御器谷法律事務所

特 別 清 算

1. 特別清算とは
 特別清算とは、債務超過の状態にある解散した株式会社が、迅速かつ公正な清算をするために、申立権者の申立により、裁判所の監督のもとにおいて行われる法的清算手続きです。
 特別清算を利用できるのは、清算中の株式会社に限ります。
 その手続きの流れを簡単にいいますと、申立後に清算人が協定案を作成し、債権者集会において出席債権者の過半数及び総債権額の3分の2以上の同意を得て協定案が可決され、以後、清算人が協定案に沿った弁済を行うというものです。
 この特別清算の手続きは、破産状態にある株式会社を法的手続きによって簡易かつ迅速に清算するという本来の形のみならず、親会社が業績不振で赤字になっている子会社の整理、清算を行う場合にも利用されております。

2. 特別清算の手続きの具体的流れ

(1) 臨時株主総会において解散決議及び清算人の選任を行う
清算人には会社の代表者や、顧問弁護士等が就任する場合が多いと考えられます。

申立の原因には以下のものがあげられます(会社法510条)。

a. 清算の遂行に著しい支障をきたすよう事情があること
b. 債務超過の疑いがあること

(2) 裁判所への申立

  
a 予納金
 この場合の裁判所への予納金は、東京地方裁判所においては基本的には、債権額が一応の目安になっております(負債1億円以上 5億円未満で200万+5万)。
 もっとも、申立時点で債権者から特別清算手続きへの同意がなされているかどうかでも大きく金額が変わります(債権者 2/3以上の同意があり、協定で終了予定の場合 5万円、債権者 2/3以上の同意があり個別の和解で終了予定の場合8,360円)。
   
b 弁護士費用
 特別清算申立の着手金は金100万円以上が目安となります。なお、着手金額は資本金、資産、負債の額、関係人の数等の規模に応じて異なります。

3. 申立後の手続き

(1) 特別清算人の選任
 申立後は、裁判所によって審理がなされ、要件を満たしていれば特別清算の開始命令が出ます(法514条)。
 
(2) 清算業務
 清算業務は、特別清算人が進めます。
 特別清算人は、各債権者に対して債権申し出の催告を行い、債務の総額を確定しつつ、会社財産を換価し弁済の財源を確保します。
 届出をしていない債権者であっても、会社の帳簿などで債権があることが明らかなときは特別清算の手続きの対象となります。
 
(3) 協定案の可決と認可

 協定案は裁判所主催の債権者集会で、出席債権者の過半数かつ議決権を行使できる債権者の総債権額 3分の2以上の賛成があれば可決されます(法567条以下)。そして、裁判所が認可決定することで協定が効力を生じ、その後は、特別清算人により協定に従った弁済がなされることになります。
 なお、租税債権や労働債権等(法515条)は、破産手続等と同じように他の債権より優先して弁済する必要があります。

4. 特別清算手続きの流れ図(清算人申立ての場合)

特別清算の申立て原因の発生
臨時株主総会 (解散決議および特別清算人の選任)
債権申出の公告及び催告  
手続開始申立て
特別清算手続開始決定
協定案(弁済案)の作成・提出(裁判所および債権者へ)
債権者集会(清算の見込み等についての清算人の説明)
協定可決(出席債権者の過半数かつ総債権額の2/3以上の同意) (否 決)
破  産
裁判所による協定認可決定
協定による最終の弁済完了
特別清算終結決定

なお、東京地方裁判所で年間に申し立てられる特別清算の件数は130件程度とのことであります。

5. 親会社が子会社を清算する場合の特別清算手続
 ここで、親会社が子会社を特別清算手続きで消滅させる場合についても一言概説しておきます。親会社が子会社の整理をする場合に、もっとも気を付けるのが当該企業グループの信用を損なわないようにするということです。親会社の信用を傷つけないようにしつつ、特別清算手続きを利用するにはどうすればよいのでしょうか。
 答は簡単です。
 負債を全額親会社が支払えばよいのです。すなわち、特別清算手続きを開始する前の段階で、親会社が子会社へ金員を貸付けて債務をすべて弁済させるか、もしくは親会社が子会社の債権者全部から、子会社への債権をすべて買い取るか第三者弁済をして、すべての債務を返済し、親会社が唯一の債権者となったうえで、特別清算の申立をするのです。
 そうすれば、債権届出、協定案の作成、債権者集会における議決等の特別清算の手続きは非常に簡易迅速に終了しますし、子会社が倒産したというイメージを世間に与えることなく清算が可能となり、さらに、親会社としても子会社から回収できない部分を損金に算入できるなどのメリットがあるのです。

6. まとめ
 以上のように特別清算手続きは、債務超過の疑いのある株式会社について、会社の資産を換価し、その代金によって債務を支払い、負債をゼロにするという手続きです。特別清算手続きは、一部の債権者が反対しても、多数決によって手続きをすすめることができるという点で通常の清算手続きとは違った特徴がありますし、前項に概説したように親会社が子会社の清算をする場合にも利用される手続きなのです。
 倒産処理の法的手続きの一つである特別清算手続きを、会社の整理、清算をする際にそのメリット、デメリットを考えて、選択肢の一つとして検討することが必要なことであると考えられます。

7. 特別清算の実務(東京地裁の取扱い)
 以下、東京地裁の取扱例を御紹介いたします。
(1) 申立時における提出書類
 裁判所間で若干の違いがあるかもしれませんが、東京地裁において提出を求められる書類は以下のとおりです(平成17年6月現在)。
○ 申立書(印紙2万円)+郵券
○ 会社登記簿謄本(申立時から1か月以内のもの)
○ 定款
○ 株主名簿
○ 過去2,3年の決算書類(貸借対照表、損益計算書)
○ 清算貸借対照表
○ 清算財産目録
○ 債権者名簿
○ 債務者名簿
○ 不動産登記簿謄本
○ 登録財産の登録簿謄本
○ 債権者の同意書
○ 清算人の履歴書
○ 清算人の報酬放棄書(報酬が必要であれば不要)
○ 清算貸借対照表等に関する株主総会の承認決議の議事録
○ 債権申出催告の官報公告
○ 特別清算の大まかなスケジュール表

(2) 特別清算開始決定後の手続
 東京地裁において、特別清算開始後の手続きの概要は以下のようになっております。
1) 債務弁済、財産処分等清算業務遂行
特別清算手続きにおいては、実際に弁済等をする前に必ず裁判所へ許可申請をして許可を得ることが必要になります。
2) 月間報告書の提出
この報告書には、当月月初から末日までの清算事務及び財産状況を記載するだけでなく、当月末日現在の貸借対照表等財産状況を示す資料、及び今後の清算事務の見通し等を記載します。
債権届出期間満了後
協定型 和解型
3) 債権者集会(説明集会) 3)' 和解契約許可申立て、同許可決定
4) 協定案決議のための債権者集会  4)' 和解契約に基づく弁済
債権者集会を開催する場合、事前に裁判所へ「債権者集会届出書」を提出します。
裁判所の了解を得てから債権者集会招集通知書一式を、遅くとも集会期日の2週間前まで債権者宛に送付します。
5) 協定認可申立て、同認可決定、協定の実行
6) 終結決定申立て、同決定、同決定確定
終結決定後、裁判所が官報公告を依頼し、終結決定確定後、裁判所が法務局へ登記嘱託します。
7) 重要資料保存者選任申立て、同決定
保存者は、清算結了後10年間にわたり責任をもって清算会社の帳簿並びにその営業及び清算に関する重要なある資料を保存すべき義務を負います。保存者は通常清算人自身が就任します。

この特別清算につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

執務の方針| 弁護士のプロフィール| 取扱事件 | ご案内 顧問契約 |

弁護士費用 | 事務所案内図 | リンク| トップ