御器谷法律事務所

犯罪被害者の支援


1.犯罪被害者支援の必要性
 犯罪に巻き込まれた被害者やその家族の多くは、これまで十分な支援を受けられず、社会において孤立することを余儀なくされてきた面もあります。さらに、犯罪等による直接的な被害にとどまらず、その後も副次的な被害に苦しめられてきた方々もおられます。具体的には、メディア・スクラムによって平穏な生活が害されたり、第三者による心ない言葉に傷ついたり、関係機関の定型的な処理の中で当事者としての十分な配慮を受けることができないといったことがあります。また、法律知識がないために、犯罪被害者の救済のための法制度を利用することができなかったり、加害者の処遇を見届けることができかったりすることもあります。
 このような副次的被害から犯罪被害者等を守るために、弁護士による犯罪被害者等支援活動が重要な役割を果たしています。

2. 犯罪被害者支援のための制度
(1) 事件に関する情報の入手
検察庁による被害者等通知制度
 検察庁は、運用上、被害者等に対し、できる限り(1)事件の処分結果、(2)裁判を行う日及び裁判所、(3)裁判結果、(4)犯人の身柄の状況、(5)刑務所からの出所情報に関する情報を提供するという被害者等通知制度を設けています。
 これらの情報のうち、(1)〜(4)は通知されることが多いのですが、(5)については、事件からかなりの日数が経過していることもあり、なかなか通知が徹底されていません。このような場合には、被害者等支援に携わる弁護士が継続的に検察庁に問い合わせるなどして情報を得たうえで、被害者等に知らせることもあります。
優先傍聴
 社会的関心の高い事件では、傍聴希望者が多く、自由に傍聴できない場合がありますが、このような場合でも、被害者等は、裁判長に申出をすることによって傍聴席を確保することができます(犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(犯罪被害者保護法)2条参照)。この場合、弁護士は、被害者等が円滑に裁判所での傍聴ができるように、裁判所や検察庁と折衝し、場合によっては傍聴に同行することもあります。
刑事訴訟記録の閲覧、謄写
 犯罪被害者は、刑事判決確定前であれば、一定の場合に、刑事裁判の訴訟記録を閲覧・謄写することができます(同法3条)。
 しかし、刑事判決確定後になると、閲覧は誰でも出来ますが(刑事訴訟法53条1項)、法律上、被害者直接の謄写の規定はありません。もっとも、弁護士が民事訴訟のために謄写をすることは運用上認められているため、被害者等が刑事判決確定後に謄写申請を希望する場合は、弁護士が支援することがあります。
 少年事件においても、一定の場合に、裁判所に対して申出をすることによって、犯罪事実に関する部分に限り、閲覧・謄写をすることができる場合があります。
(2) 加害者に対する刑事手続への関与
検察審査会の手続への関与
 検察審査会とは、衆議院選挙の有権者の中からくじで選出された11人の検察審査員が、検察官の起訴猶予及び不起訴処分の当否の審査などを行う機関です(検察審査会法2条1項、4条)。
 この審査会への審査の申立ては、告訴もしくは告発をした者や、犯罪被害者、犯罪被害者が死亡した場合にはその配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹がすることができます(同法2条2項)。
 また、審査申立人が検察審査会に意見書又は資料を提出することができるようになりました(同法38条の2)。
事情聴取
 犯罪被害者は、警察・検察による捜査の一環として、参考人として事情聴取をされることがあります。これは警察署や検察庁の取調室で行われますし、事件直後の時点で行われますから、心理的負担も大きいものです。弁護士や支援ボランティアの案内、付き添いによって、この負担が幾分軽減される場合もあります。
証人尋問
 犯罪被害者が証人として、公判において証言をする場合、被告人の面前であることもあいまって、非常に心細く、言いたいことも言えず、さらには、精神的苦痛が増すおそれもあります。そこで、裁判所の許可を得て、心理カウンセラーや年少者の保護者のほか、弁護士が、証言に付き添うことができるようになり(刑事訴訟法157条の2)、その他、証人と被告人または傍聴人の間を遮蔽したり(同法157条の3)、証人を別室に在席させ、法廷とテレビモニターを介して証言させたり(同法157条の4)することができるようになりました。
意見陳述
 従来、刑事裁判では、犯罪被害者は、証人または参考人としてしか直接に事件に関与することが出来ませんでした。しかし、現行法では、申立てによって、公判期日において、犯罪被害者が自己の心情等の意見について陳述できるようになりました(同法292条の2)。
弁護士は、これらの制度における申立てや書面の提出等を行い、また、警察署・検察庁・裁判所などへの付き添いをすることなどで、被害者等を支援することができます。
(3) 被害の弁償、補償
犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律(犯給法)
 犯罪被害者が死亡した場合の遺族に対しては平均432万円(最高1573万円)が、後遺症が残った犯罪被害者に対しては平均213万円(最高1849万強)が、国庫から支払われています。重傷・重病を被った犯罪被害者に対しては、最大で3ヶ月、月7万2300円が給付されます(この額以上被害者が自己負担をする場合は、高額療養費制度の援助を受けます)。
 ただし、この法律の適用は、生命・身体の損害で、かつ、故意による犯罪の場合に限定されます(同法2条)。
刑事和解
 裁判外において、加害者と被害者が和解した場合、その合意内容を刑事裁判の公判調書に記載することで、民事判決や裁判上の和解同様の効力が生じ(犯罪被害者保護法4条4項、民事訴訟法267条)、強制執行が可能となります。
 なお、刑事和解に限りませんが、和解することにより、加害者の量刑が軽くなることがあります。
給付金の支給申請には多数の書類が必要となる場合があり、刑事和解についても被害者の裁判所への出席が前提となっている為、弁護士は、これらの制度の手続きにおいても、犯罪被害者を支援することができます。
(4) 加害者の隔離
ストーカー
 ストーカーによりつきまとわれた場合、ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)上の「つきまとい等」(同法2条1項)に該当すれば、警察により警告が発せられ(同法4条)、さらに、これに従わずに「つきまとい等」を行うと、一定の場合に公安委員会により禁止命令が出されます(同法5条)。これに違反すると、最高で1年の懲役に処されます(同法14条1項)。
 一部の種類の「つきまとい等」が反復して行われ、特定の人に一定程度の不安を覚えさせると、「ストーカー行為」に該当し(同法2条2項)、被害者の告訴がなされた場合に限り、禁止命令等なしに、最高で6ヶ月の懲役に処されます(同法13条)。
DV
 配偶者から身体的暴力を受けた場合、裁判所に申し立てて、加害者の接近禁止命令や退去命令を発してもらうことができます( 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)10条)。加害者がこれに従わないと、最高で1年の懲役に処されます(同法29条)。
弁護士は、告訴や申立てが出来るかの相談や、その手続きを行うことなどで、被害者を支援することができます。

3. マスコミ対応
 世間の関心度の高い事件の場合、犯罪被害者やその遺族などは、自宅を報道陣に囲まれるなどメディアの取材攻勢を受けることによって、プライバシーが侵害されたり、自身や近隣住民の平穏な生活が阻害されたりするなど、多大なストレスを被ることが多々あります。
 弁護士は、犯罪被害者等の代理人となり、取材窓口を一本化するなどのメディア対応をすることで、マスコミ取材による犯罪被害者等の上記ストレスを軽減することができます。

4. 心のケア
 弁護士は、心理カウンセラーではありませんから、被害者の心のケアまではできないようにもみえます。しかし、犯罪被害者やその遺族は、様々な副次的被害を受け、「また傷つくのではないか。」などと強い不安を感じたまま弁護士に相談に来ます。そして、加害者に対して民事訴訟を起こしたり、その刑事訴訟に関与し、または見届けたりすることによって、自らの心の傷を少しでも和らげようとしています。ですから、弁護士は、これらの被害者等の気持ちを理解したうえで、その訴えに真摯に耳を傾けるという姿勢をもち、かつ、その罪悪感を助長したり感情や考えを押さえつけたりすることがないように言葉遣いや態度にも十分配慮して、犯罪被害者やその遺族を支援していきます。

 この犯罪被害者の支援につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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