御器谷法律事務所

成年後見


1.成年後見とは

(1) 精神上の障害、知的障害などにより判断能力が十分でない方々が社会生活を営んでいく上では、財産の管理や介護のための契約等を自ら行うことが困難である場合などがあります。特に、近年では、高齢化社会の進展に伴い、痴呆等のため悪徳商法の被害にあう方も増えているといわれます。
 成年後見制度は、このような判断能力の不十分な方に代わって契約の締結等を行う成年後見人等を家庭裁判所が選任したり、本人の不十分な判断により締結してしまった契約を取り消すことができることとする等により、こうした方々を保護し、援助するための制度です。

(2) 保護を必要とする本人の判断能力の欠如の程度によって民法上は次のような各種の制度が用意されており(これらを総称して「法定後見」ということもあります。)、本人の障害の程度が著しくなるほど選任された後見人等の権限が大きくなっていくという関係にあります。
 すなわち、精神上の障害により判断能力を欠く常況にある方に対しては後見の制度が用意されており、「成年後見人」が選任されます。終始自分の行為の結果を判断する能力を欠いているわけではないが、一時的に能力を回復することがあっても大部分の時間そのような能力を欠いているという状況であれば「常況にある」という要件にあたるとされます。精神上の障害により判断能力が著しく不十分な方に対しては保佐の制度が用意されており、「保佐人」が選任されます。精神上の障害により判断能力が不十分ではあるが、以上のような障害の程度にまでは至っていないという方については補助の制度が用意されており、「補助人」が選任されます。

(3) 以上の法定後見の制度とは別に、「任意後見契約に関する法律」上、任意後見の制度も用意されており、あらかじめ本人が公正証書により任意後見契約を締結しておいた場合において、その後本人が補助の制度に該当する程度以上に判断能力が不十分となった場合には、「任意後見人」が選任されます。

2. 成年後見制度
 平成12年4月から適用されるようになった上記の成年後見の制度においては、以下のような点で従前の制度の改善が行われ、保護を必要とする方々が利用しやすいように配慮されています。
 1) 従前は、保護・援助を受けられる方が一定程度以上重い精神上の障害がある方に限られていましたが、新制度では、補助の制度が新設され、軽い障害を持つ方も保護を受けられるようになりました。
 2) 保護の内容も従前は画一的、硬直的であったものが、自己決定の理念の尊重から、日用品の購入その他日常生活に関する行為は成年被後見人本人が1人で行えるようにするなどの改正が行われました。
 また、法定後見の制度に加え、上記1.(3)の任意後見制度が新設され、本人が自分に判断能力があるうちに、判断能力が不十分になった場合に備えて、その場合における財産管理等の事務について代理権を与える任意後見契約を結んでおくこともできるようになりました。この制度によれば、本人が、あらかじめ自分の信頼する人を任意後見人として選んでおけますし、援助を受ける内容も契約により定めておくことができます。
 3) 財産の売買や介護に関する契約の締結等に当たっては、本人又はその成年後見人等にそのような取引をする能力・権限があるのかを取引の相手方が確認できることも必要です。しかし、こうしたことが従前は本人の戸籍に記載されることとなっていたため、保護の必要性がありながら制度が利用されないといった傾向もありました。
 このため、成年後見の制度では、戸籍への記載に代えて、成年後見人等の権限や任意後見契約の内容などを登記して公示する成年後見登記制度が新設されました。そして、プライバシー保護の観点から、登記事項の証明書の交付を請求できるのは本人や親族等に限られ、取引相手であることを理由としては請求できないこととされています。よって、その利用方法としては、成年後見人が成年被後見人に代わって契約を締結するときに登記事項の証明書を取り寄せ、相手方はそれによって成年後見人の権限を確認するといったことが考えられます。

3. 成年後見人の権限・義務は以下のようなものです。
 1) 成年後見人は、成年被後見人本人に代わってその財産を管理します。成年被後見人の預金通帳の管理、介護サービス契約の締結等、管理行為の内容は多岐にわたります。
 ただし、成年後見人が成年被後見人に代わって、成年被後見人の居住用の建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除、抵当権の設定等の処分をする場合には、成年被後見人に対する影響が大きいことから、家庭裁判所の許可を得なければならないこととされています(民法§859の3)。
 2) 成年後見人には、成年被後見人の財産に関して、成年被後見人を代理する権利があります。ただし、成年被後見人本人の行為を目的とする債務を生じさせるような場合には成年被後見人本人の同意が必要とされています。
 3) 成年後見人は、後見開始後、成年被後見人がした契約の締結などの行為が本人にとって不利なものであったような場合、それを取り消すことができます。ただし、成年被後見人がした日用品の購入など日常生活に関する行為は取り消せないこととされています。
 4) 成年後見人には、成年被後見人の心身の状態や生活の状況に配慮する義務があります。具体的には、成年被後見人の医療やリハビリに関する事項、施設への入所、介護等に関する事項を処理しなければなりません。

4. 成年後見人の具体的な後見事務

(1) 財産管理
 1) 後見人に選任後1ヶ月以内に、財産目録・負債一覧を調整(民法§853)。
   毎月の収入と支出の概算も計算。
 2) 成年後見人名義の預金口座を作ることも。
 3) 収支を記帳し、領収証等をまとめておく。
 4) 居住用不動産の処分については家庭裁判所の許可必要(上記3.(1))。
(2) 身上監護 
 1) 成年被後見人の療養看護(民法§858)。
 2) 要介護認定の申請等。
(3) 家庭裁判所への報告 
 1) 家庭裁判所へ年1回、年間の収支報告書、財産目録・負債一覧の訂正版を作成し提出。
 2) 被後見人が亡くなったときは、2ヶ月以内に、収支報告書と財産目録・負債一覧を作成し提出(民法§870)。

5. 成年後見人の報酬
 家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる(民法§862)。

 この成年後見につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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