御器谷法律事務所

裁判員法は合憲

1.裁判員制度とは、
 みなさんが、国民の中から選任された裁判員として刑事裁判に参加し、犯罪事実の認定・法令の適用(被告人が有罪か無罪か)、刑の量定(どのくらいの刑罰を負わせるのがよいか)を裁判官と一緒に決めていく制度です。
 職業裁判官と国民が力を合わせて事件を解決する裁判員制度が作られました。これにより、これまで裁判に縁遠かった国民に裁判を理解してもらい、裁判所が事件を解決する場として本当の意味での信頼を得ることが期待されています。
 裁判員制度について定められた「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」は平成16年5月21日に公布され、平成21年5月21日施行されています。
 この裁判員制度については、かねてより一部の方により憲法違反ではないか、との指摘がなされていました。
 そしで、これが争点となった事案について、最高裁判所大法廷は、裁判官15名の全員一致にて裁判員制度を合憲と判断いたしました。
 この最高裁判所の判決の概要を、以下では紹介いたします。

2. 最高裁判所大法廷 平成23年11月16日判決
(1) 上告の理由と、最高裁の判断
「所論は,多岐にわたり裁判員法が憲法に違反する旨主張するが,その概要は,次のとおりである。①憲法には,裁判官以外の国民が裁判体の構成員となり評決権を持って裁判を行うこと(以下「国民の司法参加」という。)を想定した規定はなく,憲法80条1項は,下級裁判所が裁判官のみによって構成されることを定めているものと解される。したがって,裁判員法に基づき裁判官以外の者が構成員となった裁判体は憲法にいう「裁判所」には当たらないから,これによって裁判が行われる制度(以下「裁判員制度」という。)は,何人に対しても裁判所において裁判を受ける権利を保障した憲法32条,全ての刑事事件において被告人に公平な裁判所による迅速な公開裁判を保障した憲法37条1項に違反する上,その手続は適正な司法手続とはいえないので,全て司法権は裁判所に属すると規定する憲法76条1項,適正手続を保障した憲法31条に違反する。②裁判員制度の下では,裁判官は,裁判員の判断に影響,拘束されることになるから,同制度は,裁判官の職権行使の独立を保障した憲法76条3項に違反する。③裁判員が参加する裁判体は,通常の裁判所の系列外に位置するものであるから,憲法76条2項により設置が禁止されている特別裁判所に該当する。④裁判員制度は,裁判員となる国民に憲法上の根拠のない負担を課すものであるから,意に反する苦役に服させることを禁じた憲法18条後段に違反する。
 しかしながら,憲法は,国民の司法参加を許容しているものと解され,裁判員法に所論の憲法違反はないというべきである。」
(2) 国民の司法参加について
「そうすると,国民の司法参加と適正な刑事裁判を実現するための諸原則とは,十分調和させることが可能であり,憲法上国民の司法参加がおよそ禁じられていると解すべき理由はなく,国民の司法参加に係る制度の合憲性は,具体的に設けられた制度が,適正な刑事裁判を実現するための諸原則に抵触するか否かによって決せられるべきものである。換言すれば,憲法は,一般的には国民の司法参加を許容しており,これを採用する場合には,上記の諸原則が確保されている限り,陪審制とするか参審制とするかを含め,その内容を立法政策に委ねていると解されるのである。
(3) 憲法§31、32、37①、76①、80①について
「このような裁判員制度の仕組みを考慮すれば,公平な「裁判所」における法と証拠に基づく適正な裁判が行われること(憲法31条,32条,37条1項)は制度的に十分保障されている上,裁判官は刑事裁判の基本的な担い手とされているものと認められ,憲法が定める刑事裁判の諸原則を確保する上での支障はないということができる。
 したがって,憲法31条,32条,37条1項,76条1項,80条1項違反をいう所論は理由がない。
(4) 憲法§76③について
憲法が国民の司法参加を許容している以上,裁判体の構成員である裁判官の多数意見が常に裁判の結論でなければならないとは解されない。先に述べたとおり,評決の対象が限定されている上,評議に当たって裁判長が十分な説明を行う旨が定められ,評決については,単なる多数決でなく,多数意見の中に少なくとも1人の裁判官が加わっていることが必要とされていることなどを考えると,被告人の権利保護という観点からの配慮もされているところであり,裁判官のみによる裁判の場合と結論を異にするおそれがあることをもって,憲法上許容されない構成であるとはいえない
 したがって,憲法76条3項違反をいう所論は理由がない。」
(5) 憲法§18後段について
裁判員の職務等は,司法権の行使に対する国民の参加という点で参政権と同様の権限を国民に付与するものであり,これを「苦役」ということは必ずしも適切ではない。また,裁判員法16条は,国民の負担を過重にしないという観点から,裁判員となることを辞退できる者を類型的に規定し,さらに同条8号及び同号に基づく政令においては,個々人の事情を踏まえて,裁判員の職務等を行うことにより自己又は第三者に身体上,精神上又は経済上の重大な不利益が生ずると認めるに足りる相当な理由がある場合には辞退を認めるなど,辞退に関し柔軟な制度を設けている。加えて,出頭した裁判員又は裁判員候補者に対する旅費,日当等の支給により負担を軽減するための経済的措置が講じられている(11条,29条2項)。
 これらの事情を考慮すれば,裁判員の職務等は,憲法18条後段が禁ずる「苦役」に当たらないことは明らかであり,また,裁判員又は裁判員候補者のその他の基本的人権を侵害するところも見当たらないというべきである。」

 この裁判員法は合憲につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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