御器谷法律事務所

相殺通知

Q. 当社の取引先が不渡りを出して倒産してしまいました。

当社は取引先に対して商品を仕入れた代金として、金100万円の買掛金債務を負っていますが、逆に、部品を卸した代金債権として金100万円の売掛金債権を有しています。この場合、当社はどのような対応をすべきでしょうか。また、その方法や注意点について教えてください。


A. 貴社は、取引先に対し、相殺通知をすることにより相殺という法的手段を利用して債権を回収することができることになります。ここでは、相殺について概説し、そのメリットや方法について説明します。

1. 相殺とは
 相殺とは、相互に同種の債務を負担している場合に、その債務を対当額(同額)につき消滅させる意思表示のことをいいます。

2. 相殺の機能
 相殺は、対立する債権債務が対当額で消滅することから、相互にその額の範囲内で担保的な機能を果たしていると言えます。すなわち、一方が倒産などして支払が出来なくなったにもかかわらず、もう一方の債務は全額支払わなければならないとすると非常に不公平となります。このような場合でも、この相殺制度を使えばこのような不公平が回避でき、当事者間に公平が保たれることになります。

3. 相殺の要件
(1) 2つの対立する債権が同種の目的をもっていること
本件で言うと売掛金と買掛金のように一般的には金銭債権同士が対象となります。
(2) 双方の債権が弁済期にあること
あなたの会社が取引先に対して有する債権(自働債権といいます)については、必ず弁済期にあることが必要になります。
もっとも、この場合、商取引基本契約書にあなたの会社の取引先が不渡りを出したときには弁済期が到来する等の期限の利益喪失約款が記載されていた場合には、本来の弁済期が未到来でも直ちに相殺が可能です。
取引先があなたの会社に対して有する債権(あなたの会社にとっては債務)については、期限の利益を放棄できるので弁済期に達している必要はないことになります。
(3) 双方の債権が性質上相殺を許すものであること
両債権がそれぞれ別々に現実に履行しなければ、その債権の目的が達成されない場合には相殺できないことになります。例えば、稲の収穫期において双方がそれぞれ手伝うという債務は性質上相殺できません。

以下に相殺の構造について簡単に図示しておきます。


4. 相殺通知の方法
 相殺の通知は、相殺通知書を内容証明郵便(配達証明書付)で相手方に郵送する方法によって通常行われることになります。
 相殺通知は、自働債権の表示、受働債権の表示が明確に為されているかどうかなど法律的に十分に考慮しなければならない問題点がありますので、法律の専門家である弁護士に依頼し、弁護士名で相殺の通知書を作成し郵送することをお勧めいたします。

 この相殺通知につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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