御器谷法律事務所

労 働 審 判


1. 概要
 解雇・雇い止め、労働条件の変更、出向・配転、賃金等の不払いなど個別労働関係民事紛争について、裁判官と労働関係に関する専門的な知識経験を有する者が、事件を審理し、調停による解決の見込みがある場合にはこれを試み、その解決に至らない場合には、権利関係を踏まえつつ事案の実情に即した解決をするために必要な解決案(労働審判)を図る制度です。
 本制度は、労働審判法に基づき、平成18年4月1日から施行されました。
 このような労使紛争に関しては、調停や労働局等の「あっせん」などの制度もあるものの、相手方が出頭しないと手続が進まないという問題がありました。この点、労働審判では相手方不出頭でも手続が進められます。
 なお、1年間の実績では、労働審判申立の約8割が実質上調停と審判で解決し、申立から終了までは約75日間位かかっています。

2. 主体
 労働審判は、裁判官である労働審判官1名と、労働者及び使用者として労使関係の専門的知識経験を有する労働審判員2名で組織する労働審判委員会で行われます。決議要件は過半数の意見により決せられます。

3. 具体的手続
(1) 管轄裁判所については、相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所を管轄する地方裁判所、労働者が事業主との間の労働契約に基づいて現に就業し若しくは最後に就業した当該事業主の所在地を管轄する地方裁判所、又は、当事者が合意で定める地方裁判所が管轄裁判所となります。
(2) 労働審判委員会は、調停による解決の見込みがある場合にはこれを試みつつ、速やかに争点及び証拠の整理等を行って、審理をすすめます。
 また、申立又は職権により民事訴訟の例による証拠調べ等をすることができます。
(3) 労働審判委員会は、調停が成立しない場合には権利関係を踏まえつつ手続の経過を踏まえて審判を下します。
(4) 労働審判手続は、特別の事情がある場合を除き、3回以内の期日で審理を終結するものとして迅速な紛争処理が図られています。
(5) 労働審判に対して異議の申立てがあった場合には、労働審判手続の申立てに係る請求については、労働審判手続の申立ての時に、労働審判がなされた地方裁判所に訴えの提起があったものとみなすものとされています。審判に対し異議の申立てがないときは、労働審判は、裁判上の和解と同一の効力を有します。

4. 労働審判の進行例
(1) 第1回期日(争点整理、証拠整理)
 第1回期日は、労働審判の申立てがあると40日以内に指定があり、通常、当事者など関係者も出席することになります。時間は基本的に1時間から2時間程度です。
 第1回期日では、労働審判委員会が、申立書、答弁書、提出された書証も含めて、不明確な点について口頭で自由に質問し、代理人や当事者が口頭で答えます。このような手続により争点が明らかになります。
 申立書や答弁書とともに提出された書証の原本の取調べは、第1回期日に行われます。
 労働審判は、短期決戦であり、第1回期日に主張と立証を尽くし、第1回期日こそが勝負と肝に銘ずべきでしょう。
(2) 第2回期日(審尋・調停)
 第2回期日では、第1回期日にひき続き本人や関係者の審尋が行われます。審尋は形式について決まった方法があるわけではなく、事案によっては代理人から先に質問をすることもあれば、労働審判委員会から先に質問することもあるでしょう。
 審尋等による立証が終了すると、労働審判委員会は、3人で合議を行い、事案によっては調停案を提示することがあります。双方が調停案を受け入れれば、裁判上の和解と同一の効力が生じます。
(3) 第3回期日(調停、調停がまとまらなければ審判)
 当事者間で調停がまとまらなければ、労働審判委員会は、審理の終結宣言をし、審理の結果認められる当事者間の権利関係及び労働審判手続の経過を踏まえて労働審判を行います。労働審判は、主文及び理由の要旨を記載した審判書を作成して行いますが、すべての当事者が出頭する期日において主文と理由の要旨を口頭で告知することにより行うこともできます。
(4) 労働審判に対する異議
 労働審判に不服な当事者は、審判書の送達を受けた日、又は期日で告知を受けた場合は告知を受けた日から2週間以内であれば、裁判所に異議を申し立てることができます。
 異議の申立てがあると労働審判は効力を失い、労働審判手続の申立てに係る請求については、労働審判手続の申立ての時に、労働審判がなされた地方裁判所に訴えの提起があったものとみなすものとされています。労働審判に対し異議の申立てがないときは、労働審判は、裁判上の和解と同一の効力を有します。

5. ある労働審判では、
(1) 労働審判廷
民事事件や家事事件のラウンド法廷のような形で行われる例もあります。

(2) 第1回期日
 申立人は、申立書、書証多数、証拠説明書、上申書等を提出。相手方は、答弁書、書証多数、証拠説明書等を提出。
 申立人側は申立人本人と代理人弁護士が出頭し、相手方は相手方会社社長と常務と代理人弁護士が出頭。
 双方から裁判所が事情を聴取し、双方弁護士間での議論あり、申立人と相手方会社社長との言い争いあり、裁判官や審判員からの発言もあり、1時間30分後位で裁判官と審判員の評議となりました。
(3) 第2回期日
 裁判官から本件についての一定の見解が示され、双方において検討ということとなりました。
 裁判官と審判員は、すでに一定の調停案をもっているようで、申立人と相手方双方に対して打診があり、説得あり、諫めあり、怒りあり、諦めあり等めまぐるしく交替をくり返し、2時間後に次回期日が指定されました。
 裁判官も随分お疲れの様子で、当事者や弁護士も疲労の色が濃い感じです。
(4) 第3回期日
 労働審判は原則として3回で決着がつくため、各期日の前後には私達弁護士と依頼者で何度か打合わせをし、且つ期日においても入れ替わりで審判廷に入り、その間、控室でも詰めの打ち合わせを繰り返しますので、本当に神経を集中してClientにとって何がbestな選択かを、Clientとともにさぐり、決定してゆきます。
 裁判所の調停案についての様々な細部の条項につき詰めの交渉を重ね、Clientもようやく一定の目的を達しつつあることを認識しつつ、相手方の出方を慎重に見極めて、諾否を決します。裁判官の下すであろう審判についての予想を交えつつ、Clientとともにjudgementを私達なりに決め、裁判所に説明します。・・・そして、最終評議の後、調停案について、当方は、そして、相手方は、・・・不満は残りつつ、我慢しつつ、意を決して ・・・ 調停が成立しました。
 (単なる一例です。設定も変えてあります。)

 この労働審判についても遠慮なく当事務所にご相談下さい

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