によって担保権を消滅させる制度です。もっとも、再生債務者等において、納付すべき金銭の準備がままならないことで、この制度の利用が困難な場合もあり得ます。
 そこで、再生債務者のとり得る手段として、別除権者との間で別除権の取り扱いに関する合意をすることが一つの候補となります。具体的には、担保目的物である財産を失うことによる不都合を別除権者に説明して、目的物評価額を分割して弁済することで別除権の行使を猶予してもらうとの合意を得ます。この合意が、いわゆる「別除権協定」です。

3. 別除権協定の内容、手続
(1) 内容

 別除権協定の典型的な内容は、別除権目的物の受戻し、すなわち、再生債務者が別除権者に対し担保目的物の評価額を再生手続外で分割弁済することで、抵当権の実行を防ぐ、というものが考えられます。別除権協定書の記載事項としては、事案により様々といえますが、一例として次のようなものが挙げられます。
  • 別除権者の再生債務者に対する債権額及びその担保権の確認
  • 別除権評価額の確認
  • 別除権者の債権のうち別除権評価額にかかる部分の弁済内容(利息、分割回数、期間等)
  • 当該協定に従った弁済の完了による担保権の消滅及び担保権の抹消登記手続をすることの確認
  • 担保権不実行の定め
  • 当該協定が監督委員の同意を停止条件として効力を生ずる旨の定め
(2) 手続
 別除権協定は、その締結が再生計画を立案する前であった場合は、再生計画案に盛り込まれます。再生計画を立案する時点で未だ締結されていなかった場合は、別除権評価額を算出し、被担保債権から当該評価額を控除した別除権不足見込額を再生債権とすることになります。また、別除権協定を締結し、これに基づき別除権目的物を受け戻すためには、裁判所の選任した監督委員の同意を得る必要があります(法54条2項)。

 この別除権協定につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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